アストンマーティンF1内部対立 権力握ったニューウェイがコーウェルを追放?
アストンマーティンF1で重大な組織変化が進んでいる。チーム代表兼CEOのアンディ・コーウェルが「まもなくその役職を離れる」と複数の関係筋がPlanetF1.comに明かし、2026年に向けた改革の中核に位置するトップ交代が現実味を帯びてきた。

2024年末にF1へ復帰したばかりのコーウェルだが、エイドリアン・ニューウェイを中心とした技術部門再編の進展に伴い、設計思想やリーダーシップ構造で「根本的な不一致」が生じていたとの情報もある。

アストンマーティン内部で深まる亀裂 コーウェルとニューウェイの確執
背景にあるのは、アンディ・コーウェルと新たに加入したエイドリアン・ニューウェイの関係悪化だ。

アストンマーティンは2026年に向けたプロジェクトの中心人物としてニューウェイを迎え入れたが、両者の意見の相違は数カ月にわたり激化しているとされる。形式上はコーウェルのほうが上位職にあるものの、ニューウェイは高額報酬に加え少数株主持分も持つ“ストロールが最重要視する存在”である。

そのため、技術テーマや権限分担の面で衝突が避けられず、今回の退任報道の背景にこの確執があるとの見方が強まっている。

コーウェル退任の背景:ニューウェイ体制への移行が引き金か
関係筋によると、コーウェルはカタールGP前にもチーム代表職を離れる見込みで、ブラジルGP後の週にも組織変更が予定されていたという。

アストンマーティンは近年、技術部門で大規模な人員入れ替えを続けており、空力責任者エリック・ブランディンの離脱もその一例とされる。前技術責任者ダン・ファローズがF1部門から完全に離れ、その後任としてニューウェイとエンリコ・カルディーレが加入したことも、組織構造の重心を大きく変える要因となった。

ニューウェイは技術部門の再構築を主導しており、コーウェルの指揮体系と合致しなかった可能性が高い。コーウェルは別の役割でチームに残る選択肢もあるとされる。

チーム内部の権力構造変化:2026年への再構築が進行中
アストンマーティンは2026年の新規則に向け、組織の最適化を加速している。ニューウェイ、カルディーレの加入後、技術部門は大幅な再編の段階にあり、権限配分の見直しが進んでいるとみられる。

コーウェルは2024年末の加入後、マイク・クラックをサーキット側の責任者とし、自身がチーム代表に就任する体制を整えたが、ニューウェイ主導の新方針とは一致しなかったと見られている。

チーム側は「噂や憶測には関与しない」とコメントしたが、退任報道を否定はしていない。

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム エイドリアン・ニューウェイ

ホーナーとニューウェイの“再タッグ”は吉か凶か
後任候補の一人として名前が挙がっているのが、元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーだ。だが、この組み合わせにはメリットとリスクが同居している。

ホーナーは昨冬、レッドブル内部のスキャンダルで不適切行為を否定しつつ調査を受け、最終的に潔白とされた。しかしその過程がニューウェイの離脱を後押ししたと広く認識されている。

このため、もしホーナーがコーウェルの後任に就任すれば、過去のしこりを抱えたままニューウェイと再び働くことになる。一方で、両者がかつて作り上げた成功モデルを再現できる可能性も否定できず、チームとしては判断の難しい選択肢だ。

アストンマーティンは今季ランキング7位に沈み、2023年序盤の勢いを完全に失った。ストロールは最先端設備や大規模技術補強に巨費を投じており、2026年に向け体制刷新を必要と判断しても不思議ではない。

後任候補:アンドレアス・ザイドル、そしてクリスチャン・ホーナー
PlanetF1.comは、元マクラーレン代表アンドレアス・ザイドルが有力候補に挙がっていると報じ、ホーナーの名前も依然として浮上している。

ホーナーは次の挑戦で株式保有を条件にしているとされ、ニューウェイとホンダパワーを再び得られるアストンマーティンは魅力的な選択肢となり得る。

ただし、ホーナーは独自に新チーム設立を検討し、巨額投資家の支援も確保しているとされ、アストンとの交渉が進むかは不透明だ。

技術部門でもさらなる動き:FIA空力責任者ソマービルが“ガーデニング休暇”
FIAは今週、空力責任者ジェイソン・ソマービルがガーデニング休暇に入ったことを認めた。復帰先は不明だが、アストンにおけるブランディン後任人事とは無関係とされている。

アストンマーティンは「ニューウェイ中心体制」へ移行する段階に入った
今回の一連の動きは、アストンマーティンがニューウェイを中心に再構築されるフェーズへ本格的に移行したことを示唆している。

パワーユニット志向のコーウェルと、空力・シャシー哲学を軸とするニューウェイ。その両者の衝突は、組織がどちらの方向へ舵を切るかを決定づける分岐点だったといえる。

2026年に向け、アストンマーティンは“最終決裁権を誰が握るのか”を定義する段階へ入っている。ニューウェイの影響力は今後さらに拡大し、チームの方向性は大きく変わる可能性がある。

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム