スーパーフォーミュラ
3月7日、前日に続き、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ第1回公式テスト2日目が行なわれた。午前のセッションでトップタイムをマークしたのは、No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)。午後にはNo.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)が最速タイムをマークし、これが2日間でのトップタイムとなっている。

テスト2日目を迎えたサーキットは、薄曇りに終始した初日と異なり、比較的青空が広がる朝となった。

走行3回目は午前9時にスタート。コースへと向かう車両の中には、初日を体調不良で欠席したNo.4 山下健太(KONDO RACING)の姿も見られた。

開始からわずか5分、No.8 大嶋和也(SUNOCO TEAM LEMANS)がヘアピンカーブでコースアウト。最初の赤旗中断となる。再開してほどなくすると、No.1 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が1分37秒911でトップに。その後、ロッテラーによる赤旗中断を挟んで、さらにタイムアップし、1分37秒533までタイムを削った。開始から1時間が過ぎ、メインストレートには冷たい追い風が吹く一方、日差しが降り注ぎ、路面コンディションも向上。半数以上の車両が1分38秒前半のタイムを刻みながら周回を重ねる中、トップタイムも1分37秒306へと更新された。

セッション後半に入ると、自己ベストタイムを更新する車両が増え、初走行の山下も、1分37秒前半までタイムを削る。さらに残り30分を切り、中嶋が1分36秒608までタイムアップし、トップへ。一方、サーキット上空には灰色の雲が押し寄せ、コース上はあっという間に冷たい雨のウェットコンディションへと激変。各車、走行を一旦中断した。幸い、残り15分ほどでコンディションは回復したが、走行を再開する車両は少なく、このまま午前のセッションを終えている。

結果、中嶋のトップは変わらず。2番手は国本の1分37秒088。さらにトヨタ勢では、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が4番手で続き、ルーキー勢ではNo.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が6番手に入った。

公式テスト最後のセッションは午後3時にスタート。風が強まり、より寒さを感じるコンディションとなる。各車、早々から1分40秒を切ってタイムアップしたが、開始30分過ぎにヘアピンでコースアウトが発生。赤旗中断に加え、コース上の液体処理作業に時間がかかり、走行再開までに20分を要した。これにより15分のセッション延長が決定する。

再開後は、ピットでの作業を優先させる車両も多く、コース上に出る車両は少なかったが、前日の走行を見送ったルーキーの山下は精力的に周回。残り1時間の時点で午前中の自己ベストタイムを上回る走りを見せていた。

セッション終盤を前に新たな動きを見せたのは、国本。1分36秒240でトップに立ち、同時に自身トータルベストタイムを更新する。一方、No.20 ヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は午前中の自己ベストタイムを更新するも、勢い余ったか、翌周のシケイン2つ目でコースアウト。セッション2回目の赤旗中断を招いてしまった。

再開後の走行でも順調にタイムアップを果たした国本は、1分35秒849をマーク。しかし、チェッカー目前になってロッテラー、中嶋のTOM'S 2台が揃ってベストタイムを更新し、トップ2に躍り出る。またその直後、3台の車両がそれぞれ単独でコースアウトを喫し、セッションは3回目の赤旗に。結局、この中断をもって鈴鹿での公式テスト全セッションを終えることになった。

結果、トップは1分35秒163をマークしたロッテラー。中嶋が1分35秒273で続き、TOM'S勢が連日トップを独占している。総合4番手となったディフェンディングチャンピオンの国本は「去年とタイヤが変わったこともあり、昨日は合わせ込む作業に時間を使いました。今日は色々な組み合わせを試す中、クルマも良くなったし、路面にクルマを合わすこともできました。最後は残念ながらアタックできなかったのですが、それ以外はうまく行きました。開幕戦に向けてまだやりたいこともあるし、伸びしろもあると思うので、楽しみです」と、手応えを感じている様子だった。

開幕前最後のテストは、静岡・富士スピードウェイで実施。3月31日、4月1日の2日間で行われ、4月22日からの開幕戦鈴鹿を迎える。

ルーキードライバーたちのコメント

No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)
スーパーフォーミュラの参戦が決まって、本当にうれしい。全日本F3を走っているときから、スーパーフォーミュラに出たいと思っていたので、今年はエキサイティングなシーズンを過ごすことになると思います。今は何もかも新しいことばかりで、つねに勉強している状態。厳しい戦いになるでしょうが、僕自身はとても充実しています。日本のファンの皆さんにも、スーパーフォーミュラとSUPER GTの両カテゴリーでトップクラスを走る姿を見せることができて、とてもハッピーです。スーパーフォーミュラは、ダウンフォース、パワーなどすべてにおいてF3とは異なることばかり。感覚的にはF3と去年から参戦しているGT500を組み合わせたようなイメージかな。シーズンを戦うにあたり、具体的な目標や結果よりも、まず一戦一戦でベストを尽くしたいと思います。

No.4 山下健太(KONDO RACING)
F3と比べても、スーパーフォーミュラはクルマがめちゃめちゃ速い。それにGがかなり強烈。初めてニュータイヤを着けたとき、グリップが高すぎて合わせ込むことができませんでした。でも慣れればもっとタイムが出せると思うので、フィーリングとしては悪くない。ただレースでしか体感できないことも多いので、体力含め、強化していかないといけませんね。ルーキーだから、今年はあまり活躍できないんじゃないの? というイメージを結果で払拭したいと思っているんです。それから僕が去年のF3チャンピオンなのに、なぜか(ランキング2位の)マーデンボローの方が注目されているので、彼には勝たないと!(笑) 開幕戦の鈴鹿では、早速表彰台を狙いたい。もちろん、シーズン通して優勝も意識して戦いたいですね。

No.7 フェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)
スーパーフォーミュラは、これまで僕がドライブしたレーシングカーで最速のクルマです。身体にかかるGもダウンフォースもすごいですが、とても興味深く感じています。初めて鈴鹿を走りましたが、10代の頃、F1中継をテレビで見ていたそのサーキットを思った以上に違和感なく走ることができたので、とても満足です。現在、僕はフォーミュラEにも参戦しているのですが、チャンスがあるならもっとレースがしたいと思っていました。スーパーフォーミュラは(フォーミュラEと)スケジュールが重複しないし、ハードとは思いますが、僕が理想とする形でレース活動ができると信じています。レースでは、ベストを尽くし、今シーズン中に優勝できれば最高ですね。また日本のファンの皆さんには、まだレースをしていないのに温かく迎えてもらい、驚いています。すでにたくさん写真撮影やサインを頼まれました。こんなことは初めてですが、ありがたいですね。

No.20 ヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
チームは監督を含め、知名度が高いだけに、その期待に応えたいという気持ちはあります。でもそれに対してのプレッシャーはありません。星野(一義)サンは「いつも100%プッシュしろ! スピンしてもクラッシュしても構わない」と言ってくれるし、ミスしても、「ダイジョウブ、ダイジョウブ」と声をかけてくれます。開幕戦で優勝を狙いたいという気持ちはもちろんありますが、そのために準備することもまだまだあるので、まず入賞を目指したいですね。ドライビングのスタイルはF3のときとあまり変わらないんですが、スーパーフォーミュラはダウンフォースが凄いし、スピードも相当速い。昨日は走行後に首がおかしな感じになりましたが、今朝のセッションからはそれも感じなくなりました。ドライビングも徐々に自信がついてきたし、シーズン中はつねに速さをアピールして、いいパフォーマンスを見せたいと思います。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / スーパーフォーミュラ