室屋義秀 レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ
レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ 2017シーズン最終戦インディアナポリスは記録と記憶に残るレースだった。室屋義秀が優勝し、アジア人初のワールドチャンピオンに輝いた

室屋義秀は緊張感高まるファイナル4の1番手として登場したが、いきなりパーフェクトなフライトを披露し、さらにはトラックレコードを1秒以上更新。プレッシャーを扱う才能が誰よりも優れていることを強烈にアピールした。

室屋義秀のタイム1分03秒026を上回るのはかなり難しいと思わたが、まず、マティアス・ドルダラーとフアン・ベラルデが、ソンカよりも先に室屋へ挑んだ。そして、2番手のドルダラーが親友のタイムを上回ることはなかった。全てのスプリットタイムで遅れたドルダラーは、最終的に室屋から2.520秒遅れてフィニッシュ。また、ベラルデも上回ることができず、ドルダラーよりも遅いタイムでフィニッシュした。

この結果、ソンカのタイトル獲得条件は室屋を上回るか、2位に入るかのどちらかに絞られたが、チェコ人パイロットのファイナル4のフライトは冴えなかった。バーチカルターンでストールし、室屋から4秒以上も遅れたソンカは、結局4位に終わり、ワールドチャンピオンを室屋に譲った。

インディアナポリスを制した室屋は、アジア人初のレッドブル・エアレース・ワールドシリーズのワールドチャンピオンに輝いた。2017シーズンに4勝を挙げた日本のエースパイロットは、タイトルホルダーとして大きな注目と共に2018シーズンを迎えることになる。

室屋義秀 (優勝)

ワールドチャンピオン獲得を狙っていましたが、今までで一番タイトなレースになりました。出遅れたのでかなり厳しい道のりになりましたが、なんとか優勝できました。素晴らしいと思いますし、モータースポーツの歴史に残ると思います。レースで優勝し、同時にワールドチャンピオンになれたのは本当に最高です。信じられませんね! コックピットから自分のタイム(トラックレコード)を確認した時は、計時システムが壊れていると思いましたが、現実のタイムでした。あのようなタイムは記録できないと思っていたので、何かが自分を後押ししてくれたんだと思います。ファンと家族、そして自分たちをサポートしてくれた全員に感謝したいです。

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マティアス・ドルダラー (2位)
素晴らしい最終戦になった。インディアナポリスは昨年が優勝で、今年は2位だ。優勝できればもっと良かったが、それは来年の目標にしよう。2位に入ったことで親友のヨシ(室屋義秀)の優勝を手助けする形となった。ヨシと彼のチームを祝福したい。自分に対しても、ヨシのチームに対してもハッピーだ。

フアン・ベラルデ (3位)
個人としてもチームとしても非常に嬉しい。チームはずっとハードワークを重ねていたが、後半戦でその努力が報われ始めた。開幕戦で表彰台を獲得し、最終戦も表彰台で締めくくることができた。今日のレースは、難しい天候に対処することが課題だった。ラウンド・オブ・14はほとんどアドリブでラインを見出していった。速くてミスのないフライトを意識した。かなりの好タイムを記録できていたので、ファイナル4に進出できる自信はあった。もちろん、どうなるかは分からなかったが、ファイナル4進出を目標にしていた。

マルティン・ソンカ (4位)
ラウンド・オブ・8の前にラムダセンサーが機能しなくなったので、最適な空燃比が分からなくなってしまった。勘を頼りに空燃比を調整しなければならず、結果的にタイムを失ってしまった。2位を狙えたはずだが、実現しなかった。エンジンを分析し、トラブルの原因を探らなければならない。ラウンド・オブ・14でパイロンヒットした時は、これで終わりだと思った。パイロンヒットしたのに敗者最速になれるとは思っていなかった。ラウンド・オブ・8の内容は良く、思い通りのフライトだったが、ファイナル4では再現できなかった。リードを失って逆転負けする方が、あと一歩届かずに負けるよりも悔しい。自分のチーム、そしてシーズンを通した彼らのハードワークを非常に誇りに思っているが、この結果には多少落胆している。

ペトル・コプシュタイン (5位)
今日のマティアス(ドルダラー)はとても速かったが、5位という結果には非常に満足している。来シーズンに向けて集中していきたい。2017シーズンは満足できる1年だった。2018シーズンはトップ争いに加わりたい。

ミカエル・ブラジョー (6位)
レーストラックに入ったあと、ペナルティを受けずにできるだけ速いフライトをすることが当初のプランだったが、これはクリアできた。ラウンド・オブ・8も想定していたラインをフライトできたが、ヨシ(室屋)がとにかく速かった。3戦連続でラウンド・オブ・8進出を果たせたことについてはとても満足している。自分たちの存在感を示せた。2018シーズンはラウンド・オブ・8進出回数を増やしつつ、ファイナル4進出を目指したい。

マイケル・グーリアン (7位)
プラン通りにフライトできたので、今日は良い1日だった。しかし、ゲート2でわずか6インチ(約15cm)の判断ミスをしてしまったという意味では悪い1日だった。表彰台を狙えるタイムだったはずだ。チャンスを失ってしまったが、2018シーズンに向けてポジティブなスタートを切る予定だ。

マット・ホール (8位)
ソンカのタイムを聞いていたので、ゲート2を最大のアングルでタイトに抜けようとしたが、パイロンヒットをしてしまった。コックピットの中から振り返ってパイロンヒットかどうかを確認した。ヒットしたと思っても実はヒットしていない時があるからだ。パイロンヒットを確認したあとは集中力を失ってしまった。今朝チームミーティングをした時に、今日がどんな結果に終わっても、今シーズンの目標は達成しているので問題ないという話をした。シーズン前半を使って機体を整備し、シーズン中盤に操縦に慣れ、シーズン後半に優勝を狙えるようにするというのが目標だった。結局、優勝はできなかったが、ラウンドと予選で勝利を重ねることができたので、今シーズンのパフォーマンスには満足している。

クリスチャン・ボルトン (9位)
今日のコンディションは非常に厳しかった。風がとても強かった。パイロンの方向やレーストラックの外側に押されそうになった。フライトをするには非常にチャレンジングなコンディションだった。タフなレースだった。もちろん、オフシーズンを使って成長し、今シーズンよりも戦えるチームになることを目指すつもりだ。これはすでに決まっている。

カービー・チャンブリス (10位)
通常、自分たちは厳しいコンディションの方が好調だ。しかし、今日はそこまで厳しいコンディションではなかったので、とにかくフアン(ベラルデ)にプレッシャーをかけようとした。世間はホームレースをアドバンテージだと考えており、家族や友人に会えるのは確かに嬉しいが、実際は諸刃の剣だ。なぜなら、対応に追われるからだ。今年を振り返ってみると、タイトル獲得は叶わなかったが、タイトル争いには加われたので、素晴らしいシーズンだったと言えるだろう。

ピート・マクロード (11位)
風に捕まってしまった。楽しいフライトだった。最後から2番目のゲートからフィニッシュゲートへ向かう時に、風で少し左に押されてしまい、ウイングチップでパイロンヒットしてしまった。風が強いのはフライト前から分かっていた。楽しいフライトだった。今日のようなコンディションでは楽しむくらいしかできない。しかし、やり直せるならやり直したい。フィニッシュゲートで風に捕まってしまったのは本当に痛かった。フィニッシュゲートでパイロンヒットを記録するまではかなりの好タイムを出せていたのは好材料だが、今日はそれだけだ。シーズン全体には満足している。アップダウンもあったが、素晴らしい1年だった。

フランソワ・ルボット (12位)
2017シーズンが終わったが、振り返るつもりはない。日々成長するだけなので、次のレースについて考えるだけだ。シーズンをまとめて振り返ることはない。1戦1戦を戦っていくだけだ。2018シーズンへの準備は今日から始まる。

ニコラス・イワノフ (13位)
バーチカルターン直後でミスをしてしまった。次のゲートまでの距離を縮めよとしたのだが、タイトになりすぎて、ゲート通過後のラインが乱れてしまった。素晴らしい1日ではなかった。今日のパフォーマンスが今シーズンを如実に表している。来シーズンは全てを変える必要がある。

ピーター・ポドランセック (14位)
正直に言えば、素晴らしい気分だ。ペナルティを受けてしまったが、フライトには満足している。仲間のパイロットやスタッフに囲まれながら最高の2年間を過ごすことができた。Red Bull Air Raceに参加できるチャンスが得られて本当に幸せだったが、ここから去る時が来た。数多くの予定が控えている。もちろん、空の世界からいなくなるわけではない。航空は自分の情熱なので、自分が得てきた経験と知識を活かしていきたい。来年にはスロベニアでビッグイベントを開催する予定だ。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング