MotoGP | ホンダ 第12戦 イギリスGP プレビュー
2019年のMotoGP 第12戦イギリスGPが、8月23日(金)~25日(日)の3日間、ノーザンプトン郊外のシルバーストン・サーキットで開催される。後半戦のスタートとなった第10戦チェコGP、そして第11戦オーストリアGPと続いた2連戦の後に開催されるのはこれで3年連続。昨年は断続的に降る雨と改修された路面の水はけの悪さで決勝レースがキャンセルとなったが、今年は問題となった路面の改修工事も終わり、2年ぶりの決勝レースが行われる予定だ。
イギリスGPは、1949年から1976年までは「Tourist Trophy」として、マン島の公道コースで開催されていた。マン島は、Hondaが世界に初挑戦した舞台で、最高峰クラスでは、1966年と67年にマイク・ヘイルウッドが優勝している。その後、77年~86年の10年間はシルバーストンへと舞台を移し、84年にはランディ・マモラ、85年にはフレディ・スペンサー、そして86年にワイン・ガードナーと、グランプリの歴史に名を刻んだ名選手たちが、Hondaのマシンで優勝した。
87年~2009年の23年間は、ドニントンパークで開催され、Hondaはガードナー、ミック・ドゥーハン、アレックス・クリビーレ、バレンティーノ・ロッシ、マックス・ビアッジ、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾが通算11勝を挙げている。そして、2010年には再び、コースの全面改修を終えたシルバーストンでグランプリが開催されるようになり、今年で10年連続となる。
シルバーストンは、1周5.900km。現在、グランプリが開催されているサーキットでは、最も長いコースだ。アベレージスピードは時速175km前後。オーストリアGPのレッドブル・リンク、イタリアGPの開催地であるムジェロ、オーストラリアGPが行われるフィリップアイランドと並び、カレンダー屈指の高速サーキットだ。Hondaは過去9度(昨年は決勝レースがキャンセルされたので8度)の大会では、11年にケーシー・ストーナー、14年にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が優勝している。それ以降、優勝がないHonda勢だが、今年は5年ぶりの大会制覇を目指す。
11戦を終えて6勝を含む10回の表彰台獲得で総合首位のマルケスは、2位のドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に58ポイント差のリードを築いている。13年に史上最年少20歳で初優勝とシリーズチャンピオンを獲得したマルケスは、その後、シーズン最多優勝記録とポールポジション(PP)記録、最年少連続タイトル獲得など、史上最年少記録を数多く塗り替えてきた。今年は26歳で最高峰クラス6回目のタイトル獲得という偉業達成に向けて大きく前進しており、今大会は重要な戦いとなる。
過去、Hondaのマシンで最高峰クラス最多タイトル獲得は94年から98年まで5年連続タイトルを獲得したドゥーハンだが、今年はその記録更新に大きな期待が膨らんでいる。前戦オーストリアGPでは今季7回目のPPを獲得し、最高峰クラスではミック・ドゥーハンの「58」回のPP記録を更新する最多記録の「59」を達成するなど調子を上げている。ここからの8戦、チーム一丸となってタイトル獲りに全力を尽くすことになる。
過去、シルバーストンでマルケスは、10年に125cc(現Moto3)クラスで優勝、12年にはMoto2クラスで3位。MotoGPクラスにステップアップした13年は2位になり、14年の大会では優勝した。以後、雨のレースとなった15年は優勝争いに加わるも転倒リタイア。16年はタイヤの選択がベストではなく4位、17年はエンジントラブルでリタイアと不運のレースが続き、4年ぶりの優勝を目指した昨年は、決勝レースがキャンセルとなった。全クラスの決勝レースがキャンセルされたのは、降雪のために中止になった1980年のオーストリアGP以来のことだった。
シルバーストンは不安定な天候になることが多く、選手たちを悩ませます。マルケスは過去9回の大会において、125cc(10年)、Moto2(11年)、MotoGPでは、13年、14年、15年、17年と4回の合計6回のPPを獲得している。しかし、不安定な天候に加え、スリップストリームの使い合い、タイヤ選択の難しさなどシーズンを通してもっとも予測のつけられないサーキットの一つとなっており、予選の速さをなかなか結果に結びつけられないレースが続いている。今年は今季7勝目と14年以来の優勝を目指す。
