トヨタ:WRC 第2戦 アークティック・ラリー・フィンランド プレビュー
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、2月26日(金)から28日(日)にかけてフィンランド北部で開催される、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「アークティック・ラリー・フィンランド」に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC1号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)の、3台のヤリスWRCで参戦。今回初めてWRCとして開催されるフルスノーイベントで、開幕戦ラリー・モンテカルロに続く総合優勝を目指す。
これまで、WRCではシリーズ第2戦として「ラリー・スウェーデン」が2月に開催されてきたが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響により残念ながら中止となり、その代替として同じくフルスノーイベントである、アークティック・ラリー・フィンランドがWRCの年間カレンダーに組み込まれた。ラリー・フィンランドは例年夏季に、チームのメインファクトリーがあるフィンランド中部ユバスキュラを中心にグラベル(未舗装路)ラリーとして行われているが、アークティック・ラリー・フィンランドは最北部ラップランドの中心都市ロヴァニエミにサービスパークを置く、全く違う地域でのラリーであり、WRCとして開催されるのは今回が初めてとなる。
ロヴァニエミ周辺は例年積雪が非常に多いため、近年のWRCで問題となることが多い雪不足の心配はほぼなく、完全なウインターコンディションが望める。同エリアでは毎年1月に「アークティック・ラップランド・ラリー」がフィンランド国内ラリー選手権の1戦として開催されており、今大会はその国内選手権と重なるステージもあるが、新たに設けられたステージや進行方向が逆のステージもあり、完全に同じラリーではない。一部のステージは北極(アークティック)圏も走行し、それがこの大会の名の由来となっている。低い気温により路面は全面的に凍結しているが、新雪が多く積もるとそれが走行抵抗になりタイヤのグリップ力も低下するため、ステージの出走順が1番の選手は「雪かき役」を担うことになり不利になる。また、豊富な積雪によって道の両脇には高い雪壁ができ、ラリーカーは時にコーナー外側の雪壁の軟らかい部分に意図的にボディを当てながらコーナリングするなど、フルスノーラリーならではの特殊なドライビングも見られる。タイヤについては、ラリー・スウェーデンと同様トレッド面に大量の金属製スタッド(スパイク)が埋め込まれた、雪道専用のスタッドタイヤを常時装着して走行する。今シーズンよりWRCはピレリが上位カテゴリーにワンメイクタイヤを供給しているが、昨年までのミシュランとは特性が異なるため、その新しいスタッドタイヤに合ったクルマのセットアップが求められる。
チームはシーズン開幕戦のラリー・モンテカルロでオジエが優勝。エバンスが総合2位に、ロバンペラが総合4位に入るなど理想的なスタートをきり、マニュファクチャラー選手権トップに立った。史上最多となる通算8回目のモンテカルロ優勝でドライバー選手権の首位に立ったオジエは、過去にラリー・スウェーデンで3回優勝経験があり、昨年のスウェーデンでも表彰台争いに加わり総合4位を獲得した。エバンスは昨年のスウェーデンでチーム加入後最初の勝利を手にし、その結果ヤリスWRCは2017年の参戦開始から4年間で3回目のスウェーデン優勝を達成。フルスノーラリーでのパフォーマンスを改めて証明した。また、20才のロバンペラは、WRカーによるWRC参戦2戦目だった昨年のスウェーデンで総合3位に入り、今年は自国開催のスノーラリーで昨年以上の結果を狙う。
ラリーは26日金曜日の午前中にシェイクダウンが行われ、午後から競技がスタート。今大会最長となる全長31.05kmのステージを2回走行するが、2回目のSS2はナイトステージとなる。27日土曜日は3本のステージをロヴァニエミの「サンタ・スポーツ」でのサービスを挟んで各2回走行、最後の2本のステージは暗闇の中を走る。6本のステージの合計距離は144.04kmと3日間で最長の距離を走る1日になる。最終日の28日日曜日は全長22.47kmのステージを連続で2回走行。2回目のSS10は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で10本計251.08km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は856.05kmが予定されている。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ラリー・モンテカルロでの素晴らしいリザルトで今シーズンのスタートをきりましたが、チームがうまく連携しながらよく機能しているのを見て本当に嬉しかったです。そして今、WRCとして初めて開催されるアークティック・ラリー・フィンランドを楽しみにしています。何年も前から、十分な積雪が保証されるこのイベントがWRCとして開催されたら、きっと素晴らしいものになるだろうと語られてきました。今年そのチャンスが突然訪れ、関係者全員の素晴らしい仕事により、短期間で実現されることになりました。真っ白な雪と太陽の光により、とてもテレビ映えのする素晴らしいラリーになると思います。ラップランドには長くて高速なコーナーが多く、自信を持てないと大幅にタイムを失ってしまうため、クルマの安定性が非常に重要です。我々にとってはホームイベントであり、ヤリスWRCはこのようなコンディションのフィンランドの道で開発されてきたので、いつもより少しプレッシャーがかかると思いますが、我々はそれに対応できると確信しています。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
アークティック・ラリー・フィンランドの典型的なウインターコンディションは、我々がここ数年WRCで経験してきたものとは対照的なものになるでしょう。先週、ロヴァニエミの周辺でテストをした時はとても楽しく走ることができました。クルマには満足していますし、準備は整っています。ただし、このようなスノーラリーでは、初日1番手スタートとなる我々は路面コンディションに大きく左右されるため、それがどうなるのかを見守る必要があります。昨年の経験から、このようなコンディションではチームメイトとの接戦が予想されます。エルフィンは非常にモチベーションが高く、ホームイベントとして臨むカッレはそれ以上に気合いが入っているはずです。また、彼らだけでなく他のチームのライバルもそうに違いないでしょう。決して簡単ではないと思いますが、勝利に挑みたいと思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
ほとんどのドライバーは、このラリーへの出場経験がないはずです。もちろん、昨年のラリー・スウェーデンと同じような結果を目指しますが、状況次第だと思います。ここ数年、路面に氷や雪が少なかったスウェーデンとはコンディションがかなり違うはずです。非常に寒い時に行なわれたテストでは、その点を考慮して作業を進めました。また、新しいピレリのタイヤにクルマのセットアップを最適化する必要もありました。ラリー・モンテカルロの時と同じように、この新しいタイヤに関する経験はありませんが、今回は選択肢がひとつしかないためよりシンプルで、集中して作業に取り組むことができました。全体的にフィーリングは良く、ラリーがとても楽しみです。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
ラップランドでのラリーに再び参戦できるのが嬉しいです。昨年、初めて出場した時はヤリスWRCでの初ラリーでした。もちろん、その経験が少しは役に立つと思いますが、未経験のステージや、反対方向に走るステージもあるので、大きなアドバンテージにはならないでしょう。テストでは、タイヤの特性が今まで使ってきたものとは違うため、新しいタイヤに合ったセットアップを見つけることが最大の課題でしたが、フィーリングは良かったです。普段よりも少しプレッシャーを感じますが、特にフィンランドの人々が他のラリーの時以上に僕をフォローしてくれているので、ワクワクする気持ちがプレッシャーに勝っています。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
これまで、WRCではシリーズ第2戦として「ラリー・スウェーデン」が2月に開催されてきたが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響により残念ながら中止となり、その代替として同じくフルスノーイベントである、アークティック・ラリー・フィンランドがWRCの年間カレンダーに組み込まれた。ラリー・フィンランドは例年夏季に、チームのメインファクトリーがあるフィンランド中部ユバスキュラを中心にグラベル(未舗装路)ラリーとして行われているが、アークティック・ラリー・フィンランドは最北部ラップランドの中心都市ロヴァニエミにサービスパークを置く、全く違う地域でのラリーであり、WRCとして開催されるのは今回が初めてとなる。
ロヴァニエミ周辺は例年積雪が非常に多いため、近年のWRCで問題となることが多い雪不足の心配はほぼなく、完全なウインターコンディションが望める。同エリアでは毎年1月に「アークティック・ラップランド・ラリー」がフィンランド国内ラリー選手権の1戦として開催されており、今大会はその国内選手権と重なるステージもあるが、新たに設けられたステージや進行方向が逆のステージもあり、完全に同じラリーではない。一部のステージは北極(アークティック)圏も走行し、それがこの大会の名の由来となっている。低い気温により路面は全面的に凍結しているが、新雪が多く積もるとそれが走行抵抗になりタイヤのグリップ力も低下するため、ステージの出走順が1番の選手は「雪かき役」を担うことになり不利になる。また、豊富な積雪によって道の両脇には高い雪壁ができ、ラリーカーは時にコーナー外側の雪壁の軟らかい部分に意図的にボディを当てながらコーナリングするなど、フルスノーラリーならではの特殊なドライビングも見られる。タイヤについては、ラリー・スウェーデンと同様トレッド面に大量の金属製スタッド(スパイク)が埋め込まれた、雪道専用のスタッドタイヤを常時装着して走行する。今シーズンよりWRCはピレリが上位カテゴリーにワンメイクタイヤを供給しているが、昨年までのミシュランとは特性が異なるため、その新しいスタッドタイヤに合ったクルマのセットアップが求められる。
