フェルナンド・アロンソ 父となった特別な週末 F1日本GPで今季初完走
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)にとって、2026年F1日本GPは私生活と競技の両面で特別な週末となった。レース直前に第1子が誕生し、日本への到着を可能な限り遅らせながらも、鈴鹿ではついに今季初めてレース距離を走り切った。

結果そのものは18位だったが、アロンソとチームにとっては完走自体に大きな意味があった。オーストラリア、中国、そしてプレシーズンテストでも達成できなかった「チェッカーフラッグを受ける」という最低限の課題を、ホンダのホームレースでようやくクリアしたためだ。

Road & Trackの取材に応じたアロンソは、新たな家族を迎えた直後の強行日程を前向きに受け止めつつ、アストンマーティンとホンダが直面する現実、そして改善に必要な時間軸についても率直に語った。鈴鹿で投入された小規模アップデートの意味や、現状のマシン開発の限界、さらに今後数か月が自身の将来を左右する重要な期間になることも明確にしている。

第1子誕生を経て鈴鹿に遅れて到着
フェルナンド・アロンソにとって、鈴鹿は2001年にミナルディで初めて訪れて以来、常に特別なサーキットであり続けてきた。2026年はワークス・ホンダのドライバーとして日本の観客の注目を集める週末となったが、今回はそれ以上に個人的な事情が大きかった。

44歳のアロンソはレース直前に第1子を授かり、チームとの合意のもとで日本への渡航を可能な限り遅らせた。その影響で木曜のメディアデー、さらに通常の週末前ブリーフィングやミーティングもすべて欠席した。

チームは負担を少しでも軽くするため、FP1ではジャック・クロフォードをルーキーセッションで起用した。アロンソが日本に到着したのは金曜の昼ごろで、ちょうどクロフォードが自身のマシンを走らせる姿を見ることができるタイミングだった。その後FP2に出走し、19番手でセッションを終えたが、信頼性が確保されていたことで欠いた走行をある程度取り戻すことができた。加えて、マシンに施された小規模アップグレードもここで試す機会となった。

予選後、アロンソは新たに父親となった状況と、慌ただしい移動日程を終えたこともあってか、明るい表情を見せていた。

「大丈夫だ」とアロンソは語った。

「飛行機で寝たし、昨夜も疲れていたから眠れた。正直に言えば、火曜日に到着するよりこっちのほうが良かったと思う。それに木曜日をスキップできたから、まさに一石二鳥だった」

完走は前進 だがパフォーマンス不足は深刻
アストンマーティンAMR26は、少なくとも一定の周回を重ねられるだけの信頼性を見せた。アロンソ自身も、その点は現状の数少ないポジティブ要素として認めている。

「そうだね、明らかにポジティブな面としてはその通りだ」とアロンソは語った。

「この2週末は大きな問題なく走れている。でも、パフォーマンスの面では明らかに僕たちは最後尾にいる。競争力がなければ、満足なんて見つからない。それでも、僕たちは結束を保ち、強いままでいて、両方のファクトリーに状況を修正する時間を与えようとしている」

アロンソは、チーム内部ではすでに改善案やアイデアがいくつも動いていることを明かした一方、それが即効性を持つものではないとも強調した。

「彼らは全力で取り組んでいる。いくつかの改善もあるし、いくつかのアイデアもある」とアロンソは続けた。

「でもF1では、それはすぐには起きない。今のマシンには、たぶん数か月は費やす必要がある。このマシンについては、あと数か月で完全に変わると分かっているなら、そこまで多くを変えることはないだろう」

いつごろ変化が見え始めるのかと問われると、アロンソは「数か月」と見ていることを明言した。

「数か月だと思う。2023年のマクラーレンを見たはずだ。最初の数戦では最後尾にいて、それでも最終的には年末には前方に来ていた。たぶんそれは楽観的すぎるし、夢のようなシナリオだろう。でもある意味では、シーズンは長いし、問題を理解して修正できれば、シーズン後半や選手権の最後の3分の1を、ずっといい位置で戦う時間は十分にある」

鈴鹿のアップデートは速さより“方向確認”
鈴鹿で投入されたアップデートについて、アロンソは純粋なパフォーマンス向上を狙ったものではなく、今後の開発の方向性を見極めるためのテスト要素が強いと説明した。

