2019年のF1世界選手権
2019年のF1世界選手権で年間のパワーユニット制限内で戦い抜いたドライバーは、メルセデスのルイス・ハミルトンとハースF1チームのロマン・グロージャンの2台だけだった。

ドライバーは、1シーズンにつき、内燃エンジン、MGU-H、ターボチャジャーを3基まで、MGU-K、コントロールエレクトロニクス、エネルギーストアを2基までペナルティなしで交換できる。

メルセデスのルイス・ハミルトン、フェラーリのF1パワーユニットを搭載するハースF1チームのロマン・グロージャンは、上記の制限内でシーズンを戦い抜き、1度もエンジン降格ペナルティを受けなかった。ルイス・ハミルトンに関しては、一度もリタイアすることなく、唯一全ラップを走り切って6度目のF1ワールドチャンピオンを獲得している。

しかし、どのエンジンメーカーもトラブルがなかったわけではない。メルセデスは第7戦カナダGPで“フェーズ2”エンジンを投入したが、カスタマーチームのレーシングポイントのランス・ストロールにトラブルが発生。また、第20戦ブラジルGPではバルテリ・ボッタスにもトラブルが発生し、最終戦でもオイル漏れのトラブルが発生してさらに2基のエンジンを投入している。

フェラーリは、第2戦バーレーンGPでシャルル・ルクレールの優勝のチャンスを逃すエンジントラブルが発生。ルノーは序盤からトラブルが多発してエンジン交換を余儀なくされた。特に第13戦ベルギーGPでは入賞圏内を走行していたランド・ノリスがエンジントラブルが発生して貴重なポイントを逃している。

そんな中、ホンダに関してはエンジントラブルによるリタイアはなかった。第4戦アゼルバイジャンGPでスペック2、第8戦フランスGPでスペック3、そして、第16戦ロシアGPでスペック4とエンジンメーカーのなかで最多となる3回のエンジンアップグレードを実施。また、エンジンをプールに入れるために戦略的にエンジン交換を実施して結果的に全エンジンメーカのなかで最多のコンポーネント使用するとなった。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは5基の内燃エンジン、4基のターボチャジャーとMGU-H、3基のMGU-K、エネルギー貯蔵システム、コントロールエレクトロニクスを投入。グリッド降格を受けたロシアGPでも4位入賞を果たし、第20戦ブラジルGPで今季3勝目を挙げるなど、ランキング3位に入り、パワーユニット計画を一定の成功を収めた。

トロロッソ・ホンダに関しては全ドライバーで最多の7基のエンジンを使用したが、マイレージに余裕をもたらせらたことで、ピエール・ガスリーがF1ブラジルGPで2位表彰台を獲得し、ホンダF1エンジンとして18年ぶりの1-2フィニッシュを実現することができた。

レッドブルのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、グリッド降格ペナルティはあらかじめ計画されていたことだと語る。

「開発の3つの段階だけでメルセデスとフェラーリとのギャップを埋めることは不可能だっただろう。新しいアップデートごとにより多くのパワーを生み出した。そのためグリッドペナルティに対処する必要があった」とクリスチャン・ホーナーは語った。

2020年のF1世界選手権では、22戦へのカレンダー拡大にともない、MGU-Kの制限が3基までに増やされる。

チームドライバーICETCMGU-HMGU-KESCE
メルセデスルイス・ハミルトン333222
バルテリ・ボッタス555322
フェラーリセバスチャン・ベッテル333223
シャルル・ルクレール433222
レッドブルマックス・フェルスタッペン544333
アレクサンダー・アルボン555433
ルノーダニエル・リカルド544434
ニコ・ヒュルケンベルグ644323
ハースロマン・グロージャン333222
ケビン・マグヌッセン333223
マクラーレンカルロス・サインツ655554
ランド・ノリス444444
レーシングポイントセルジオ・ペレス555422
ランス・ストロール444211
アルファロメオキミ・ライコネン433223
アントニオ・ジョビナッツィ444224
トロ・ロッソダニール・クビアト777633
ピエール・ガスリー755533
ウィリアムズジョージ・ラッセル333233
ロバート・クビサ444222
ICE … 内燃機関(エンジン)
TC … ターボチャージャー
MGU-H … 運動エネルギー回生システム
MGU-K … 熱エネルギー回生システム
ES … エネルギー貯蔵装置(バッテリー)
CE … コントロールエレクトロニクス


このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / F1マシン