メルセデスF1がV8復活案を支持 1200馬力の「メガエンジン」構想

メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、完全な内燃機関回帰ではなく、バッテリーによる電動要素を残したうえで、内燃機関800馬力+電動400馬力以上という「1200馬力級」の新世代パワーユニット構想に前向きな考えを示した。
FIAが進めるV8復活案 2031年までに実現へ
モハメド・ビン・スライエムはF1マイアミGPで、現行のターボハイブリッドに代わる新たなV8パワーユニット計画をFIAが進めていると語った。新エンジンは、より安価で軽量、電動化は「小規模」にとどめる方向で検討されている。
導入時期は遅くとも2031年とされ、十分な支持が得られれば2030年への前倒しもあり得るという。
「私は前向きだ。彼らはそれを実現したがっている」とビン・スライエムはロイターに語った。
「だが、仮にメーカーが2030年の導入を承認しなかったとしても、その翌年には実現する。2031年にはいずれにせよ決まっている。実現する」
現行の2026年F1パワーユニットは、内燃機関と電動パワーをほぼ50対50に近づける設計思想を持つ。メーカー側が支持してきたこの方向性から、V8復活は大きな転換となる。
ヴォルフ「我々はV8を愛している」
トト・ヴォルフはThe Raceの質問に対し、新たなエンジンレギュレーションに前向きな姿勢を示した。
「我々は新しいエンジンレギュレーションにオープンだ」
「我々はV8を愛している。そこには素晴らしい思い出しかないし、我々の視点では純粋なメルセデスエンジンだ。高回転で回る。そして、現実世界とのつながりを失わないために、バッテリー側から十分なエネルギーをどう与えるかということだ」
ヴォルフは、バッテリーの役割を大きく後退させるのではなく、史上最も強力なF1パワーユニットの中核要素として電動エネルギーを組み込む案を示した。
「もし100%内燃機関へ振り切れば、2031年や2030年には少し馬鹿げて見えるかもしれない」
「そこは考慮する必要がある。よりシンプルにし、メガエンジンにする。おそらく内燃機関から800馬力を引き出し、その上に400馬力、あるいはそれ以上の電動エネルギーを載せることができる」
「我々は完全に前向きだ。ただし、その議論が構造的に行われ、人々に配慮がなされ、関係者が取り込まれることが条件だ」
「最近のメーカーの財政的現実も我々は認識している。簡単ではない。だが、善意をもって実行されるのであれば、本物の、本物のレーシングエンジンで戻ってくることに我々も加わる」

レッドブルも支持 メキース「新たな挑戦に興奮している」
V8復活案への支持はメルセデスだけにとどまらない。現行レギュレーションに向けてレッドブル・フォード・パワートレインズを立ち上げ、多額の投資を行ってきたレッドブルも、次世代構想に前向きな姿勢を示している。
チーム代表のローラン・メキースは語った。
「レッドブル・フォード・パワートレインズとして、我々はかなり前向きだ。このパワーユニットに取り組むためにゼロから始めなければならなかったが、出発点は悪くないと思っている」
「明日の新たな挑戦にはかなり興奮している。我々はおそらく、もう少し柔軟で独立している」
レッドブルにとって、現行パワーユニットへの投資は大きい。それでもメキースの発言は、V8復活が単なる懐古路線ではなく、コスト、独立性、競争環境を含めた次世代F1の設計問題として受け止められていることを示している。
焦点はコスト削減 フェラーリも優先事項に
F1 CEOのステファノ・ドメニカリも以前、次世代レギュレーションではパワーユニットのコスト削減が不可欠だとThe Raceに語っている。これはフェラーリにとっても重要な論点だ。
フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは語った。
「最初から我々の頭の中にはひとつのパラメーターがある。それはエンジンの狂ったような予算を削減することだ」
「これはメーカーのためでもあり、カスタマーのためでもあり、F1の利益のためでもある」
V8復活案は、サウンドや軽量化といったファンに分かりやすい魅力だけでなく、メーカーとカスタマーチーム双方のコスト構造をどう抑えるかという現実的な課題とも結びついている。
2030年または2031年に向けた議論は、単にエンジン形式を戻す話ではない。F1がどこまで電動化を残し、どこまで内燃機関の魅力を取り戻すのか。そのバランスが、次世代レギュレーションの最大の争点になりつつある。
Source: The Race
カテゴリー: F1 / メルセデスF1 / FIA(国際自動車連盟)
