マックス・フェルスタッペン F1目指す若手に「カートよりシミュレーターに座れ」

ゴーカートは長年にわたりモータースポーツの登竜門とされ、世界中のトップドライバーがカート競技を経てシングルシーターへステップアップしてきた。しかし近年では、フェルスタッペン自身を含む現役F1ドライバーの間で自宅用シミュレーターの活用が急増しており、その価値は急速に高まっている。
ブラジルGP週末に出演したポッドキャスト「Pelas Pistas」では、GTレースやシミュレーターへの強い関心を持つガブリエル・ボルトレトとともに出演し、育成の在り方について踏み込んだ議論を展開した。
フェルスタッペン「ゴーカートは“基本”は学べるが本質的に別物だ」
フェルスタッペンは「300日をゴーカートに使うか、300日をシミュレーターに使うか」と問われると、迷うことなくこう語った。
「ゴーカートは忘れた方がいい。それが僕たちのスポーツの問題なんだ。サッカーなら、子どもは幼い頃から“同じボール”で練習する。でも僕たちの場合、ゴーカートはレースカーとはまったく違う」
「確かにスタート、防衛、オーバーテイクといったレースの基本は学べる。でもゴーカートはクルマとは全然違う動き方をする。シートのポジションも違うし、サスペンションもない。リアアクスルの構造上、常に滑らせて走る必要がある」
「でもレーシングカーは逆で、リアは常に安定していなければならない。そのうえで可能な限りフロントを攻める。運転の力学が根本から違うんだ。ゴーカートは子どもが楽しむものとしては最高だけど、“本格的な練習”としては限界がある」
フェルスタッペンは現在、シミュレーターでの練習を中心に行っており、「最後にゴーカートに乗ったのは2016年だ」と明かした。
F1準備にもGTレースにも「シミュレーターが最も現実的」
フェルスタッペンは近年、シミュレーター上での走行に加え、GTマシンのテストや参戦にも強い関心を示している。
「GTカーに乗ってテストしたりレースしたりする方がずっと楽しい。あるいは自分の家のシミュレーターに座って、F1の準備をしたり、オランダでやっているシミュレーター関連の仕事に取り組んだりする方が良い」と語り、実際のライフスタイルにも練習方法の変化が反映されている。
シミュレーター技術は年々進化しており、タイヤの動き、荷重移動、空力変化までも再現されるようになった。若手育成においても、コスト面で圧倒的に有利なシミュレーターは現実的な選択肢となりつつある。フェルスタッペンの発言は、従来の“ゴーカート至上主義”に一石を投じる内容となった。
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