キャデラック F1チーム代表が2026年のデビューに向けた進捗を報告

1995年の映画『アポロ13』のキャッチフレーズは「失敗という選択肢はない」。エド・ハリス演じるNASAのフライトディレクター、ジーン・クランツが、故障したアポロ宇宙船で危機に陥った3人の宇宙飛行士を救おうとする。
このマントラは、米国が所有するキャデラックF1チームがグランプリの軌跡において重要な局面を迎えているとき、新生キャデラックF1チームのオフィスにも浸透している。
シルバーストーンにあるヨーロッパの拠点、シャーロットにある施設、インディアナポリスにある親会社アンドレッティ・グローバルの新本社など、世界中に点在する拠点では、F1マシンの初点火、1月末に予定されているバルセロナでのシェイクダウン、オーストラリアでの開幕戦など、チームの主要なローンチ期限に向けてカウントダウンが刻一刻と迫っている。
チーム代表のグレアム・ロードンにとって、チームが2016年以来のF1拡張チームとしてのデビューに間に合うかどうかは問題ではない。
「交渉の余地はない。やらなければならない」とロードンは語った。
「モーターレースのクールなところの1つは、動かせない期限だ。誰も最初のグランプリをみんなより1週間遅くやらせてはくれない。時間が刻一刻と迫っていることは誰もが承知している」
「デザインリリースであれ、コンポーネントテストであれ、毎月2、3の重要な日程がカレンダーとして全員に共有されている。今のところ予定通りだ」
こうした締め切りに間に合わせるため、チームはヨーロッパのシルバーストーン拠点を継続的に増強しており、ロードンは「1日に1人以上」のペースで人員を採用していると明かしている。キャデラックのLinkedInのページを見ると、まだ多くのポジションが募集されていることがわかる。
ルノーの元エンジニアであるニック・チェスターがテクニカルディレクターに、ウィリアムズの元エンジニアであるジョン・トムリンソンがエアロダイナミクスの責任者に、マノーでロードンと共に働いたジョン・マクイリアムがチーフデザイナーに就任している。キャデラックはエンジニアリングコンサルタントとしてパット・シモンズの経験も活用できる。そのほか、元ハースのレースチームマネジャーであるピーター・クローラも重要な人材として起用されている。
「毎週、全スタッフが集まるミーティングがある。今は何百人もいる」とロードンは語る。
「本当にいい人たちばかりで、過去に一緒にレースをしたことがある人たちもいる。本当にいい人たちばかりで、過去に一緒にレースをしたことがある人たちばかりなんだ」
キャデラックはシルバーストンにあるヨーロッパの拠点と並行して、インディアナ州にあるアンドレッティ・グローバルの真新しいアメリカ本社と、ノースカロライナ州シャーロットにあるゼネラルモーターズの施設も拠点とする。また、ケルンにあるトヨタの風洞も引き続き使用する。
「英国にファクトリーを建設し、インディアナポリスに巨大な旗艦本社を新設する。アメリカのF1ファンにとっては、ゲームチェンジャーになると思うからだ」
「複数のサイトを管理するのは常に大変なことだが、我々はこれをチャンスだと考えている。我々はインディアナポリスに本社を持っている。インディカーの本拠地だ。シャーロットには新しいパワーユニット事業があり、ビークルダイナミクスやドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーターもたくさんある。そこはNASCARの本拠地だ」
「そして、F1の本拠地であるシルバーストンでの事業もある。モータースポーツのエネルギーという点では、これらの都市のいずれにいても、何が主な焦点なのか、誰も疑う余地はない」

F1チームをゼロから立ち上げるという点ではロードンも同じだが、2010年にマノーをF1シリーズに招き入れ、2016年末にマノーが解散するまで7年間にわたってさまざまな形態でキャンペーンを展開した時とは状況が大きく異なっている。その時点で、ロードンと共同設立者のジョン・ブースはプロジェクトに関与していなかった。
「今回はもっと時間がある」とローソンは語る。
「前回は7ヶ月だったと思うが、それはチャレンジだった。今振り返ってみると、信じられないようなことだった」
「歴史が示しているように、ゴールポストというものは認識できないほど移動するものだ。今回はより安定しているし、試合もより複雑になっている。確かに、私が前回学んだ教訓は、物事が変われば変わるほど、変わらないことも増えるということだ。チーム作りの基本は同じだ」
キャデラックのF1活動は、昨年11月のラスベガスGPの週末に11番目のチームとして参加する承認をようやく得た時点でギアを切り替えた。約束や夢ではなく、2026年にグリッドにつくという確信を持って、ようやく人事やパートナーにアプローチできるようになった。
「このときの感情は、ある程度安堵だった」とロードンは言う。
「そうでなければ、我々を遠ざけ、立ち去らせるに十分なことがあった。そうでなければ、我々を遠ざけ、立ち去らせるに十分なことがあった。問題は、それにどれだけの時間がかかるかということだった」
「個人的な観点で言えば、参加したすべての人々にそのメッセージを伝え、彼らの反応を見ることは、本当に楽しい経験だった。その時点で300人以上、ハースとほぼ同じ規模になっていたと思う。一人ひとりが、エントリーのないチームに参加することを約束してくれた。我々はF1チームを名乗ることさえできなかった。それは私が非常に尊敬していることだ」
キャデラックは自社製ハイブリッドパワーユニットを導入する前の最初の2シーズンはフェラーリのエンジンを使用する。そのため、GMのF1エンジンプログラムを担当するラス・オブレネスはバーレーンでのエンジンミーティングに出席した。
キャデラックにとって次の重大な決断のひとつがドライバー選びだ。今年初めにAutosport誌のインタビューに応じたキャデラックのアドバイザー、マリオ・アンドレッティは、キャデラックのマシンにアメリカ人ドライバーを起用する意向は変わらないとしており、アンドレッティはチームのインディカーエースであるコルトン・ハータがFIA(国際自動車連盟)のスーパーライセンス取得を待っている最有力候補であることを認めた。
コルトン・ハータはその後、アンドレッティの最初の着工以来、彼を取り巻く絶え間ないF1騒動から距離を置いているが、その可能性は依然として残っている。その他のフリーエージェントとしては、メルセデスの バルテリ・ボッタスやレッドブルの元ドライバーであるセルジオ・ペレスなど、新チームにとって貴重なF1経験を10年以上積んでいるドライバーが候補に挙がっている。
ロードンは、チームがスタート時からアメリカ人ドライバーと契約することに変わりはないのかとの質問には口を閉ざし、必ずしも1年目からそうなるとは限らないとほのめかした。
「我々は実力でドライバーを選ぶ。実力でドライバーを選ぶということは、アメリカのパスポートも持っていなければならないということではない。我々は多くのドライバーから選ぶことができる」
「だが、F1チームを今年や来年の成績だけで判断することはできない。チームはここにいる。ファンはアメリカのチームでアメリカ人ドライバーを見たいと思っていると思う。でも、経験豊富なドライバーが何人かいるんだから、実力で選んでチームを作っていくしかない」
「前回のドライバー交渉には参加できなかったので、他の多くのチームとは同期していない。でも、それにも利点がある。今はとてもいいドライバーがたくさんいる」
「ドライバーのラインアップがどうなったとしても、それは強力なものになるだろう」
カテゴリー: F1 / キャデラックF1チーム