WRC | トヨタ 第4戦 ラリー・フランス(ツール・ド・コルス)プレビュー
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、3月28日(木)から31日(日)にかけてフランスのコルシカ島で開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・フランス(ツール・ド・コルス)に、オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(#10号車)、クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(#5号車)の、3台のヤリスWRCで参戦する。
ツール・ド・コルスは、地中海に浮かぶフランスのコルシカ島を舞台とする、ターマック(舗装路)ラリー。その歴史は長く、初開催は1956年。WRCに関しては、創設初年度の1973年からシリーズの1戦に組み込まれた。WRCフランス戦は一時期本土のアルザス地方で開催されていたが、2015年コルシカ島に回帰し現在に至っている。コルシカ島内には険しい山岳地帯が多く、その山岳地帯や海岸線沿いの曲がりくねった舗装路が、大会期間中はSS(スペシャルステージ)として使用される。非常に多くのコーナーがあることから「1万コーナーのラリー」とも呼ばれており、道幅が狭い、ツイスティなコーナーが延々と続く。また、道路脇には岩壁や断崖絶壁が迫りエスケープゾーンが少ないため、僅かなドライビングミスが大きなアクシデントに繋がる、ハイリスクなラリーとしても知られている。
2019年大会のルートは昨年と大きく変わり、SSに関しては全体の75%が新しくなった。ラリーの中心となるサービスパークは変わらず島東北部のバスティアに置かれるが、28日(木)のセレモニアルスタートは島南部のポルト・ヴェッキオで行なわれ、競技初日となる29日(金)のデイ1はポルト・ヴェッキオの周辺で行なわれる。デイ1は3本のステージを各2回走行するが、日中のフルサービスは設定されていないため、クルマに大きなダメージを負うことは許されない。30日(土)のデイ2は、バスティアを中心に島の東北部で3本のステージを各2回走行。ラリー最終日となる31日(日)のデイ3は、島西北部カルヴィの周辺で2本のステージが行なわれ、最終のSS14はトップ5タイムを記録した選手に対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。SSの数は3日間で14本とあまり多くないが、距離が長いSSが多いため合計距離は347.51kmに達し、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1,194.06kmとなる。
第3戦ラリー・メキシコではタナック/ヤルヴェオヤ組が総合2位でフィニッシュし、ドライバー、コ・ドライバー、マニュファクチャラーの3選手権でランキング首位の座を守った。WRCの規則によりドライバー選手権トップのタナックは、競技初日デイ1のSSを1番手でスタートすることになる。グラベル(未舗装路)ラリーにおいて1番手スタートは滑りやすい路面を走行するため一般的に不利だが、ターマックラリーではむしろ有利な条件となることが多く、タナックにとってデイ1は特に重要な1日となる。ラトバラは2015年にこのラリーで優勝しており、ミークも上位入賞経験があるため、全員に大きなチャンスがある。チームにとって参戦3年目となる今年は、ツール・ド・コルス初優勝を目標に掲げ、一丸となって戦いに臨む。
トミ・マキネン(チーム代表)
昨年は全SSの半分でベストタイムを記録するなど強さを発揮しましたので、今年は前向きな気持ちでコルシカ島に向かうことができます。かつて、私はこのラリーに選手として何度も出場したので、本当に難しいラリーであると知っています。しかし、我々のドライバーは、これまで全員がツール・ド・コルスで速さを示してきました。非常に多くのコーナーと、本当に長いステージによって構成されるこのラリーは、100%の自信を持って走らなければ大きくタイムを失います。だからこそ、正しいセットアップがとても重要なのです。特に今年は、金曜日デイ1のステージを日中のフルサービスなしで走らなければならず、途中で大きくセットアップを変えることができないため、なおさらです。ただし、チームとしては可能な限りの準備をしましたので、今回もまた良い週末になるのではないかと期待しています。
オット・タナック(ヤリスWRC #8号車)
ツール・ド・コルスのスタートを待ち切れません。ドライバー選手権のリーダーとして、私は1番手の出走順で初日のステージに臨みます。汚れる前のクリーンな路面を走ることができるので、ターマックラリーでの1番手スタートは有利だと思います。過去、ツール・ド・コルスは自分がもっとも苦手にしていたラリーでした。しかし、初めてヤリスWRCで出場した昨年はとても良いペースで走ることができました。今やヤリスWRCはターマックラリーでも本当に強力だと思いますので、我々はきっと高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。ライバル達も非常に速いとは思いますが、開幕戦から続くポジティブな流れを保ち、今回もできるだけ多くのポイントを獲得したいと思います。
ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC #10号車)
コルシカは、私がいつも楽しみにしているラリーです。舗装路面は例年とてもコンディションが良く、摩擦力が強いため高いグリップ力が得られます。また、島自体も美しく、とても気に入っています。今年はルートが変更されましたが、そのうちいくつかのステージは2015年に私が優勝した時に使われたものなので、良い思い出がありますし、私にとっては歓迎すべき変化です。今週の前半に事前テストを行ない、200kmを走りました。今回のラリーのためだけでなく、将来に向けた開発も行なうなど多くのことを試しました。開幕戦ラリー・モンテカルロではアンダーステアに苦しんだので、その解決に努め、コーナーのターンインとブレーキングについて改善を進めた結果、クルマにより大きな自信を持てるようになりました。テストを終え家で数日間リラックスしたので、月曜日のレッキ開始に向けて準備は整っています。
クリス・ミーク(ヤリスWRC #5号車)
ここ数年、コルシカ島では常に速さがあり、良い戦いができています。毎回大きなチャレンジが求められるラリーですが、特に今年はルートの75%が完全に新しくなったので、なおさらです。新しいステージが多いため、レッキで良いペースノートを作ることがとても重要になるでしょう。開幕戦ラリー・モンテカルロの舗装路でヤリスWRCは良いフィーリングでしたが、自分ではとても上手く走れたと思う最終のパワーステージを除けば、ツール・ド・コルスとは大きく異なるタイプのラリーでした。先週日曜日の事前テストは、たった1日でしかも1本のコースだけという限られた中で多くを学ばなければなりませんでしたが、とても上手く行きました。セットアップの方向性は明確になったので、ラリー本番がとても楽しみです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
ツール・ド・コルスは、地中海に浮かぶフランスのコルシカ島を舞台とする、ターマック(舗装路)ラリー。その歴史は長く、初開催は1956年。WRCに関しては、創設初年度の1973年からシリーズの1戦に組み込まれた。WRCフランス戦は一時期本土のアルザス地方で開催されていたが、2015年コルシカ島に回帰し現在に至っている。コルシカ島内には険しい山岳地帯が多く、その山岳地帯や海岸線沿いの曲がりくねった舗装路が、大会期間中はSS(スペシャルステージ)として使用される。非常に多くのコーナーがあることから「1万コーナーのラリー」とも呼ばれており、道幅が狭い、ツイスティなコーナーが延々と続く。また、道路脇には岩壁や断崖絶壁が迫りエスケープゾーンが少ないため、僅かなドライビングミスが大きなアクシデントに繋がる、ハイリスクなラリーとしても知られている。
2019年大会のルートは昨年と大きく変わり、SSに関しては全体の75%が新しくなった。ラリーの中心となるサービスパークは変わらず島東北部のバスティアに置かれるが、28日(木)のセレモニアルスタートは島南部のポルト・ヴェッキオで行なわれ、競技初日となる29日(金)のデイ1はポルト・ヴェッキオの周辺で行なわれる。デイ1は3本のステージを各2回走行するが、日中のフルサービスは設定されていないため、クルマに大きなダメージを負うことは許されない。30日(土)のデイ2は、バスティアを中心に島の東北部で3本のステージを各2回走行。ラリー最終日となる31日(日)のデイ3は、島西北部カルヴィの周辺で2本のステージが行なわれ、最終のSS14はトップ5タイムを記録した選手に対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。SSの数は3日間で14本とあまり多くないが、距離が長いSSが多いため合計距離は347.51kmに達し、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1,194.06kmとなる。
第3戦ラリー・メキシコではタナック/ヤルヴェオヤ組が総合2位でフィニッシュし、ドライバー、コ・ドライバー、マニュファクチャラーの3選手権でランキング首位の座を守った。WRCの規則によりドライバー選手権トップのタナックは、競技初日デイ1のSSを1番手でスタートすることになる。グラベル(未舗装路)ラリーにおいて1番手スタートは滑りやすい路面を走行するため一般的に不利だが、ターマックラリーではむしろ有利な条件となることが多く、タナックにとってデイ1は特に重要な1日となる。ラトバラは2015年にこのラリーで優勝しており、ミークも上位入賞経験があるため、全員に大きなチャンスがある。チームにとって参戦3年目となる今年は、ツール・ド・コルス初優勝を目標に掲げ、一丸となって戦いに臨む。
トミ・マキネン(チーム代表)
昨年は全SSの半分でベストタイムを記録するなど強さを発揮しましたので、今年は前向きな気持ちでコルシカ島に向かうことができます。かつて、私はこのラリーに選手として何度も出場したので、本当に難しいラリーであると知っています。しかし、我々のドライバーは、これまで全員がツール・ド・コルスで速さを示してきました。非常に多くのコーナーと、本当に長いステージによって構成されるこのラリーは、100%の自信を持って走らなければ大きくタイムを失います。だからこそ、正しいセットアップがとても重要なのです。特に今年は、金曜日デイ1のステージを日中のフルサービスなしで走らなければならず、途中で大きくセットアップを変えることができないため、なおさらです。ただし、チームとしては可能な限りの準備をしましたので、今回もまた良い週末になるのではないかと期待しています。
オット・タナック(ヤリスWRC #8号車)
ツール・ド・コルスのスタートを待ち切れません。ドライバー選手権のリーダーとして、私は1番手の出走順で初日のステージに臨みます。汚れる前のクリーンな路面を走ることができるので、ターマックラリーでの1番手スタートは有利だと思います。過去、ツール・ド・コルスは自分がもっとも苦手にしていたラリーでした。しかし、初めてヤリスWRCで出場した昨年はとても良いペースで走ることができました。今やヤリスWRCはターマックラリーでも本当に強力だと思いますので、我々はきっと高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。ライバル達も非常に速いとは思いますが、開幕戦から続くポジティブな流れを保ち、今回もできるだけ多くのポイントを獲得したいと思います。
ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC #10号車)
コルシカは、私がいつも楽しみにしているラリーです。舗装路面は例年とてもコンディションが良く、摩擦力が強いため高いグリップ力が得られます。また、島自体も美しく、とても気に入っています。今年はルートが変更されましたが、そのうちいくつかのステージは2015年に私が優勝した時に使われたものなので、良い思い出がありますし、私にとっては歓迎すべき変化です。今週の前半に事前テストを行ない、200kmを走りました。今回のラリーのためだけでなく、将来に向けた開発も行なうなど多くのことを試しました。開幕戦ラリー・モンテカルロではアンダーステアに苦しんだので、その解決に努め、コーナーのターンインとブレーキングについて改善を進めた結果、クルマにより大きな自信を持てるようになりました。テストを終え家で数日間リラックスしたので、月曜日のレッキ開始に向けて準備は整っています。
クリス・ミーク(ヤリスWRC #5号車)
ここ数年、コルシカ島では常に速さがあり、良い戦いができています。毎回大きなチャレンジが求められるラリーですが、特に今年はルートの75%が完全に新しくなったので、なおさらです。新しいステージが多いため、レッキで良いペースノートを作ることがとても重要になるでしょう。開幕戦ラリー・モンテカルロの舗装路でヤリスWRCは良いフィーリングでしたが、自分ではとても上手く走れたと思う最終のパワーステージを除けば、ツール・ド・コルスとは大きく異なるタイプのラリーでした。先週日曜日の事前テストは、たった1日でしかも1本のコースだけという限られた中で多くを学ばなければなりませんでしたが、とても上手く行きました。セットアップの方向性は明確になったので、ラリー本番がとても楽しみです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)