F1のV8エンジン回帰論は「我々にとって良いこと」 フォーミュラE CEOが歓迎
2026年F1レギュレーション導入からわずか数戦で、パワーユニットの将来を巡る議論が加熱している。電動出力比率を50%まで高めた新世代パワーユニットにはドライバーや関係者から批判の声が相次ぎ、FIAのモハメド・ビン・スライエム会長やF1のステファノ・ドメニカリCEOも2030年以降のV8エンジン復活を支持する姿勢を示している。

そうした流れを、意外にも歓迎しているのがフォーミュラEだ。シリーズCEOのジェフ・ドッズは、F1が再び内燃機関中心へ回帰することは、電動カテゴリーであるフォーミュラEの価値をむしろ高めると主張している。

F1が認めた「想定外の現実」
ドッズはスペインのSoy Motorに対し、まずF1が現状を認識し方向修正に動いていることを評価した。

「まず彼らを評価しなければならない。期待していたようには進んでいないことを認識し、その声に耳を傾けて変化を起こそうとしているからだ」とドッズは語った。

「どんな組織でも、フィードバックに反応し課題へ対応する能力が必要だ。その点は高く評価すべきだと思う」

2026年から導入された新レギュレーションでは電動出力の比率が大幅に引き上げられた。しかし、その影響でエネルギーマネジメントへの依存度が増し、ドライバーから不満の声が上がっている。

マックス・フェルスタッペンは新世代F1マシンについて「ステロイドを打ったフォーミュラEのようだ」と評したことでも話題となった。

「予想外ではなかった」
ドッズは現在の状況について、多くの関係者にとって予見可能なものだったと指摘した。

「おそらく驚くようなことではなかったし、驚くべきでもなかったと思う。難しくなることは分かっていた」

「期待していた通りにならなかった部分はあるかもしれないが、多くの人はこうした状況になる可能性を予想していたと思う」

この発言は、現在パドック内で進んでいる2027年以降のパワーユニット見直し議論とも重なる。メルセデスやレッドブルはFIA案を支持する一方で、アウディなどは慎重姿勢を示しており、すでに妥協案の模索も始まっている。

フォーミュラEにとっては追い風
興味深いのは、ドッズがF1の方向転換をフォーミュラEにとっての好材料と捉えている点だ。

「彼らが変更することは我々にとって良いことだと思う。なぜなら彼らは内燃機関の選手権であり、我々は電動選手権だからだ」

「非常に分かりやすい話だ」

近年のF1は電動化を強く推進してきたが、その結果としてフォーミュラEとの立ち位置が曖昧になるとの指摘もあった。

しかしF1がV8エンジンへ回帰し、フォーミュラEが完全電動カテゴリーとして進化を続ければ、両シリーズの個性はこれまで以上に明確になる可能性がある。

V8復活はまだ遠い未来
もっとも、ドッズはV8復活を期待するファンやドライバーに対し、実現までは長い時間がかかると指摘した。

「2030年や2031年はまだかなり先の話だ」

「もしF1ドライバーがV8復活を楽しみにしているなら、そこへ到達するまでの3〜4年を楽しみに待たなければならない」

「かなり長く感じるだろう」

実際、現在の2026年F1パワーユニットはメーカー各社が莫大な投資を行って開発しており、短期間で放棄することは現実的ではない。

パドックで広がるV8支持論
それでもV8復活を支持する声は日に日に大きくなっている。

モハメド・ビン・スライエム会長は2030年または2031年までのV8復活を公言しており、ステファノ・ドメニカリCEOも同様の考えを示している。

一方で、ベテラン記者のロジャー・ブノワは現行レギュレーションに極めて厳しい見方を示した。

「私にとって、ここまでは完全な失敗だ」

「ルールは単純であればあるほど良いという古い格言がある。それはサッカーにもF1にも当てはまる」

さらにブノワは現在のエネルギーマネジメント中心の競技性についても疑問を呈した。

「私はこのエネルギーマネジメントシステム全体に非常に批判的だ。マックス・フェルスタッペンは最初から正しかった」

「今なおこれほど議論されているという事実自体が、根本的に何かがおかしいことを示している」

F1が電動化路線を修正しつつある今、皮肉にもその恩恵を受ける可能性があるのはフォーミュラEかもしれない。両カテゴリーの役割が明確になれば、モータースポーツ全体としても新たなバランスが生まれることになりそうだ。

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カテゴリー: F1 / フォーミュラE