チームはシーズン開幕戦のラリー・モンテカルロでオジエが優勝。エバンスが総合2位に、ロバンペラが総合4位に入るなど理想的なスタートをきり、マニュファクチャラー選手権トップに立った。史上最多となる通算8回目のモンテカルロ優勝でドライバー選手権の首位に立ったオジエは、過去にラリー・スウェーデンで3回優勝経験があり、昨年のスウェーデンでも表彰台争いに加わり総合4位を獲得した。エバンスは昨年のスウェーデンでチーム加入後最初の勝利を手にし、その結果ヤリスWRCは2017年の参戦開始から4年間で3回目のスウェーデン優勝を達成。フルスノーラリーでのパフォーマンスを改めて証明した。また、20才のロバンペラは、WRカーによるWRC参戦2戦目だった昨年のスウェーデンで総合3位に入り、今年は自国開催のスノーラリーで昨年以上の結果を狙う。
ラリーは26日金曜日の午前中にシェイクダウンが行われ、午後から競技がスタート。今大会最長となる全長31.05kmのステージを2回走行するが、2回目のSS2はナイトステージとなる。27日土曜日は3本のステージをロヴァニエミの「サンタ・スポーツ」でのサービスを挟んで各2回走行、最後の2本のステージは暗闇の中を走る。6本のステージの合計距離は144.04kmと3日間で最長の距離を走る1日になる。最終日の28日日曜日は全長22.47kmのステージを連続で2回走行。2回目のSS10は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で10本計251.08km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は856.05kmが予定されている。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ラリー・モンテカルロでの素晴らしいリザルトで今シーズンのスタートをきりましたが、チームがうまく連携しながらよく機能しているのを見て本当に嬉しかったです。そして今、WRCとして初めて開催されるアークティック・ラリー・フィンランドを楽しみにしています。何年も前から、十分な積雪が保証されるこのイベントがWRCとして開催されたら、きっと素晴らしいものになるだろうと語られてきました。今年そのチャンスが突然訪れ、関係者全員の素晴らしい仕事により、短期間で実現されることになりました。真っ白な雪と太陽の光により、とてもテレビ映えのする素晴らしいラリーになると思います。ラップランドには長くて高速なコーナーが多く、自信を持てないと大幅にタイムを失ってしまうため、クルマの安定性が非常に重要です。我々にとってはホームイベントであり、ヤリスWRCはこのようなコンディションのフィンランドの道で開発されてきたので、いつもより少しプレッシャーがかかると思いますが、我々はそれに対応できると確信しています。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
アークティック・ラリー・フィンランドの典型的なウインターコンディションは、我々がここ数年WRCで経験してきたものとは対照的なものになるでしょう。先週、ロヴァニエミの周辺でテストをした時はとても楽しく走ることができました。クルマには満足していますし、準備は整っています。ただし、このようなスノーラリーでは、初日1番手スタートとなる我々は路面コンディションに大きく左右されるため、それがどうなるのかを見守る必要があります。昨年の経験から、このようなコンディションではチームメイトとの接戦が予想されます。エルフィンは非常にモチベーションが高く、ホームイベントとして臨むカッレはそれ以上に気合いが入っているはずです。また、彼らだけでなく他のチームのライバルもそうに違いないでしょう。決して簡単ではないと思いますが、勝利に挑みたいと思います。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
ほとんどのドライバーは、このラリーへの出場経験がないはずです。もちろん、昨年のラリー・スウェーデンと同じような結果を目指しますが、状況次第だと思います。ここ数年、路面に氷や雪が少なかったスウェーデンとはコンディションがかなり違うはずです。非常に寒い時に行なわれたテストでは、その点を考慮して作業を進めました。また、新しいピレリのタイヤにクルマのセットアップを最適化する必要もありました。ラリー・モンテカルロの時と同じように、この新しいタイヤに関する経験はありませんが、今回は選択肢がひとつしかないためよりシンプルで、集中して作業に取り組むことができました。全体的にフィーリングは良く、ラリーがとても楽しみです。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
ラップランドでのラリーに再び参戦できるのが嬉しいです。昨年、初めて出場した時はヤリスWRCでの初ラリーでした。もちろん、その経験が少しは役に立つと思いますが、未経験のステージや、反対方向に走るステージもあるので、大きなアドバンテージにはならないでしょう。テストでは、タイヤの特性が今まで使ってきたものとは違うため、新しいタイヤに合ったセットアップを見つけることが最大の課題でしたが、フィーリングは良かったです。普段よりも少しプレッシャーを感じますが、特にフィンランドの人々が他のラリーの時以上に僕をフォローしてくれているので、ワクワクする気持ちがプレッシャーに勝っています。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)