アストンマーティンF1 ホンダPU搭載の来季は「創造的で型破りな革新マシン」

アストンマーティンはここ数年、シルバーストンに新設した最先端の本社を拠点に急速な拡張を続けているが、2025年シーズンも苦戦を強いられた。
コーウェルは英オートスポーツ誌の独占インタビューで「もしもっと早くエイドリアン・ニューウェイや他の人材を迎えていたらどうなっていただろう」と振り返ったが、今はニューウェイと元フェラーリのエンリコ・カルディーレが本格的に始動し、2026年の競争力あるマシン開発に集中している。
そしてホンダとのワークス提携によるエンジンプロジェクトも本格化し、コーウェルは「リスクを恐れない俊敏な組織づくり」を進めていると語った。
「我々が目指しているのは、創造的で楽しく、型破りなイノベーションマシンだ」とコーウェルは語った。
「ただし、そのアイデアを証明するためにエンジニアや空力担当に何が必要なのかを尋ねる。実験を行い、結論を導き出し、それがクルマを速くし、なおかつレース完走を可能にすることを確認する。その検証の過程は一人ではなく、部門をまたいで進んでいくものだ。だからこそ、それぞれの責任や役割を明確に定義し、簡潔に共有することが大事だ。そうすれば専門分野でより深く理解を追求できる。今年のイモラでのアップデートでその成果が出たし、今後の開発にもつながる。近道をせず、品質を落とさずに競争力あるリードタイムで実現していく」
「2024年はアップデート数でチャンピオンだったが報われなかった」
イモラでのアップデートはシーズン中盤以降の成績向上のきっかけとなり、夏休み前にはランキング6位まで浮上。ハンガリーGPではフェルナンド・アロンソが5位、ランス・ストロールが7位を獲得した。これは新設された風洞を含む開発体制が機能している証拠でもあった。
「組織にとって自信を与えることが重要だった」とコーウェルはうなずいた。
「昨年はアップデート数で“チャンピオン”だった。空力担当、デザイナー、製造、サプライチェーン、現場のメカニックまで、皆が膨大な努力をした。しかしラップタイムで報われなければ士気は上がらない。だからイモラまで待ち、準備万端で投入することが重要だった。イモラ後のデブリーフでの喜びは素晴らしい経験だった。今はそれを2026年以降に積み上げていく段階だ」
2026年は空力、パワートレイン、新しい最低重量制限など多くの課題が待ち受けている。

ホンダとのワークス提携、初の自社サスペンション開発
アストンマーティンにとってメルセデスからホンダへの切り替えはさらに大きな仕事量を伴う。これまで供給を受けていたサスペンションやギアボックスも自前で設計・製造する必要がある。
「我々が直面している課題は、新たなPUパートナーであるホンダとワークスとして取り組むことだ」とコーウェルは説明した。
「PUとのインターフェースは彼らと共に設計してきた。18か月以上かけてその作業を進めており、エイドリアンのホンダとの経験や、何が素晴らしいレーシングカーを作るのかという知見は極めて貴重だ。自社製のトランスミッションと油圧システムを開発することで、リアサスペンションジオメトリーを自分たちで設計し、空力と融合させる自由を得た」
「これらのシステムは我々にとって新しく、多くのプロジェクトチームが厳しい目標とメルボルン2026というタイトな期限に挑んでいる。容易に達成できる目標に意味はないからだ」
「2026年の開幕戦はすでにファクトリーで始まっている。いかに効率的に、速くイノベーションを生み出すか。メルボルンで我々は“試験の結果”を受け取ることになる」
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