FIA圧縮比テストに疑問 130度測定とF1エンジン実走400度の差
2026年F1で導入される新たな“ホット”圧縮比テストを巡り、現場の実態とのギャップが指摘されている。元マクラーレンのパフォーマンスエンジニアで、現在はスカイスポーツF1の解説者を務めるバーニー・コリンズは、測定温度と実際のエンジン作動温度に大きな差があると述べた。

6月1日から施行されるこのテストでは、圧縮比は130度で測定される。しかし、実際のF1エンジンは350〜400度に達するとされており、規則の検証条件と実走環境の乖離が議論を呼んでいる。


130度テストと実走400度のギャップ
コリンズはスカイのポッドキャスト番組内で、圧縮比問題の本質に言及した。

「まず言っておきたいのは、これはF1では新しい話ではないということだ。エンジニアリングとイノベーションの面白さはここにある。誰もがレギュレーションを読み、『何が書かれているか』だけでなく、『何が書かれていないか』を考え、どうすればテストを通過できるかを探る」

「検査は特定の条件で行われる。リアウイングでも同じだった。昨年は途中でテスト方法を変え、負荷を増やしてたわみを抑えた。圧縮比も同じだ」

「エンジンの圧縮比は、空気と燃料を圧縮して燃焼させることでパワーを生む。より圧縮すれば、それだけ大きな爆発が得られる。これはシンプルな話だ」

メルセデス優位説と“抜け道”の疑念
この問題は、2026年シーズン開幕前からメルセデスに関連して取り沙汰されてきた。従来の常温(16:1)テストでは規則を満たしつつ、実走時の高温状態で圧縮比を高める手法が存在するのではないかという見方だ。

そのパフォーマンス差は、ほぼ無視できるレベルから1周あたり数コンマ秒に及ぶ可能性まで、情報源によって幅がある。

「メルセデスがより強く圧縮しているという見方がある」

「従来は冷間状態で測定していたが、温度が上がると圧縮比をわずかに高める方法を見つけたと考えられている。これらのエンジンは非常に高温で動作する」

フォーミュラ1エンジン

新テストの効果は未知数
FIAはこの“抜け道”を塞ぐため、130度でのホットテストを導入する。しかし、コリンズはその実効性に疑問を呈する。

「150度で圧縮比を測るテストを導入するが、実際のエンジンは350〜400度だと見積もっている。つまり大きな差がある」

「このテストがどんな影響を与えるかは分からない。メルセデスは影響はないと繰り返し主張している」

「リアウイングの変更と同じで、どのチームにどう影響するかはまだ分からない」

序盤戦の勢力図と規則変更の影響
2026年シーズン序盤、メルセデスはメルボルン、上海、鈴鹿でフロントロウを独占し、全勝を記録するなど圧倒的なスタートを切った。コンストラクターズランキングではフェラーリに45ポイント差をつけて首位に立っている。

ドライバーズ選手権でもキミ・アントネッリがチームメイトのジョージ・ラッセルに9ポイント差をつけてリードしており、この優位性が圧縮比問題と無関係なのかどうかも含め、今後の焦点となる。

6月以降に導入される新テストが、勢力図にどのような変化をもたらすのかは依然として不透明なままだ。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟) / F1マシン