ホンダ:2021年 インディ500 “カーブデイ”レポート
5月28日、アメリカ東部インディア州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイでは、第105回インディアナポリス500マイルの最終プラクティスが行われた。

1911年に第1回大会が開催され、2回の世界大戦中以外は毎年レースが行われてきた、世界で最も長い歴史を持つインディ500は、最終プラクティスが決勝日の数日前というスケジュールが伝統となっており、それが現在でも守られている。

カーブレター(キャブレター、気化器)の最終調整を行うための1日だったことからカーブレション・デイと呼ばれるようになり、現在ではそれが短縮されてたカーブデイという呼び名が定着している。午前中の雨によって、2時間ほど遅れて午後1時半過ぎに始まった今年のファイナルプラクティスは、2時間の予定だったが、再び降り出した雨によって5分ほど短いものとなった。しかし、出場33台はそれまでに多くの周回を重ね、最後の調整に励んだ。

気温が15~17℃という、非常に寒いコンディションとなった同セッションでの最速ラップは、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が記録した228.323mphだった。23日(日)に開催された予選で231.685mphのスピードでポールポジションを獲得したディクソンが、ここでも最速で、予選までで獲得した勢いを保っている。

ディクソン以外のHonda勢では、昨年のポールポジションを獲得したマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta-Haupert w/ Marco & Curb-Agajanian)が226.396mphで5番手につけ、8番手には2013年インディ500ウイナーのトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)、9番手には2017年と2020年の2回インディ500での勝利を飾っている佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)がつけた。

インディアナポリス500マイルでのホンダ
ホンダは主要自動車メーカーの中で最も多くのインディアナポリス500マイルでの優勝を挙げて来ている。1994年にINDYCARシリーズへの参戦を開始して以来、20レースに出場し、13勝と勝率65%を記録してきている。

COVID-19のパンデミックのため、2020年のインディアナポリス500マイルは8月に開催され、佐藤琢磨が優勝した。その勝利はホンダにとって、1994年のINDYCARシリーズ参戦開始以来の通算250勝目となった。インディ500での勝利はホンダにとっての13回目で、同時代に参戦した他の自動車メーカーを大きく引き離す勝利数となっている。

ホンダのインディ500初優勝は、バディ・ライスがRahal Letterman Racing(2010年からRahal Letterman Lanigan Racing)がPanoz G-Force/Hondaを駆って優勝した2004年で、ホンダにとって、この年は4回目のインディ500挑戦だった。

ライス以降にHondaエンジン搭載でインディ500制覇を果たしたのは、2005年と2011年のダン・ウェルドン、2006年のサム・ホーニッシュJr.、2007年、2010年、2012年のダリオ・フランキッティ、2008年のディクソン、2009年のエリオ・カストロネベス、2014年のライアン・ハンターレイ、2016年のアレクサンダー・ロッシ、そして、2017年と2020年の佐藤琢磨。

Hondaエンジンを搭載してインディ500に出場したドライバーの数は、昨年までで388台に達しており、長い歴史の中でも自動車メーカーの中でのトップとなっている。そして、それらの出場ドライバーたちが重ねたレース周回数も、インディ500における自動車メーカーでのナンバーワンである67,789周に達している。

先週末の日曜日にインディアナポリスで自身4度目のポールポジションを獲得し、シリーズチャンピオンに6度輝いているディクソンは、Chip Ganassi RacingのHondaエンジン搭載マシンに乗り、33台が競い合うレースに先頭を切ってスタートを切る。ディクソンのインディ500でのポールポジションは、ホンダとっては14回目、複数メーカーが競い合うレースでは7回目となった。

今年のインディ500に出場する33台のうち、17台のマシンにHondaエンジンが搭載されている。予選でトップ10に入ったHondaドライバーは8人いる。今年のシリーズ第2戦セントピーターズバーグで優勝したコルトン・ハータ(Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian)はディクソンの隣りの2番グリッドからレースのスタートを切る。グリッド3列目には、Chip Ganassi Racingから出場するドライバーがさらに2人含まれている。3列目にはライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)、エリオ・カストロネベス(Meyer Shank Racing)、マーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)の3人のHondaドライバーが並び、4列目イン側グリッドには第100回インディ500のウイナーであるアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)がつけている。

今年で105回目を迎える“The Greatest Spectacle of Racing”は、2014年に記録された平均予選速度を上回る230.325mphというインディ500史上最速の33台のフィールドとなっている。決勝レースは5月30日開催となる。

スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)
「今日は気温がとても低いコンディションで、みんな高いグリップを得ていました。マシンが安定して走れるようになっていて、マシン同士の間隔が小さくできていました。その結果、集団の中でも抜いたり、抜き返したりができる、非常におもしろい状況になっていました。レースも今日のようなエキサイティングな戦いになるかもしれません。自分たちとしては、予定していた距離を走り、プラクティスを終了しました。燃料のミクスチャーを何パターンかチェックし、フルタンクでも走ってバランスを見ることができました。とてもいいプラクティスにできたと思います。レースは今日よりも少し暑いコンディションになって欲しいと思います。そうすれば、マシン同士の距離がもう少し広がりますからね」

佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)
「カーブデイはとても寒い日になりました。天気予報によれば、決勝日の天候は今日より少し暑いものとなるようですが、例年のINDY500よりは気温が低いようです。今日、こうして寒い中、そして風の吹く中で走り、データを収集できたのはよかったと思います。プラクティスや予選とはコンディションが大きく異なり、ダウンフォースの設定量も違ったものが求められ、難しい走行となっていました。私たちはカーナンバー45をつけるチームメートのサンティノ・フェルッチと多くのセットアップを試しました。貴重なデータを多く集めることができたと思います。それらの中からベストの組み合わせを見つけ出し、決勝日を迎えたいと思います」

PDriverN0チーム  Time/Gap
1DIXON Scott9Chip Ganassi RacingH 39.4178
2PAGENAUD Simon22Team PenskeC +0.2023
3NEWGARDEN Josef2Team PenskeC +0.2550
4DALY Conor47Ed Carpenter RacingC +0.3350
5ANDRETTI Marco98Andretti Herta Autosport w/
Marco Andretti & Curb-Agajanian
H +0.3356
6POWER Will12Team PenskeC +0.3660
7MCLAUGHLIN Scott3Team PenskeC +0.3714
8KANAAN Tony48Chip Ganassi RacingH +0.4178
9SATO Takuma30Rahal Letterman Lanigan RacingH +0.4579
10KARAM Sage24Dreyer & Reinbold RacingC +0.4861
11O'WARD Pato5Arrow McLaren SPC +0.4915
12CHILTON Max59CarlinC +0.5204
13ROSSI Alexander27Andretti AutosportH +0.5246
14BOURDAIS Sebastien14A.J. Foyt EnterprisesC +0.5532
15CASTRONEVES Helio6Meyer Shank RacingH +0.5536
16MONTOYA Juan Pablo86Arrow McLaren SPC +0.5558
17HILDEBRAND JR1A.J. Foyt EnterprisesC +0.5920
18JONES Ed18Dale Coyne Racing
with Vasser-Sullivan
H +0.5982
19RAHAL Graham15Rahal Letterman Lanigan RacingH +0.6049
20HUNTER-REAY Ryan28Andretti AutosportH +0.6322
21HINCHCLIFFE James29Andretti Steinbrenner AutosportH +0.6630
23ERICSSON Marcus8Chip Ganassi RacingH +0.6770
24ROSENQVIST Felix7Arrow McLaren SPC +0.6841
25KELLETT Dalton4A.J. Foyt EnterprisesC +0.7516
26WILSON Stefan25Andretti AutosportH +0.7523
27FERRUCCI Santino45Rahal Letterman Lanigan RacingH +0.7815
28HERTA Colton26Andretti Autosport
w/ Curb-Agajanian
H +0.8200
29HARVEY Jack60Meyer Shank RacingH +0.8211
30CARPENTER Ed20Ed Carpenter RacingC +0.8229
31VEEKAY Rinus21Ed Carpenter RacingC +0.9286
32DE SILVESTRO Simona16Paretta AutosportC +0.9368
33FITTIPALDI Pietro51Dale Coyne Racing with RWRH +1.0912


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カテゴリー: F1 / インディカー