前戦オーストリアGPを終えて総合9位につけるカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、開幕戦カタールGPで3位、第9戦ドイツGPで3位獲得していますが、ホームGPを迎える今大会は、今季3度目の表彰台と今季初優勝を目指す。
クラッチローが、チェコGPでMotoGP初優勝を達成した16年は、シーズン2勝を挙げる大活躍だった。イギリス人が最高峰クラスで優勝したのは1981年のバリー・シーン以来、35年ぶりの快挙。その勢いで迎えた16年のイギリスGPでは、77年のバリー・シーン以来、39年ぶりに英国人ライダーがホームGPでPPを獲得という偉業に地元ファンは大喜びだった。そして決勝では2位と地元ファンの期待に応えた。17年の大会は4位。その雪辱に燃えた昨年は決勝レースがキャンセルとなっており、今年は2年ぶりのホームGP決勝で、地元ファンを喜ばせる意気込みだ。
11戦を終えて5位を最高位に総合10位につける中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、得意のサーキットで今季ベストを目指す。Moto2時代の16年に3位、17年に優勝。MotoGPクラスにスイッチした昨年は決勝レースがキャンセルとなっており、今年がシルバーストン初チャレンジとなる。昨年の予選は目まぐるしく変化するウエットコンディションの中で、タイヤ選択をミスして19番手と苦戦した。コースが長いため、変わりやすい天候になったときは素早い決断が必要になるが、昨年の苦い経験を活かし、今年はダイレクトでのQ2進出を目指す。
第8戦オランダGPのフリー走行で転倒、背中を痛め、第11戦オーストリーGPまで欠場していたホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)が、4戦ぶりに復帰する。過去、シルバーストンでは3回の優勝を経験しており、復帰戦にふさわしいサーキットとなった。ロレンソも復帰戦を待ちきれない様子だ。4戦ぶりにレギュラーライダーが揃ったRepsol Honda Teamの今大会の活躍に注目だ。
マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「シルバーストンですばらしいレースを楽しめることを願っています。このサーキットではこれまで運に見放されていましたが、今年はこれまでにはない強さがあります。サーキットはとてもバンピーでしたが、新しくなった路面がどうなっているか、とても楽しみです。もちろん天候も気にしなければなりませんが全力を尽くします」
カル・クラッチロー(MotoGP 総合9位)
「ホームグランプリがとても楽しみです。このサーキットでは、過去にすばらしいレースをしてきました。今年もすばらしい結果を残せるようにベストを尽くします。サーキットは完全に再舗装されました。昨年は決勝日に悪天候に見舞われ、レースがキャンセルとなってしまい残念でした。ホームグランプリは毎年とても忙しい週末になります。その忙しい日々もモチベーションにつながります。レースでいい結果を残すことを楽しみにしています」
中上貴晶(MotoGP 総合10位)
「ブルノとレッドブル・リンクで行われたレースはポジティブだったのでシルバーストンもとても楽しみにしています。このサーキットは大好きです。昨年は悪天候のためレースがキャンセルになったので、MotoGPマシンで決勝を走るのは今回が初めてになります。今年はレースウイークを通して雨が降らないことを願っています。そうすればまた一歩前進できると思います。チェコとオーストリアでは、カルとマルクからたくさんのことを学びました。そのおかげで大きく前進して速くなることができました。この調子で引き続きがんばりたいです。そして安定してトップ10に入りたいです。もし可能であればトップ5か6にもチャレンジしたいです」
ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 総合19位)
