デビッド・クルサード
デビッド・クルサードが、ブラジルGPのFIA記者会見でチャンピオンシップ最終戦をウィングス・フォー・ライフのカラーリングで走る気持ちを語った。

デビッド、今回のレースへの気持ちを聞かせてください。
もっと感情的になるべきなのかも知れないが、日曜日にクルマから降りたときに何か感じるのだと思う。願わくはチェッカーフラッグを受けた後に、自分のひとつの時代が終わったことを実感するだろう。ぼくよりも長くレースを続けているルーベンスを除けば、このテーブルに座っている全員にとって、レースを引退する時を想像するのは難しいと思う。ぼくがレースを辞めるのは、グランプリカーの運転が嫌いだからでも、レースが嫌いだからでもない。自然と自分の人生の旅路のひとつの終着点にたどり着いたんだ。日曜日にパドックを去る時が、ぼくのドライバー人生の終わりだ。

今回のクルマのカラーリングは特別なものですが、それについて聞かせてください。
最後のグランプリで、ぼくだけが特別なカラーリングで出場することを全てのチームが許可してくれた。現代のF1では初めてのことだと思う。何十年も前にはあったと思うが、今回、2004年に設立された脊髄損傷治療研究基金である「ウィングス・フォー・ライフ」のカラーリングのクルマで走ることを他のチームに許してもらった。脊髄損傷はエキストリームスポーツをやるような人たちが負う怪我だと思っている人がほとんどだと思うが、統計では実際はエキストリームスポーツが原因の怪我は3%にしか過ぎない。年間13万人もの人々が他の原因の怪我によって車椅子での生活を余儀なくされている。家庭内での怪我、自動車事故など、毎日の生活の中での負傷によるものだ。現在、このようなタイプのリサーチへの政府の補助金はほとんどなく、製薬会社は興味を示さない。脊髄損傷を治す薬はないからね。ウィングス・フォー・ライフはレッドブル創設者であるデートリッヒ・マシテッツと、バイクの事故で脊髄を損傷する怪我を負ったご子息がいるハインツ・キニガードナーによって設立された基金だ。ウィングス・フォー・ライフへの募金は全て世界中の様々な団体の資金として使われている。また、ウィングス・フォー・ライフはクリストファー・リーブ基金などの他の基金とも協力して、脊髄損傷治療の研究を行っている。

デビッド、あなたはこれまで何回も世界チャンピオンが決定する瞬間を見てきたわけですが、今年はどうなると思いますか?
今回のレースまでに何度も同じ質問を受けてきたので、今日はふたりのチャンピオン候補の前でメディアに言ってきたことを言おうと思う。7ポイントリードするルイスの方がチャンピオンシップ優勝の可能性が高い。これは明白なことだと思う。彼はシーズンの大半をリードして来たのだから、チャンピオンにふさわしいと思う。しかし、ぼくはフィリペは今シーズン最も実力を伸ばしたドライバーだと思っている。彼のスピードについては誰もが知るところだが、今年の彼のドライビング、特にブダペストは素晴らしかった。最終的には優勝できなかったが、あのレースでのルイスへのオーバーテイクは、彼の攻撃力の素晴らしさを物語っていた。世界トップレベルのオーバーテイクだったと思う。どちらにも良い顔をしようとしているのではなく、本当にふたりのどちらも今年の世界チャンピオンにふさわしいドライバーだとぼくは思っている。だが、ルイスが有利なのは確かだ。フィリペが今回のレースに優勝し、ブラジルのファンを満足させることができ、ルイスがポイントを獲得するポジションで完走できれば、良いのかなと思う。だが、みんなも承知している通り何が起きてもおかしくないのがレースだ。ぼくも、みんなと同じようにどんな結果になるのか楽しみにしている。


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カテゴリー: F1 / デビッド・クルサード / レッドブル・レーシング / F1ブラジルGP