トト・ヴォルフ メルセデスF1“内戦”火消し「感情を冷ます必要がある」

3連勝中だったアントネッリに対し、ラッセルはカナダで復調。スプリント勝利、ポールポジション獲得と週末を支配したが、決勝ではチームメイトとの激しいバトルの末にパワーユニットトラブルでリタイアとなった。
結果として、ランキングではアントネッリとの差を縮めるどころか、43ポイント差へと広がる形となった。
メルセデスF1内部で高まる緊張感
トト・ヴォルフは、すでに今季何度も感情的な衝突を見せている2人の関係について、レース後に率直な危機感を口にした。
「何周にもわたって本当にヒヤヒヤしていた」とトト・ヴォルフはコメント。
「少し落ち着いてほしかったが、そうはならなかった」
「レーシングドライバーとはそういうものだ」
さらにヴォルフは、今回のバトルが限界ギリギリだったことも認めている。
「許容範囲ギリギリだった」とヴォルフは笑みを浮かべながら語った。
「おそらく10%くらいは抑えるべきだったかもしれない」
現在のメルセデスにとって最大の課題は、この急速に激化するライバル関係をどう管理するかにある。
「まずは感情を落ち着かせる必要がある」とヴォルフは認めた。
「我々はジョージが精神的にも立ち直ることを望んでいる」
「今後については内部で話し合う。我々は常にドライバーに対して透明性を持って接したい」
アントネッリが見せ始めた“王者の冷静さ”
興味深かったのは、レース後の反応だった。
ラッセルが「僕たちはどう戦うべきか理解している」「完全にコントロールできていた」と自由なバトル継続を望む姿勢を見せた一方で、アントネッリはより慎重な口ぶりだった。
「タフな戦いだった」とアントネッリはコメント。
「何度か少し限界ギリギリだった場面もあった」
「でも僕たちはお互いに全力で戦っていた」
ヴォルフは、その後ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ時代の“内戦”との比較を避けようとした。
「ニコとルイスの時代とは違う」とヴォルフはCanal Plusに語った。
その上で、メルセデス内部ではすでに複数の運営方針を議論していることを明かした。
「我々はドライバーたちに3つの選択肢を提示した」
「1つ目は、目の前のマシンを別チームのクルマだと思って戦う方法」
「2つ目は、“ミッキーマウス・レース”のようにストレートでしかオーバーテイクしない方法だ」
「もちろん我々はそれも望んでいない。3つ目は、ドライバーを信頼することだ」
「我々は3つ目の方向を目指している」
ラルフ・シューマッハ「アントネッリが主導権を握った」
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、今回の戦いによってメルセデス内部の力関係が変わり始めたと分析している。
「壮絶なバトルだった」とラルフ・シューマッハはSky Deutschlandに語った。
「だがキミは極めて冷静に対応していた。ジョージに何度もミスを強いていた」
「キミは今、新たな段階へ進み始めている。彼は前に出てチームを率いたいと思っている」
「もうジョージに息をつく暇を与えていない」
さらにシューマッハは、ラッセルのプレッシャー耐性にも疑問を投げかけた。
「ジョージは信じられないほど速い」
「だがプレッシャーへの対処は得意ではない」
一方のラッセルは、レース後には半ば達観したような口調も見せている。
「今は彼が落とすかどうかの戦いだ」とラッセルは語った。
「神様は僕にこのタイトル争いをさせたくないみたいだ」
さらにラッセルは今季ここまでの不運を並べ立てた。
「日本ではセーフティカーのタイミング」
「中国ではQ3で不運があった」
「そして今回は、僕がレースを支配していたのにまた不運だった」
それでもラッセルは、今後は失うもののない立場で攻め続けると強調した。
「もうプレッシャーはない」
「毎レースを楽しむつもりだ。毎レース勝ちにいく」
「僕には失うものは何もない」
“ハミルトンvsロズベルグ再来”を避けられるか
2度のF1ワールドチャンピオンであるエマーソン・フィッティパルディは、この対立は避けられなかったと見る。
「タイトルを狙えるマシンだと分かっているドライバーが2人いれば、チャンスを逃したくないと思うものだ」とフィッティパルディは語った。
「ラッセルはこれが自分にとって最大のチャンスだと理解している。一方でキミにとっては、まだすべてが新しい」
その中で、2027年に向けて浮上しているマックス・フェルスタッペンのメルセデス移籍説について、ラルフ・シューマッハは否定的な見方を示した。
「メルセデスに彼の居場所はないと思う」とシューマッハは語った。
「なぜトト・ヴォルフが、自分の秘蔵っ子の隣にフェルスタッペンを入れる必要がある?」
「リスクが大きすぎる」
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