2025年F1 ベルギーGP 分析:金曜日のデータが示す残りの週末の行方
オスカー・ピアストリがF1ベルギーGPのスプリント予選で驚異的な走りを披露し、0.5秒近い差をつけてポールポジションを獲得。今週末の主役は自分であるとばかりに、ライバルたちに強烈なメッセージを突きつけた。

特に多くのコーナーを含む第2セクターで圧倒的な速さを見せた彼は、マクラーレンがこのスパ・フランコルシャンでいかに仕上がっているかを証明する存在となった。

とはいえ、決勝が行われる日曜午後には雨予報が出ており、展開次第では波乱も起こりうる状況だ。スプリントやグランプリ本戦に向けて、レッドブル、フェラーリ、メルセデスといった強豪がどう立て直してくるのか。そして、ピアストリの勢いを止める存在は現れるのか。週末の注目は尽きない。

ピアストリ、数分で“ゼロからヒーロー”へ
ピアストリはスプリント予選の第2セッション(SQ2)で、ターン4のトラックリミット違反により最初のラップタイムを抹消され、ノックアウト寸前に追い込まれた。

しかし彼はそこから盛り返し、その日最も印象的な走りを見せていたドライバーらしく、勝負どころとなった第3セッション(SQ3)ではミスなく走り切り、0.5秒近い差をつけてポールポジションをもぎ取った。

オーストラリア人ドライバーは、7kmのスパ・フランコルシャンの中でも特にコーナーが集中する第2セクターで圧巻の速さを発揮していた。

「自信はあった」と彼は語った。「ここ数戦は、ペース的には良かったけど、結果にはつながっていなかったから」

この走りでピアストリは、スプリント勝利に加え、グランプリ本戦のポールポジションや勝利を争ううえで理想的な位置につけたことになる。

チームメイトのランド・ノリスも大きなミスは犯しておらず、ピアストリの驚異的なペースには及ばなかったものの、ケメル・ストレートのロングランでスリップストリームが効くこのサーキットでは、スプリントで上位争いに絡む可能性は残されている。

マクラーレンはスパのあらゆるタイプのコーナーで抜群の速さを見せており、直線でアルピーヌにごくわずかなタイムを譲る程度。全体として圧倒的な優勝候補と見られている。

ベルギーGP F1

レッドブル、マクラーレン最大の脅威として浮上
レッドブルは今回、クリスチャン・ホーナー以外の人物がチームを率いる初めてのレースを迎え、ローラン・メキース新代表の下でスパ入りした。

同時に、フロントウイング、サイドポッド、エンジンカバー、フロントサスペンション、リアコーナーにわたる大幅なアップグレードを投入。その新パーツは1セットしか用意されず、マックス・フェルスタッペンにのみ装着された。

このアップグレードがどれほどの効果をもたらしたかを正確に判断するのは難しいが、初期の兆候は有望だ。

フェルスタッペン自身も指摘していたように、ピアストリとの差は依然として大きいものの、それでもフロントロウを確保したことで、スプリント勝利を争う体制は整っている。

スプリントに先立つ唯一のプラクティス(FP1)から得られた限られた情報によれば、レッドブルのレースペースは予選ペースよりも優れているとみられる。マクラーレンに対しては0.3秒遅れているが、それでも他チームよりは速い。メルセデスに対しては0.1秒、フェラーリには0.25秒のアドバンテージがあるとされる。

ベルギーGP 2025年のF1世界選手権

フェラーリは明暗、ハミルトンは苛立ち隠せず
フェラーリは今大会でリアサスペンションのアップグレードを投入。これは今月初めにフィルミングデーで短時間だけ走らせた仕様で、マクラーレンに接近するための希望を託したものだった。

しかし金曜の走行を経た段階では、その効果については判断が分かれている。シャルル・ルクレールはマシンの感触に満足していたものの、スプリント予選でピアストリに0.75秒も離された理由については「説明できない」と首をかしげた。

一方、チームメイトのルイス・ハミルトンは最終シケインでスピンを喫し、予選Q1敗退という苦い結果に。表情にも明らかな落胆と苛立ちが見て取れた。

フェラーリは中速コーナーではマクラーレンと互角のペースを見せるが、スパに数多く存在する低速および高速コーナーでは0.3秒を失い、さらに直線では0.2秒を失っている。

とはいえ、土曜のスプリント後にはセットアップの変更が可能であること、そして日曜に雨が予想されていることから、まだ希望は残されている。

ベルギーグランプリ

メルセデス、苦しい一日もマシンの手応えは悪くない
キミ・アントネッリはSQ1のターン14で、出口で早めにスロットルを踏みすぎてスピン。グラベルに突っ込み、フロアとディフューザーにダメージを負い、競争力のあるラップを取り戻すことはできなかった。

チームメイトのジョージ・ラッセルは、速さを見せていたが、アントネッリがスタブロで撒き散らしたグラベルを拾ってしまい、マシンにダメージを負った。SQ1とSQ2の間にチームが応急修理を施したものの、それでも「初期診断よりも深刻なダメージが残っている可能性がある」とチームは見ている。

チーム関係者によれば、もしダメージがなければ、ラッセルはスプリント予選最終セッションで2位から4位に入れた可能性が高いという。

レースペース自体は悪くないものの、現在のスタート位置(ラッセル13番手、アントネッリ20番手)を考えると、スプリントでのポイント獲得はやや厳しそうだ。

ただし、グランプリ本戦では多くのポイントがまだかかっている。予選がよりクリーンな形になれば、日曜午後には上位争いに絡める可能性は十分あるだろう。

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カテゴリー: F1 / F1ベルギーGP