「Repsol Honda Teamに戻ってくることができてとてもうれしいです。アッセンでケガをしてから、とても長かったです。もっと早く戻りたかったのですが、ケガの回復に時間がかかりました。サーキットから離れている間、シルバーストンに向けて一生懸命取り組んできました。スピードを取り戻すのには時間がかかることは分かっていますが、チームのもとに戻れることがうれしいです。準備はできています。前進して、いい結果を残したいです」
カテゴリー: F1 / MotoGP
イギリスGPは、1949年から1976年までは「Tourist Trophy」として、マン島の公道コースで開催されていた。マン島は、Hondaが世界に初挑戦した舞台で、最高峰クラスでは、1966年と67年にマイク・ヘイルウッドが優勝している。その後、77年~86年の10年間はシルバーストンへと舞台を移し、84年にはランディ・マモラ、85年にはフレディ・スペンサー、そして86年にワイン・ガードナーと、グランプリの歴史に名を刻んだ名選手たちが、Hondaのマシンで優勝した。
87年~2009年の23年間は、ドニントンパークで開催され、Hondaはガードナー、ミック・ドゥーハン、アレックス・クリビーレ、バレンティーノ・ロッシ、マックス・ビアッジ、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾが通算11勝を挙げている。そして、2010年には再び、コースの全面改修を終えたシルバーストンでグランプリが開催されるようになり、今年で10年連続となる。
シルバーストンは、1周5.900km。現在、グランプリが開催されているサーキットでは、最も長いコースだ。アベレージスピードは時速175km前後。オーストリアGPのレッドブル・リンク、イタリアGPの開催地であるムジェロ、オーストラリアGPが行われるフィリップアイランドと並び、カレンダー屈指の高速サーキットだ。Hondaは過去9度(昨年は決勝レースがキャンセルされたので8度)の大会では、11年にケーシー・ストーナー、14年にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が優勝している。それ以降、優勝がないHonda勢だが、今年は5年ぶりの大会制覇を目指す。
11戦を終えて6勝を含む10回の表彰台獲得で総合首位のマルケスは、2位のドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に58ポイント差のリードを築いている。13年に史上最年少20歳で初優勝とシリーズチャンピオンを獲得したマルケスは、その後、シーズン最多優勝記録とポールポジション(PP)記録、最年少連続タイトル獲得など、史上最年少記録を数多く塗り替えてきた。今年は26歳で最高峰クラス6回目のタイトル獲得という偉業達成に向けて大きく前進しており、今大会は重要な戦いとなる。
過去、Hondaのマシンで最高峰クラス最多タイトル獲得は94年から98年まで5年連続タイトルを獲得したドゥーハンだが、今年はその記録更新に大きな期待が膨らんでいる。前戦オーストリアGPでは今季7回目のPPを獲得し、最高峰クラスではミック・ドゥーハンの「58」回のPP記録を更新する最多記録の「59」を達成するなど調子を上げている。ここからの8戦、チーム一丸となってタイトル獲りに全力を尽くすことになる。
過去、シルバーストンでマルケスは、10年に125cc(現Moto3)クラスで優勝、12年にはMoto2クラスで3位。MotoGPクラスにステップアップした13年は2位になり、14年の大会では優勝した。以後、雨のレースとなった15年は優勝争いに加わるも転倒リタイア。16年はタイヤの選択がベストではなく4位、17年はエンジントラブルでリタイアと不運のレースが続き、4年ぶりの優勝を目指した昨年は、決勝レースがキャンセルとなった。全クラスの決勝レースがキャンセルされたのは、降雪のために中止になった1980年のオーストリアGP以来のことだった。
シルバーストンは不安定な天候になることが多く、選手たちを悩ませます。マルケスは過去9回の大会において、125cc(10年)、Moto2(11年)、MotoGPでは、13年、14年、15年、17年と4回の合計6回のPPを獲得している。しかし、不安定な天候に加え、スリップストリームの使い合い、タイヤ選択の難しさなどシーズンを通してもっとも予測のつけられないサーキットの一つとなっており、予選の速さをなかなか結果に結びつけられないレースが続いている。今年は今季7勝目と14年以来の優勝を目指す。
前戦オーストリアGPを終えて総合9位につけるカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、開幕戦カタールGPで3位、第9戦ドイツGPで3位獲得していますが、ホームGPを迎える今大会は、今季3度目の表彰台と今季初優勝を目指す。
クラッチローが、チェコGPでMotoGP初優勝を達成した16年は、シーズン2勝を挙げる大活躍だった。イギリス人が最高峰クラスで優勝したのは1981年のバリー・シーン以来、35年ぶりの快挙。その勢いで迎えた16年のイギリスGPでは、77年のバリー・シーン以来、39年ぶりに英国人ライダーがホームGPでPPを獲得という偉業に地元ファンは大喜びだった。そして決勝では2位と地元ファンの期待に応えた。17年の大会は4位。その雪辱に燃えた昨年は決勝レースがキャンセルとなっており、今年は2年ぶりのホームGP決勝で、地元ファンを喜ばせる意気込みだ。
11戦を終えて5位を最高位に総合10位につける中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、得意のサーキットで今季ベストを目指す。Moto2時代の16年に3位、17年に優勝。MotoGPクラスにスイッチした昨年は決勝レースがキャンセルとなっており、今年がシルバーストン初チャレンジとなる。昨年の予選は目まぐるしく変化するウエットコンディションの中で、タイヤ選択をミスして19番手と苦戦した。コースが長いため、変わりやすい天候になったときは素早い決断が必要になるが、昨年の苦い経験を活かし、今年はダイレクトでのQ2進出を目指す。
第8戦オランダGPのフリー走行で転倒、背中を痛め、第11戦オーストリーGPまで欠場していたホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)が、4戦ぶりに復帰する。過去、シルバーストンでは3回の優勝を経験しており、復帰戦にふさわしいサーキットとなった。ロレンソも復帰戦を待ちきれない様子だ。4戦ぶりにレギュラーライダーが揃ったRepsol Honda Teamの今大会の活躍に注目だ。
マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「シルバーストンですばらしいレースを楽しめることを願っています。このサーキットではこれまで運に見放されていましたが、今年はこれまでにはない強さがあります。サーキットはとてもバンピーでしたが、新しくなった路面がどうなっているか、とても楽しみです。もちろん天候も気にしなければなりませんが全力を尽くします」
カル・クラッチロー(MotoGP 総合9位)
「ホームグランプリがとても楽しみです。このサーキットでは、過去にすばらしいレースをしてきました。今年もすばらしい結果を残せるようにベストを尽くします。サーキットは完全に再舗装されました。昨年は決勝日に悪天候に見舞われ、レースがキャンセルとなってしまい残念でした。ホームグランプリは毎年とても忙しい週末になります。その忙しい日々もモチベーションにつながります。レースでいい結果を残すことを楽しみにしています」
中上貴晶(MotoGP 総合10位)
「ブルノとレッドブル・リンクで行われたレースはポジティブだったのでシルバーストンもとても楽しみにしています。このサーキットは大好きです。昨年は悪天候のためレースがキャンセルになったので、MotoGPマシンで決勝を走るのは今回が初めてになります。今年はレースウイークを通して雨が降らないことを願っています。そうすればまた一歩前進できると思います。チェコとオーストリアでは、カルとマルクからたくさんのことを学びました。そのおかげで大きく前進して速くなることができました。この調子で引き続きがんばりたいです。そして安定してトップ10に入りたいです。もし可能であればトップ5か6にもチャレンジしたいです」
ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 総合19位)
「Repsol Honda Teamに戻ってくることができてとてもうれしいです。アッセンでケガをしてから、とても長かったです。もっと早く戻りたかったのですが、ケガの回復に時間がかかりました。サーキットから離れている間、シルバーストンに向けて一生懸命取り組んできました。スピードを取り戻すのには時間がかかることは分かっていますが、チームのもとに戻れることがうれしいです。準備はできています。前進して、いい結果を残したいです」
カテゴリー: F1 / MotoGP