MotoGP:ホンダ 2022年 マンダリカ公式テストレポート
マレーシア・セパンに続き、2月11日から13日までの3日間、インドネシアのマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで公式テストが行われた。マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットは、サーフィンなどマリンスポーツや行楽地として知られるロンボク島にあり、昨年サーキットが完成した。昨年11月にはスーパーバイク世界選手権が初開催され、今年はロードレース世界選手権・第2戦インドネシアGP(3月20日決勝)が開催される。

ポル・エスパルガロがトップタイムでマンダリカテストを終える
インドネシアでは、1996年と1997年の2回、ロードレース世界選手権が開催された。いずれも首都ジャカルタ近郊のセントゥルで開催され、いずれも、Repsol Honda Teamのミック・ドゥーハン(1996年)と岡田忠之(1997年)が、HondaNSR500で優勝している。

新サーキット、マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットは、海に面した一周4.301kmのコースで、ほぼ平坦な地形にあり、最終セクションに緩い登りがあるだけ。セクター1とセクター4は、中低速コーナーが連続するが、サーキットのほとんどが中高速コーナーの連続するハイスピードコースで、今回の公式テストの最高速度は310km/h前後。1周の平均速度は約170km/hだった。

サーキットはパドックや周辺設備の工事が現在も続いており、その影響もあり路面が汚れていたが、3日間を通じて、路面コンディションはよくなり、グリップも上がった。その結果、3日間の総合タイムでは、トップから1秒差に21台がひしめきあう大接戦となり、3月の本番では、さらにタイムが上がることが予想される。

その大接戦の中でトップタイムをマークしたのは、Repsol Honda Teamで2年目のシーズンを迎えるポル・エスパルガロだった。2日間で行われたマレーシアテストもタイムが接近する厳しさだったが、その中でエスパルガロは、トップから0.289秒差の10番手だった。そのテストを終えたときにエスパルガロは、「2022年型RC213V」に非常に手応えを感じたと語っていたが、マンダリカテストでは、1日目と3日目にトップタイムをマークして仕上がりのよさをアピールした。昨年はPP1回、2位表彰台1回という成績でしたが、今年はチャンピオン争いが期待される。

2年ぶりのウインターテスト参加となったRepsol Honda Teamのマルク・マルケスは、マレーシアテストに続き、着実にセットアップを進めた。マルケスは、昨年のシーズン終盤に右目を痛め、2カ月間トレーニングができなかった。その身体作りの遅れを取り戻すため、マレーシアに続き、今回も多くの周回を刻むことに集中した。

30度前後の暑さが続く中で、マルケスは3日間で212ラップを刻み、2日目に2番手タイムをマーク(総合9番手)したが、初日と3日目は、周回数を刻むことに集中した。そして最終日3日目には3度のロングランを実施。1分32秒台で連続ラップを刻み、着実にパフォーマンスが戻ってきていることを感じさせた。

20年シーズンは右腕上腕を骨折し、3度の手術のため、治療とリハビリに9カ月間という多くの時間を費やした。シーズン途中に復帰した昨年は、ウインターテストに参加できず、体力不足という厳しい状況の中で3勝を挙げた。ウインターテストに参加した今年は本来のパフォーマンスを取り戻すテストに取り組み、予想以上に大きな成果を達成した。開幕戦カタールGPは3年ぶりとなるが、3年ぶり7回目のタイトル獲得に向けて、まずは一歩前進のウインターテストとなった。

LCR Honda CASTROLで2年目、MotoGPクラスで3年目を迎えるアレックス・マルケスは、マレーシアテスト、そしてマンダリカテストと着実に前進した。特にマンダリカテストでは、大接戦の中で14番手。最終日3日目は19ラップのロングランに挑み、1分32秒から33秒台で連続ラップをこなし、大きな成長を感じさせた。エスパルガロ、そして兄のマルク同様、22年型RC213Vの仕上がり自信を付けているだけに、2年ぶりの表彰台獲得とMotoGP初優勝が期待される。

