レッドブルF1の重鎮ポール・モナハン退団へ キャデラック加入が濃厚

RacingNews365が複数の関係者への取材で確認したもので、20年以上にわたりチームを支えてきたベテラン技術者の退団は、近年続く主要スタッフ流出の流れをさらに加速させる出来事となりそうだ。
モナハンの退団の可能性については今週、ドイツのポッドキャストで最初に報じられ、その後GPblogもキャデラック移籍の見通しを伝えていた。RacingNews365は今回、オーストリアGPのパドックで複数の情報筋への取材を通じて、この情報を確認したとしている。
モナハンは2005年、レッドブルがF1参戦を開始した直後にチームへ加入。エイドリアン・ニューウェイとほぼ同じ時期から在籍し、セバスチャン・ベッテルによる4年連続タイトル獲得、ハイブリッド時代の再建、そしてマックス・フェルスタッペン時代の黄金期まで、チームのあらゆる成功を技術面から支えてきた。
キャデラック加入へ 退団時期は未定
モナハンは58歳。RacingNews365によると、キャデラックのエンジニアリング部門で幹部職に就く予定だという。アストンマーティンからも主要ポストのオファーを受けていたとされるが、最終的な移籍先はキャデラックになる見込みだ。
ただし、退団の正式な手続きはまだ始まっておらず、現在もレッドブルでチーフエンジニアを務めている。退団後はガーデニング休暇に入るとみられ、仮に2026年シーズン終了後にチームを離れた場合でも、キャデラックで本格的に業務を開始するのは2027年夏から秋頃になる可能性が高い。
RacingNews365はレッドブルとキャデラックの双方にコメントを求めたが、両チームともコメントを控えている。
表舞台には立たない「現場の司令塔」
モナハンの肩書きは「Chief Engineer, Car Engineering」だが、その役割はマシンの理論上の性能を実際のラップタイムへと結び付けることにあった。
設計部門が速いマシンを生み出しても、それをサーキットごとの特性や気温、タイヤ、燃料搭載量、セットアップの違いに合わせて最大限機能させるには高度な現場対応力が必要となる。モナハンは設計と実戦の橋渡し役として、問題解決能力に優れたエンジニアとして高く評価されてきた。
マクラーレン時代にはドライビングペダルの設計に携わったことから「ペダルズ(Pedals)」の愛称で知られ、ニューウェイやクリスチャン・ホーナーほど表舞台に立つ存在ではなかったものの、チーム内では厚い信頼を集める重要人物だった。

続く主要スタッフ流出
今回の退団は、レッドブルにとってタイミングの面でも大きな痛手とみられている。
すでにエイドリアン・ニューウェイはアストンマーティンへ移籍し、ロブ・マーシャルとウィル・コートニーはマクラーレンへ、ジョナサン・ウィートリーはアウディのチーム代表へ転身した。
さらにマックス・フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼも2028年にマクラーレンへ移籍する。
それぞれの退団は個別に見れば理由のある人事異動だが、短期間にこれだけ多くの中核メンバーがチームを離れる状況は、レッドブルの組織体制に少なからぬ影響を及ぼす可能性がある。
また、フェルスタッペンは以前から、自身を支える主要スタッフの安定性を重視する姿勢を示してきた。トップドライバーに必要なのは速いマシンだけではなく、開発方針やレース運営、マシン挙動を正確に理解し、フィードバックを共有できる技術陣への信頼でもある。長年フェルスタッペンを支えてきたモナハンの退団は、その環境から経験豊富な重要人物が一人減ることを意味する。
キャデラックには大きな戦力
一方で、キャデラックにとってモナハンの加入は大きな補強となる。
新たなワークスチームには資金や設備だけでなく、勝てる組織を知る経験豊富な人材が不可欠だ。モナハンはマクラーレン、ベネトン、ジョーダン、そしてレッドブルで培った豊富な経験を持ち、トップチームがどのような組織運営や意思決定で成功を収めるのかを熟知している。
モナハンは1990年にマクラーレンでF1キャリアをスタートし、研究開発部門を経てデビッド・クルサードのデータエンジニアを担当。2000年にはベネトンからルノーへ移行するエンストンのチームへ移籍し、ジェンソン・バトンやフェルナンド・アロンソのレースエンジニアを務めた。アロンソとともに2003年ハンガリーGPで初優勝を経験した後、ジョーダンを経て2005年にレッドブルへ加入し、20年以上にわたりチームの成功を支えてきた。
今回の退団が正式に決まれば、レッドブルはまた一人、黄金時代を築いた経験豊富な技術リーダーを失うことになる。一方でキャデラックは、新興チームの組織づくりに不可欠な経験とノウハウを持つ重要人物を迎え入れることになり、両チームにとって大きな意味を持つ人事となりそうだ。
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング
