レッドブルF1 「トロロッソに降格した際のクビアトの精神状態は壊れていた」
レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ダニール・クビアトがトロロッソの降格した際には精神状態が“完全に壊れていた”と語る。

レッドブルの育成プログラムで育った2014年にトロロッソでF1デビューを果たしたダニール・クビアトは、セバスチャン・ベッテルのフェラーリ移籍に伴って2015年にレッドブルに昇格。

2016年も引き続きレッドブルで開幕戦を迎えたが、序盤戦にベッテルとのクラッシュが続き、レッドブルはマックス・フェルスタッペンに代えてクビアトをトロロッソに降格させた。

トロロッソでのダニール・クビアトはスタンプを抜け出すことができず、2017年シーズン途中にピエール・ガスリーと代わる形でF1シートを喪失。レッドブルのプログラムからも外された。

2019年にはピエール・ガスリーがかつてのダニール・クビアトと同じようにレッドブルからトロロッソへの降格を経験したが、ガスリーはF1ブラジルGPで2位表彰台を獲得するなど、パフォーマンスを取り戻した。

ヘルムート・マルコは、トロロッソの降格したダニール・クビアトの精神状態は“壊れていた”と語る。

「そのような瞬間は心理状態がいかに重要かを理解するものだ」とヘルムート・マルコは続ける。

「ガスリーにあのような復活を期待していたと言えば嘘になるだろう。だが、完全に壊れてしまったクビアトとは異なり、ガスリーは開花した。それは彼自身、そして、我々にとっても幸運だった」

「ピエールはレッドブルに戻り、すぐに我々がレッドブルに昇格させたときと同じガスリーになった。彼は教訓を学び、レッドブルでの半年間から正しい結論を下した。将来、彼は多くのことを達成できると思っている」

2018年をフェラーリF1チームのシミュレータードライバーとして過ごしたダニール・クビアトは2019年にトロロッソ・ホンダでF1復帰。F1ドイツGPで3位表彰台を獲得した。

ダニール・クビアトが、将来レッドブルに復帰することを期待できるかと質問されたヘルムート・マルコは「はい、そうだと思う。彼はまだ一貫性を追加する必要があるが、彼はアブダビで非常に強力なレースを戦った」とコメント。

「ホッケンハイムの表彰台も素晴らしかったが、ラップタイムと彼がどのようにタイヤを働かせたかについて話せば、アブダビが彼のシーズンのベストレースだった」

ダニール・クビアトは、F1でレッドブルへの昇格とトロロッソへの降格を経験したチームメイトのピエール・ガスリーにとって自分は“生きた手本”だと語る。

「このチームを経験したほぼ全員が非常に才能があるドライバーだと思う」とダニール・クビアトはコメント。

「タイミング的に不運だった人もいる。レッドブル・レーシングでの僕のようにね。チーム内はベストなタイミングではなかった。レッドブルで彼に何が起こったのかについてあまりピエールと話したいとは思わない。それは正しくはないだろう」

「でも、今はもちろんすべてが大丈夫だ。彼はレッドブルでの時間は短かったが、彼の前にはレッドブルから落とされてもすべてが可能だということを示す良いお手本がいる。彼らが僕たち二人に2度目のチャンスを与えてくれたのは良いことだと思う」

ダニール・クビアトは、現在、レッドブルにとってF1のためのオプションが限られていることが、彼らのシートを維持するための助けになったと感じている。

「タイミングがうまくいくときもあれば、タイミングが合わないときもある」とダニール・クビアトは続ける。

「最終的には、辛抱強く仕事をして、適切なタイミングに適切な場所にいることが重要だ。現在の状況や過去の状況について深く考えたくはない。とにかくそれが起こったことだからね。起こりえなかったかもしれないけど、それは起こった。僕はかなりハッピーだ」

「もちろん、僕はいつもレッドブルに感謝している。彼らは僕にとても厳しかったけど、それは僕にとってとても良いことでもあった。感謝していることはたくさんある。関係が強くなり続けていくことを願っている」

ドライバーズ選手権ではルノーF1チームのニコ・ヒュルケンベルグと同点の37ポイントを獲得し、最高成績で上回り13位で終えた。

「正直、とても満足している」とダニール・クビアトはコメント。

「はっきりとF1でのベストシーズンのひとつだったと言える。とてもハッピーだ。思い通りに進んだレースもあれば、そうではないレースもあった。でも、これが僕たちミッドフィールドの仕事だ。非常にタイトで、小さなミスを犯せば、チャンスが失われる可能性がある。でも、それが僕たち全員が知っているスポーツの一部だ。今年はF1での過去数年よりも良いドライバーだったと思う」

トロロッソは、チーム新記録となる85ポイントを獲得してコンストタクラーズ選手権を6位でフィニッシュ。ダニール・クビアトも、アルファタウリになる前のトロロッソとしての最後のシーズズをベストなシーズンにできたと考えている。

「トロロッソにとって非常に力強い一年だったのは確かだ。たぶんチーム史上最高の年だったと言えるかもしれない」とダニール・クビアトは語る。

「その一員になれたこと、そして、今年のチーム内の雰囲気は素晴らしかった。チームは常にとても良いパフォーマスを発揮していたと思う。シーズン開幕からかなり一貫してポイント圏内にいたし、常にチャンスを非常にうまく生かしていた。戦略にとってそこになかったポイントでさえ時々獲得することができたのは非常に重要だった。来年にむけた良い後押しになると思う」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / トロロッソ / ダニール・クビアト