MotoGPクラスで5年目のシーズンを迎えるLCR Honda IDEMITSUの中上貴晶は、マレーシアテストに続き、22年型RC213Vのセットアップに集中した。マレーシアテスト、そしてマンダリカテストと中上は仕様の違う車体のテストに多くの時間を割き、サーキットやコンディションの違いに適応できるデータを蓄積した。

中高速コーナーが連続するマンダリカは、開幕戦の舞台となるロサイル・インターナショナル・サーキット同様、中上が得意とするレイアウト。最終日は、2つのサーキットで5日間に及んだウインターテストの締めくくりとして20ラップのロングランに挑み、チームメートのアレックス・マルケスとほぼ同じ1分32秒台で連続ラップをこなした。今年は念願の初表彰台、初優勝に挑むシーズン。ウインターテストの成果に注目だ。

こうして、マレーシア・セパン(2月5、6日)に続き、インドネシア・マンダリカで行われたMotoGPクラスのウインターテストは、これですべて終了となります。開幕戦カタールGP決勝まであと3週間。選手たちはシーズン開幕に向けて体調を整え、開幕戦の舞台となるカタールへと向かう。

ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)
1日目(1位)
「午前中は少しトリッキーなスタートでした。路面は汚れていましたが、周回するごとにだんだん綺麗になり、いい走りができるようになりました。新しいトラックとマシンのことを、さらに学ぶことができ、いいラップも刻むことができました。全体的なリズムはいいと感じていますが、まだ初日です。明日はもう少しみんな速くなると思います。マシンはよくなっています。まだテストは始まったばかりですが、期待したいと思います。今夜は休んで、明日また仕事に戻ります」

2日目(8位)
「今日もまたとてもよい日になりました。全体的に前進することができました。そして、いい方向に進んでいます。マシンの反応は日に日によくなっています。カタールに向けてどんどん準備は進んでいるように感じます。もちろんまだやらなければならない仕事はありますが、今日の接戦の中でこのポジションは悪くありません。昨年、見つけられなかったフィーリングを見つけることができました。特に今日のレースペースはよかったです。これまでの中では、一番だったかもしれません。タイムアタックをしようとしたとき、フロントブレーキの改善が必要だと感じましたが、セクターの合計タイムはよかったです。1周のタイムに集中していたわけではありません。チームの仕事に感謝しています。あと一日です」

3日目(1位)
「プレシーズンの仕事、特にマンダリカの仕事にはとても満足しています。トップタイムを出すことができてうれしいです。それより連続ラップのペースとマシンのフィーリングがとても重要ですが、その点でも今日は思ったようなライディングができました。HRCとRepsol Honda Teamの冬の間の仕事に感謝したいです。これは彼らの多大な努力の結果です。これまでは、ここやセパンのような暑いサーキットではかなり苦戦しましたが、今回はよいテストになりました。ロングランと1周のタイムがよくなりました。昨日は小さな問題を解決することができました。それが1周のスピードにとても役立ちました。これから少し休んで、カタールへ向けて準備を進めます。自信はあります。レースが楽しみです」

マルク・マルケス(Repsol Honda Team)
1日目(17位)
「新しいサーキットなのでいつも通りのメニューを消化して過ごしました。路面は最初汚かったのですが、徐々によくなっていきました。いいラインを見つけるのは難しくありませんでした。なぜなら黒いラバーがすぐに見えるようになったからです。セクター1と4が好きです。興味深いサーキットなので、レースが楽しみです。今日はたくさん周回しました。これが唯一路面を綺麗にする方法だからです。そしてそれが役に立ちました。ラインはかなりよくなりました。明日はもっと前進できると思います。そうすればもっと安定するでしょう。今日はマシンに特別なものを感じ始めました。明日が楽しみです」

2日目(2位)
「昨日話したように、マシンのフィーリングをつかみ始めています。今日も一歩前進することができました。今日は2番手で終えることができましたが、ポジションとタイムアタックは問題ではありません。重要なことはリズムと、いいラップタイムをどう出すか、にあります。今日の最後の走行では違うことにトライし、前進できました。いろいろなことにトライし、新しいマシンでいい方法を見つけるのはうれしいです。今回のテストは今年のマシンを僕のスタイルに合わせることができました。明日もまた重要な日です」

3日目(14位)
「今日はライディングを本当に楽しみました。みんなと同じようにテストが開始されたときは疲れていましたが、楽しく走ることができました。これは最高の仕事の進め方です。今日は肩に少し痛みがあり、タイムアタックには集中しませんでした。タイムアタックはかなりのパワーを使うからです。レースペースとセットアップ、そしてマシンのフィーリングに引き続き取り組みました。マレーシアのときと比べて大きな違いがあります。新しいマシンで大きく前進することができました。毎周フィーリングがよくなっていきました。HRCとRepsol Honda Teamはすばらしい仕事をしてくれました。シーズンが始まるのが楽しみです。あと数週間トレーニングを続けたら、レースが始まります!」

アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)
1日目(15位)
「マンダリカの初日はとても不思議でした。午前中は路面コンディションが複雑で、いろいろ理解するのが難しかったです。でも路面が綺麗になってくると、午後には自分のリズムで前進することができました。ドライで62周することができました。大きく前進するためにも、またチームの働き方を知るためにも重要なことでした。最後はソフトタイヤで走行しなければなりませんでしたが、レースペースに集中しました。明日はもっと前に近づけるよう、前進できることを願っています。でもこのサーキットで強くなれるのは確かだと思います」

2日目(16位)
「2日目の仕事にはとても満足しています。最終的なポジションには今日の仕事やポテンシャルは反映されていません。全体的にとてもいい仕事ができました。今日はとても暑いときに走行していました、この時間帯を走っていたライダーは少なかったと思うし、今日の結果には満足しています。今日はいくつか改善することができましたし、ペースもよくなりました。でもほかのライダーたちに比べたらソフトタイヤを早く使い過ぎたかもしれません。明日は上位に近づくチャンスがあります。ポテンシャルもあると思います。レースペースとフィーリングはよいです。明日はカタールへ向けて最後の細かい部分の準備を進めたいと思います」

3日目(10位)
「今日はチームとすばらしい仕事ができたのでうれしいです。プレシーズンを通してチームがとてもいい仕事をしてくれました。彼らにありがとうと言いたいです。彼らは本当に集中していました。マシンを100回も調整しましたが、決してあきらめませんでした。すべてのメカニックとチームのみんなに感謝しています。午前中はタイムアタックをしました。完ぺきではありませんでしたが、悪くもなかったので、とても満足しています。そのあとは、ロングランをこなしました。セパンと今回の3日間のテストで疲れました。でもいいフィーリングがあり、いいパフォーマンスを発揮することができました。カタールへ向けて準備はできました。これが一番大事です。これからデータを検証しますが、カタールに向けてほぼコントロールできています」

中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)
1日目(11位)
「今日は少したいへんでした。午前中はウエットだったので、ドライになるのを待たなければなりませんでした。路面にあまりラバーが乗っておらず、ホコリがたくさんあり、グリップレベルはとても難しいものでした。午後になってみんなが走り始めてからは、タイムはどんどんよくなっていきました。自信を築くことができ、タイムもよくなりました。一日の終わりの5時ごろにミスをして10コーナーで転倒してしまいました。チームに申し訳なく思っています。明日はラップタイムを更新するのが楽しみです」

2日目(15位)
「午前中はできるかぎりたくさん周回しました。マシンのフィーリングはどんどんよくなってきています。みんな前進しましたが、僕たちも大きく前進できました。とてもうれしいです。タイムアタックをしているときのフィーリングはあまりよくありませんでしたが、いくつかミスをしてしまいました。とにかくあと一日あります。今回のテストをベストな形で終えて、カタールへ向けて準備を整えられるように、明日はうまくまとめられることを願っています。チームの仕事には満足しています。明日も一歩前進できるようにがんばります」

3日目(13位)
「長い一日でした。今日は91周走行しました。午前中はレースシミュレーションをしましたが、とてもうまくいったし、ペースもよかったです。そのあと、マシンのセットアップを進め、フロントのフィーリングの改善に取り組みました。一日の終わりまでにはそれを終えることができました。マンダリカのテストをいい形で終えることができてうれしいです。開幕戦のカタールがとても楽しみです。3日間にわたり、一生懸命仕事に取り組んでくれたチームにとても感謝しています」

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カテゴリー: F1 / MotoGP