勝利至上主義のレッドブルF1 新代表ローラン・メキースに問われる“勝負勘”

メキースは、その豊富な経験と冷静な判断力に期待が寄せられる一方で、F1界では「トップチームを率いるうえで不可欠な“キラー・インスティンクト(勝負勘)”を彼が持ち合わせているのかどうかは、まだ分からない」との声もある。
メキースは、規律と現場理解に優れる「テクノクラート」として知られているが、レッドブルのような勝利至上主義の環境で問われるのは、単なる管理能力以上の資質だ。冷静さと、闘争心。その両方を兼ね備えてこそ、F1の頂点に立ち続けることができる。
独紙『Bild』は、ホーナーが姉妹チームであるレーシング・ブルズのマーケティング全体の管理権を手放すことを拒否したことが、解任の「最後の一押し」だったと報じている。
元F1最高責任者のバーニー・エクレストンは英『Telegraph』紙にこう語った。
「結局のところ、彼が好き勝手にやっていると感じていた人たちがいたんだ。レッドブル・リンクじゃなくて、“クリスチャン・ホーナー・リンク”になっているみたいに振る舞っていた。」
「彼は本当に多くのことを見逃されていた。結果を出しているうちは皆目をつぶる。でも、結果が出なくなると、皆が目を開くんだ。」
昨年の“セクスティング”スキャンダルも尾を引いた。エクレストンは「彼はただのバカだったよ。50歳にもなって、自分を20歳だと思ってるような男だった。まるでチームの仲間の一人かのように振る舞っていた」と厳しい言葉を投げかけた。
元ブリヂストン/フェラーリのエンジニア、ケース・ファン・デル・グリントも「大きな喧嘩があったのかもしれないね。とても奇妙な話だと思うけど、詳しいことは分からない」とコメントしている。
また、近年のレッドブルは、成績低下とスタッフの大量離脱に悩まされていた。ファン・デル・グリントは「それについては、会社全体のリーダーとしてホーナーに責任があるだろう。ただし、彼がクルマを作っているわけじゃない」と指摘する。

そんな中、後任として白羽の矢が立ったのがローラン・メキースだ。レーシング・ブルズからの内部昇格となる。F1レジェンドのゲルハルト・ベルガーは、オーストリア紙『Krone』に次のように語っている。
「ローランとは以前から関わってきた。フェラーリ時代も一緒だったし、トロロッソ、FIAでも一緒に仕事をした。」
「彼は良いスタイルを持っているし、F1のこともよく分かっている。いろいろな立場を経験してきたからね。」
そして、核心となる言葉が続く。
「ただし、トップチームに必要な“キラー・インスティンクト”(勝負勘)を彼が持っているかどうかは、まだ分からない。でも、レッドブル・レーシングにとって、彼は良い選択だと思うよ。」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング