豊田章男社長 質疑応答:トヨタF1撤退
F1を撤退するに至った理由を改めて教えてください。この時期に撤退をするという判断に至った経緯も教えていただけますか?F1に参戦する日本の自動車メーカーがなくなることになりますが、トヨタの社長としてこのことをどう考えておられますか?
皆さまご存じの通り、私自身、非常にモータースポーツを個人的にも推進している一人でございます。こういうモータースポーツを自動車文化のひとつのしてきたいという風に精一杯頑張って参りました。そこでの本音の部分と、6月以降に社長になってからのところでは、ちょっと立場が変わったということをご理解いただきたと思います。
この昨年来の経済危機以降、F1を続けるか続けないかということは社内でも大変議論になりました。その中でもやはりモータースポーツを文化として育て上げたいんだという強い意志のもと、TMG、ここにいる山科専務、ハウエットさんをはじめ、非常にチームにも頑張ってコスト削減等をやってもらいました。ありとあらゆる手を尽くしてやってまいりました。ファンの方々からも、唯一残された日本チームとして応援いただきましたことを本当に感謝申し上げたいと思いますし、年初、富士での撤退を決めた時も、サーキットはモビリティランド、そしてチームはトヨタとした頑張っていくということで、本当に最終戦まで頑張って参りました。
そして最終戦が終わった段階、そして今日、社内で取締役会を開きまして、やはり今の経済状況を考えたうえで、撤退せざるを得ないということを決定いたしました。しかしながら、やはりここまで育ていただいた関係者の皆さま、そして応援いただいているファンの皆さまの期待を裏切ってしまったことを、私もいちモータースポーツのファンして大変苦渋の決断であったことをご理解いただきたいと思います。
社長自身、今回の判断をどういった基準で決めていったのでしょうか?
判断でございますが、私自身6月以降、社長という立場から、そして最終決断は取締役会という場で皆様の意見を聞きながらやりましたけれども、最終判断は私がさせて頂きました。私自身、レースはクルマを鍛えると同時に、人を強く育てる素晴らしい現場であり、そういう意味でのクルマ文化を育てるために、F1は残念ながら撤退いたしますが、そういう意味でこれからもアウトプットを今後商品というものに持っていきたいと思いますし、ファンの方々に関しては、F1だけのファンの方々には大変申し訳ないと思っておりますけれども、モータースポーツを本当に底辺からかつ幅広く、我々もこれから支えていきたいという風に思いますし、その辺はぜひともご理解賜りたいと思います。
来シーズン、エンジンだけの供給もなく完全撤退と捉えて良いですか?WRCやル・マンにも過去に参戦されていましたが、少なくとも今後、収益が改善されるまで国際的なシリーズには参戦しないと考えてよろしいでしょうか?
F1に関しましては、完全撤退とお考えいただいていいと思います。他の国際レースに関しましては、現在やっています他のレースに関しましては継続させていただきますが、それ以外のことはまったく白紙です。
今年は優勝のチャンスがありながらも優勝できませんした。もしも優勝したていたなら、F1を続けていた可能性はあったのでしょうか?今回の撤退は単にトヨタという一つの会社が撤退するというのではなく、世界一の自動車メーカーがF1から撤退するという意味であるわけですが、どのようにお考えですか?
今年の結果でございますが、私も今年は本当によく頑張ってくれたなと思います。ひとつはシンガポールGP、そして日本GPで準優勝を達成いたしました。特に日本GPは私も応援に行きましたけれども、本当にチームワークそのものの勝利であったというふうに思います。ですから、優勝を逃したというよりは、私はチーム全体が準優勝というものを勝ち取ったと思っておりますので、本当にチームメンバーに対しては「準優勝に胸をはれ」というようなことを伝えました。そして、残る2戦においては、グロックさんのこともあったのですが、私どものTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)出身の小林可夢偉くんが、F1の第3ドライバーをずっと務めながら、最後に2戦に出れたことは、私自身も非常に良かったなと思っております。2戦ではありましたけれども、F1サーキットを実際に日本人が走り、そして入賞し、立派な戦いを示したと思います。そのあと継続してチャンスを与えてあげられないことは大変申し訳ないと思いますけれども、彼ら、中嶋くんを含めまして、まだ若いので、このあと今年までの走りをいろいろ評価されて、必ずや彼らにまたチャンスが来ることをお祈りしたいし、いろんな形で応援していきたいと思っております。優勝したかしないかで、私はこの結果は変わらないと思いますし、私は準優勝で胸をはらせてあげたいと思います。
去年のホンダに続き、トヨタは2012年まで参戦すると一旦発表されたにも関わらず、今回このようになったことで、日本企業は強い意志はないと世界に与えてしまったと思います。自動車メーカーのリーディングカンパニーとしてモータースポーツへの責任というものをどのようにお考えでしょうか?また北米のNASCARは継続するのでしょうか?継続するのであればその理由は?
モータースポーツというのは、底辺のところから裾野が広い活動だと思っております。その最高位に位置するのがF1、フォーミュラワンだと思っております。ですから、すべてのモータースポーツに関わっている人々が最後に目指す姿、最後にそこでというのがF1のサーキットだと思います。その中において、そこへの登竜門として、それぞれの地域によって、いろいろ地域における文化みたいなものがあると思います。それが、アメリカではいうとNASCAR。南米ではラリー、日本ではGT選手権など、それぞれの地域に根付くモータースポーツがあると理解をしております。私どもは今回、そのモータースポーツの中の最高峰のF1の撤退を宣言させていただいておりますが、その各地域におけるところまでは今後も活動していくということでご理解たまわりたい。なぜ、F1をやめて他をやるんだことでございますが、より地域に根ざした形でのことを、すべてにゆとりがあれば、すべてやらしていただきますが、今はすべてやることが不可能とこの1年間で判断したしました。相当、頑張りました。そして、1年前に継続するという風に当社として申したのも、本当に継続するつもりで申し上げました。そのように1年間本当に努力したが、この先を考えると今回はこういう決断をせざるを得なかったということです。
関連:トヨタ、F1撤退を正式発表 - 2009年11月4日
カテゴリー: F1 / トヨタ
皆さまご存じの通り、私自身、非常にモータースポーツを個人的にも推進している一人でございます。こういうモータースポーツを自動車文化のひとつのしてきたいという風に精一杯頑張って参りました。そこでの本音の部分と、6月以降に社長になってからのところでは、ちょっと立場が変わったということをご理解いただきたと思います。
この昨年来の経済危機以降、F1を続けるか続けないかということは社内でも大変議論になりました。その中でもやはりモータースポーツを文化として育て上げたいんだという強い意志のもと、TMG、ここにいる山科専務、ハウエットさんをはじめ、非常にチームにも頑張ってコスト削減等をやってもらいました。ありとあらゆる手を尽くしてやってまいりました。ファンの方々からも、唯一残された日本チームとして応援いただきましたことを本当に感謝申し上げたいと思いますし、年初、富士での撤退を決めた時も、サーキットはモビリティランド、そしてチームはトヨタとした頑張っていくということで、本当に最終戦まで頑張って参りました。
そして最終戦が終わった段階、そして今日、社内で取締役会を開きまして、やはり今の経済状況を考えたうえで、撤退せざるを得ないということを決定いたしました。しかしながら、やはりここまで育ていただいた関係者の皆さま、そして応援いただいているファンの皆さまの期待を裏切ってしまったことを、私もいちモータースポーツのファンして大変苦渋の決断であったことをご理解いただきたいと思います。
社長自身、今回の判断をどういった基準で決めていったのでしょうか?
判断でございますが、私自身6月以降、社長という立場から、そして最終決断は取締役会という場で皆様の意見を聞きながらやりましたけれども、最終判断は私がさせて頂きました。私自身、レースはクルマを鍛えると同時に、人を強く育てる素晴らしい現場であり、そういう意味でのクルマ文化を育てるために、F1は残念ながら撤退いたしますが、そういう意味でこれからもアウトプットを今後商品というものに持っていきたいと思いますし、ファンの方々に関しては、F1だけのファンの方々には大変申し訳ないと思っておりますけれども、モータースポーツを本当に底辺からかつ幅広く、我々もこれから支えていきたいという風に思いますし、その辺はぜひともご理解賜りたいと思います。
来シーズン、エンジンだけの供給もなく完全撤退と捉えて良いですか?WRCやル・マンにも過去に参戦されていましたが、少なくとも今後、収益が改善されるまで国際的なシリーズには参戦しないと考えてよろしいでしょうか?
F1に関しましては、完全撤退とお考えいただいていいと思います。他の国際レースに関しましては、現在やっています他のレースに関しましては継続させていただきますが、それ以外のことはまったく白紙です。
今年は優勝のチャンスがありながらも優勝できませんした。もしも優勝したていたなら、F1を続けていた可能性はあったのでしょうか?今回の撤退は単にトヨタという一つの会社が撤退するというのではなく、世界一の自動車メーカーがF1から撤退するという意味であるわけですが、どのようにお考えですか?
今年の結果でございますが、私も今年は本当によく頑張ってくれたなと思います。ひとつはシンガポールGP、そして日本GPで準優勝を達成いたしました。特に日本GPは私も応援に行きましたけれども、本当にチームワークそのものの勝利であったというふうに思います。ですから、優勝を逃したというよりは、私はチーム全体が準優勝というものを勝ち取ったと思っておりますので、本当にチームメンバーに対しては「準優勝に胸をはれ」というようなことを伝えました。そして、残る2戦においては、グロックさんのこともあったのですが、私どものTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)出身の小林可夢偉くんが、F1の第3ドライバーをずっと務めながら、最後に2戦に出れたことは、私自身も非常に良かったなと思っております。2戦ではありましたけれども、F1サーキットを実際に日本人が走り、そして入賞し、立派な戦いを示したと思います。そのあと継続してチャンスを与えてあげられないことは大変申し訳ないと思いますけれども、彼ら、中嶋くんを含めまして、まだ若いので、このあと今年までの走りをいろいろ評価されて、必ずや彼らにまたチャンスが来ることをお祈りしたいし、いろんな形で応援していきたいと思っております。優勝したかしないかで、私はこの結果は変わらないと思いますし、私は準優勝で胸をはらせてあげたいと思います。
去年のホンダに続き、トヨタは2012年まで参戦すると一旦発表されたにも関わらず、今回このようになったことで、日本企業は強い意志はないと世界に与えてしまったと思います。自動車メーカーのリーディングカンパニーとしてモータースポーツへの責任というものをどのようにお考えでしょうか?また北米のNASCARは継続するのでしょうか?継続するのであればその理由は?
モータースポーツというのは、底辺のところから裾野が広い活動だと思っております。その最高位に位置するのがF1、フォーミュラワンだと思っております。ですから、すべてのモータースポーツに関わっている人々が最後に目指す姿、最後にそこでというのがF1のサーキットだと思います。その中において、そこへの登竜門として、それぞれの地域によって、いろいろ地域における文化みたいなものがあると思います。それが、アメリカではいうとNASCAR。南米ではラリー、日本ではGT選手権など、それぞれの地域に根付くモータースポーツがあると理解をしております。私どもは今回、そのモータースポーツの中の最高峰のF1の撤退を宣言させていただいておりますが、その各地域におけるところまでは今後も活動していくということでご理解たまわりたい。なぜ、F1をやめて他をやるんだことでございますが、より地域に根ざした形でのことを、すべてにゆとりがあれば、すべてやらしていただきますが、今はすべてやることが不可能とこの1年間で判断したしました。相当、頑張りました。そして、1年前に継続するという風に当社として申したのも、本当に継続するつもりで申し上げました。そのように1年間本当に努力したが、この先を考えると今回はこういう決断をせざるを得なかったということです。
関連:トヨタ、F1撤退を正式発表 - 2009年11月4日
カテゴリー: F1 / トヨタ