フェラーリF1 メルセデスとの差を詰める鍵はADUO

シャルル・ルクレールはセーフティカーの不運を乗り越えて3位表彰台を獲得したが、レース全体ではパワーユニット性能の差が明確に表れた。
メルセデスはキミ・アントネッリが優勝を飾り、さらにマクラーレンもその恩恵を受けてオスカー・ピアストリが高い競争力を示したことで、この分野における「基準」がより明確になった。
では、この差はどこから生まれているのか。その鍵を握るのが「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」だ。
ADUOが左右するエンジン開発の行方
2026年のレギュレーションでは、パワーユニット開発はADUOによって管理されている。この仕組みは、各メーカーの性能差に応じてシーズン中のアップグレード可否を決定するものだ。
最速エンジンとの差が2%以内のメーカーはシーズン中のアップデートが認められない一方、2〜4%であれば1回、4%以上であれば2回のアップグレードが許可される。
現在のパドックでは、フェラーリのパワーユニットはメルセデスに対してこの2%を超えているとの見方が広がっている。一方でチーム内部では、この範囲内に収まっている可能性もあると認識されており、最終的な評価は流動的な状況にある。
ただしフェラーリは、こうした判断を待たずに開発を進めており、短期および中期で導入可能な改良案をすでに準備している。
マイアミ以降が転換点 バスールの見通し
フレデリック・バスールは日本GPの時点で「マイアミ以降は別の選手権になる」との見通しを示している。これは開発パッケージの投入を見据えた発言とみられる。
フェラーリは開幕前から空力アップデートを計画しており、実走データと風洞およびシミュレーションとの相関性にも手応えを得ている。そのため、開発の方向性に対する確信は強く、段階的な性能向上が期待されている。
またSF-26には中速コーナーやブレーキング領域での改善余地があるとされており、シャシー面とパワーユニットの両面で進化が進めば、総合的な競争力の底上げにつながる可能性がある。

メルセデス優位の構造とフェラーリの反撃余地
現時点でメルセデスのパワーユニットは明確なベンチマークとなっており、この優位性がレース結果に直結している。一方で、最上位に位置するメーカーはレギュレーション上、シーズン中のアップグレードが制限される。
この構造は、フェラーリにとってチャンスでもある。
ADUOの条件を満たせば、フェラーリはシーズン中にパワーユニットの性能向上を図ることが可能となる。すでに準備されている改良が投入されれば、メルセデスとの差を縮める展開も現実的になる。
メルセデス製パワーユニットはカスタマーチームでも最適化が進みつつあり、マクラーレンも当初はそのポテンシャルを引き出せずに苦戦していたが、継続的な改善によって競争力を高めてきた。エンジン運用の理解が進めばパフォーマンスが向上することが示されており、フェラーリにとっても独自のアップグレードで対応する重要性が増している。
また、現行レギュレーションではベンチマークとされるメルセデスのパワーユニットはシーズン中のアップデート対象外となる。
シーズン中盤に向けて、エンジン開発の進展が勢力図を左右することになりそうだ。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ
