F1 Column:角田裕毅はアルファタウリの広告塔になれるか? / ホンダF1撤退の影響
ホンダのF1撤退によって日本人ドライバーである角田裕毅が来季F1デビューできるかに注目が集まっている。

現在、FIA-F2に参戦している角田裕毅は、並み居る強敵ドライバーたちの中でランキング3位という活躍をみせており、このままランキングを維持できれば、40点のF1スーパーライセンスポイントを満たし、F1に参戦する資格を得ることができる。

ホンダがF1からの撤退を発表するまで、角田裕毅がF1スーパーライセンスを獲得すれば、来季のアルファタウリでのF1デビューは既定路線だと考えられてきた。しかし、F1撤退というホンダの決定はその計画に大きな影響を与えるのは間違いないだろう。

“実力でF1シートを獲得すればいい”という意見もある。かつて小林可夢偉はトヨタがF1から撤退した後もザウバー、ケータハムとF1キャリアを続けた。
しかし、F1ドライバーは少なからず自動車メーカーやスポンサーの意向が絡んでおり、もしくは持参金(スポンサーマネー)によってシートを獲得しているのが現状だ。

ルイス・ハミルトンでされメルセデスの広告塔としての役割を果たしており、キミ・ライコネンもアルファロメオのCMに出演するなどスポンサー活動を行っている。来季からセバスチャン・ベッテルを起用するアストンマーティンもベッテルのドイツ市場での影響力に期待をしている。

プライベートチームであるウィリアムズもジョージ・ラッセルはエンジンを供給するメルセデスのドライバーであり、ニコラス・ラティフィは多額のスポンサーマネーをもたらしている。

そういった意味は、実力でシートを維持しているのはハースF1のケビン・マグヌッセンとロマン・グロージャン、来季マクラーレンに移籍するダニエル・リカルドくらいかもしれない。そのハースF1も来季はエンジン供給元のフェラーリのドライバーを乗せるためにドライバーを一新すると囁かれている。

レッドブルにとって、ホンダはある意味で数100億円というエンジン料金を賄ってくれるスポンサーだった。しかし、それを失うことが決定した今、角田裕毅を乗せるという配慮をする必要はなくなってしまった。

いや、角田裕毅はレッドブルのジュニアドライバーでもある。しかし、レッドブルであっても、F1活動はエナジードリンクのマーケティングのための参戦である。

さらに今季からはレッドブル缶のカラーリングを纏ってきたトロロッソとしての参戦をやめて、レッドブルのファッションブランドであるアルファタウリへと名前を変更。マシンからエナジードリンクの広告は外された。報道によると、レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツは、アルファタウリの販促に大きな力を入れているとされており、レッドブル内でアルファタウリはジュニアチームではなく、姉妹チームへとステータスを変えている。

そして、問題は角田裕毅がF1デビューを果たすと考えられていたチームがアルファタウリであることだ。残念ながら、日本でアルファタウリというブランドは正式に展開していない。アジア圏での展開もそこまで高くない。

アルファタウリには日本企業のカシオやRDSが協賛しているが、ドライバー決定に発言権はないだろう。カシオはホンダがエンジンを供給していなかった2016年からチームのスポンサーを務めているが、今後も協賛を続けるかどうかはわからない。

残念ながら、日本市場はかつてほど影響力はなく、世界で戦える企業も減少している。決して角田裕毅に実力がないとは思わない。しかし、F1ドライバーになるには国籍や企業支援が大きな要因であることは否めない。

ホンダがF1から撤退し、もしかすると、レッドブルがSUPER GTやスーパーフォーミュラで行っているチーム無限へのサポートも終了する可能性だってあり得なくもない。

それが現実となり、角田裕毅が、SUPER GTやスーパーフォーミュラ参戦するというニュースが発表されれば、それは日本のモータースポーツのガラパドス化を進めることを意味するだろう。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / ホンダF1 / スクーデリア・アルファタウリ