「アップグレードは、マシンのどこに問題があると僕たちが考えているのかを理解するために試している、小さなものにすぎない」とアロンソは語った。

「それを試すことで、僕たちが正しい方向に進んでいるのかどうかが分かる」

そのうえで、たとえ有望な兆候があっても、それをサーキットに持ち込める形にするまでには長い工程が必要だと現実的に話している。

「すべては期待通りに機能している。言ったように、ファクトリーでは多くのことが進んでいて、テストしているものの中にはかなり前向きなものもある」とアロンソは述べた。

「そのあと風洞が必要になる。次にCFDが必要になる。それを生産に載せる必要がある。そしてサーキットに持ち込まなければならない。そうしているうちに、もう7月、8月になっている」

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ) F1 日本GP

孤独なレースの中で得たデータと今季初完走
決勝の目標は、競り合う相手がほとんどいない状況もあって、まず完走することに置かれていた。スタートではハードタイヤを履くキャデラックのバルテリ・ボッタスをかわし、その後はチームメイトのランス・ストロールとの“内部バトル”が続いた。

2台はセーフティカー中にハードへ交換したが、最後尾で失うものがなかったこともあり、翌周に再びピットインして後半用にミディアムへ戻した。アロンソによれば、この2台走行自体がデータ収集の一環でもあった。

「レース前に、たぶん僕たちのレースはペースの面では少し孤独なものになるだろうと話していた」とアロンソは語った。

「そして2台が一緒に走れば、エネルギーやエンジンの異なるマップについて、何かいい情報も得られるかもしれないと思っていた。だからそこには少し楽しさもあった。不運にも、ランスはマシンを止めなければならなかったと思う。だから後半の楽しみは失ってしまった」

それでもアロンソ自身は走り続け、最終的に1周遅れの18位で完走。2台のキャデラックの間でチェッカーを受けた。派手な結果ではなかったが、チームにとっては明確な節目だった。

「僕たちにはチェックすべき項目がたくさんあって、これはそのうちのひとつだった。レース距離を走り切ることだ」とアロンソは語った。

「オーストラリアでも、中国でも、テストでもできなかった。だからこれが本当に初めてだし、次に向けてチームがマシンをもう少し理解し、よりいい位置に進むための十分なデータを手にしたことを願っている」

さらに開幕からの状況についても、率直な表現で振り返った。

「オーストラリアに入った時、僕たちは100%レースを完走できないと確信していた。次の週の中国では、95%は完走できないと思っていた。そして今、3戦目でレースを完走した」とアロンソは語った。

「求めているのはこんなペースではない。チームには改善を続けるべき仕事がある。だから、これが全員にとって最初の一歩になり、両方のファクトリーを鼓舞するものになればいいと思っている」

ホンダのホームレースで示した“まず完走”という一歩
中国でのリタイア原因となったパワーユニット由来の身体的な問題についても、アロンソは完全には解消していないと認めた。

「振動はあった」とアロンソは語った。

「空から突然消えてなくなるようなものではない。でも、より扱いやすくはなっている」

鈴鹿はホンダにとってのホームレースでもあり、完走を持ち帰れたことは最低限の成果だった。アロンソは、日本のパートナーが開幕から懸命に取り組んでいることを強調し、困難な状況でも一体となって改善を目指す姿勢を示した。

「彼らがオーストラリア以来、本当に懸命に取り組んでいることは分かっている」とアロンソは語った。

「僕たちは常に話をしている。ここはホンダにとって特別なレースだったし、僕たちはベストを尽くしたかった。残念ながら、そのベストはレースを完走することだけだった。でも、僕たちが彼らを助けることにコミットしていて、近くで支えていることを示すものにはなったと思う。みんなにとって厳しい状況だ。でも僕たちはひとつのチームだし、一緒に良くなっていく」

週末を終えたアロンソは、そのまま大阪空港からヨーロッパへ戻り、パートナーと新しく生まれた息子のもとへ向かった。

「そうだね、これから1か月オフだし、家族との時間、質の高い時間を過ごして、休むつもりだ」とアロンソは笑みを交えて語った。

「いや、休めないかもしれない。でも楽しむよ」

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カテゴリー: F1 / フェルナンド・アロンソ / ホンダF1 / アストンマーティンF1チーム