アレクサンダー・アルボン F1デビューの転機となったヘルムート・マルコへの電話
アレクサンダー・アルボンは、レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコのおかげで、驚くべきことにF1初参戦のチャンスをつかんだことを明かした。

2018年のF2選手権を3位で終えたアルボンの最も近いライバルであるジョージ・ラッセルとランド・ノリスは、それぞれ1位と2位でキャンペーンを終えていたが、それぞれがすぐに2019年のF1シートを獲得した。

一方、アルボンはフォーミュラEへの移籍が決まっていた。電動シリーズでのポジション獲得に満足しながらも、タイ人ドライバーはF1でのチャンスを求めることを諦めてはいなかった。

「フォーミュラEはキャリア的にF1以外でやる次善の策だ」とアルボンはHigh Performance Podcastに語った。「フォーミュラEの話をもらって、『すごい、素晴らしい』と思った」

「実は契約にサインする前に、レッドブルジュニアプログラムの責任者であるヘルムート・マルコに電話して、『念のためだけど、フォーミュラE契約にサインする前にF1にシートはあるか?』と聞いたんだ。彼は『いいえ』と言った。『我々のシートは満席だ。チャンスない』とね」

「あの時はがっかりした。私はレッドブルだけでなく、レッドブルだけでなく、F1に空席があるかどうか、あらゆるチャンスをうかがって回ったけど、やっぱりなかった。だから 『よし、フォーミュラEだ』と思ったんだ」

アレクサンダー・アルボンアレクサンダー・アルボンは2018年F2シーズンをチャンピオンシップ3位で終えた。

フォーミュラEの長期的な将来が決まったアルボンは、絶好調のまま2018年F2シーズンの最終戦に臨んだ。そのとき、マルコからさらなる連絡があった。

「フォーミュラ2のシーズン最終戦の3、4カ月前にフォーミュラEの契約にサインしたんだけど、その年の最終戦になってヘルムート・マルコがまた僕を呼び戻したんだ」とアルボンは説明した。

「彼は僕の“シミュレーター・サービス”について尋ねてきた。それが彼が言ったことだった。彼は彼のPAを寄こして、『 サーキットにあるヘルムートのオフィスに来てくれないか?』と言った。シミュレーターの仕事について話をした。実は僕はメルセデスのシミュレーターで仕事をしていて、彼は僕がメルセデスでいくらもらっているのか知りたがった。僕は彼に大きな数字を伝えた! そうしたら、『じゃあ、見せてくれる?』って言われたよ」

ソチで開催されたF2最終戦の週末を成功裏に終え、レッドブルのアドバイザーに再び呼ばれたとき、アルボンはマルコがシミュレーターワークの可能性についてさらに話したがっているのだと考えていた。

ヘルムート・マルコレッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコとの話し合いがアルボンのF1デビューにつながった。

「『すごい、彼はシミュレーター契約の条件に同意してくれたんだ!』と思った」とアルボンは思い返した。

「それが何なのかは分からない。彼が時々やることだと思うけど、彼はずっとこの契約について話していた。そして、 僕がドアから出ようとしたとき、彼は『ところで、フォーミュラEとの契約はどうなっているんだい? 抜けられるか?」と言ったんだ」

「フォーミュラEとの契約で確認したのは、もしF1からのオファーがあった場合、参加しても構わないという条項を盛り込むことだった。僕が『その通りです』と言うと、彼は『わかった、また連絡する』と言った。それから24時間以内にほとんどすべてが完了した。彼は文字通り24時間以内に電話してきて、『よし、いいぞ。あと1時間ほどで記者発表だ』と言った。僕ははF1ドライバーだった」


これでアルボンは2019年のトロロッソのシートを手に入れた。驚きの移籍に際しての心境を尋ねられたアルボンは、多くのライバルたちに比べてF1テストが不足していたため、「何よりも恐怖を感じた」と認めた。

「たぶん、僕を見ているとわかると思うけど、僕はF1を通じて最も自信のある人間ではなかったんだ」とアルボンは続けた。「ある意味で、自分がまだそこにいるとは思っていなかったし、途中でつまずいたこともあった。だから、F1のチャンスが巡ってきたとき、『これで準備はできているのか?』と思ったんだ」とアルボンは続けた。

アレクサンダー・アルボン ウィリアムズ・レーシング2024年、ウィリアムズドライバーとして3シーズン目を迎えるアルボン

「多くのドライバー、たとえばジョージやランドは、F1を始める前に古いF1マシンで多くのテストを行った。僕はF1初年度を文字通りゼロ日から始めることになった。最初の日は凍えるような寒さのバルセロナ(プレシーズンテスト)で、チームメイトと1日半過ごし、最初のレースに臨んだ」

「最初の週末を迎える前に、F1マシンに1日半乗って出場する。不安だったし、『この状況を最大限に活用しなければならない』と感じた。『このチャンスに最高のカードが配られたわけじゃないけど、F1なんだからそれをつかまなきゃ』ってね」

2019年はアルボンにとって波乱に満ちた1年となり、ルーキーはシーズン後半、苦戦を強いられていたピエール・ガスリーと入れ替わる形でレッドブルの本隊でチャンスを与えられた。その後、2021年にセルジオ・ペレスが加入したため、アルボンはレッドブルの主力チームから遠ざかることになった。

レッドブルのテスト兼リザーブドライバーとして1年を過ごした後、アルボンは2022年にウィリアムズでF1グリッドに復帰。2024年にこのチームで3年目のシーズンを迎えることになる。

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カテゴリー: F1 / アレクサンダー・アルボン / ウィリアムズ・レーシング / レッドブル・レーシング