F1エネルギーマネジメントをFIAが説明「ドライバー任せにできない理由」
2026年のF1で導入された新世代パワーユニットでは、エネルギーの配分を制御する自動アルゴリズムがレース展開を大きく左右している。スパ・フランコルシャンでは、その影響の大きさが改めて浮き彫りとなり、オスカー・ピアストリをはじめとするドライバーからも「かなりひどい」と不満の声が上がった。

こうした状況を受け、「なぜドライバー自身にエネルギー管理を任せられないのか」という疑問も広がっているが、FIA(国際自動車連盟)のシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、その理由は技術的な制約にあると説明した。

「100%ドライバー任せ」は現実的ではない
トンバジスは、ドライバーの不満には理解を示しながらも、完全な手動制御は現実的ではないと語った。

「ドライバーたちのコメントは理解できる。現在は使用できるエネルギー量が限られており、それをどう管理するかが極めて重要になっている。その結果として様々な戦略が必要になっている」

そのうえで、ドライバーが自由にエネルギーを使えるようにした場合の問題点を指摘した。

「100%ドライバー任せにはできない。もし好きなタイミングで好きなだけ使えるのであれば、ドライバーはコーナー立ち上がりですべてのエネルギーを一気に使い切るだろう。そうなれば、現在問題視されている現象はさらに顕著になる」

さらに、バッテリー保護や性能均衡のための技術的制約も存在すると説明した。

「エネルギーの放出量や回生量、SOC(State of Charge=充電状態)の変化量には制限が設けられている。これは技術開発競争の激化を防ぐためだ。もし制限がなければ、各メーカーはさらに巨大なバッテリーを搭載しようとし、再びマシンは重くなってしまう」

「こうした多くのパラメータを人間が合理的に制御することは不可能だ」

2028年の60対40ルールで改善を期待
現在の2026年レギュレーションでは、内燃エンジンと電動システムの出力比率は50対50となっている。しかしF1は2028年からこれを60対40へ変更することを決定しており、トンバジスはこれによってドライバー主体の走りを取り戻せると考えている。

「このバランスが少し見直されれば、この分野はよりシンプルになると思う。ドライバーたちが不満を抱いているのは、エネルギー管理そのものが原因だ」

「確かに複雑すぎる。私も100%彼らに同意する。しかし、それは根本的な問題から生じている結果だ」

アルゴリズムは以前から存在していた
トンバジスは、自動制御アルゴリズム自体は2026年規則以前から存在していたものの、新世代パワーユニットでは電動出力の比率が大幅に高まったことで、その重要性が飛躍的に増したと説明する。

「オスカー(ピアストリ)は非常に賢いドライバーだが、彼が感じているのは現在もっとも支配的な要素だ。バランスが見直されれば状況は改善されるだろう。完全になくなるわけではないが、大きな前進になるはずだ」

「こうしたアルゴリズムは以前から存在していた。しかし今年導入された新しい規則では、パワーユニットに占める電動出力の割合が大きくなったため、その重要性も大幅に高まった」

さらに2028年には電動出力比率が47%から40%へ引き下げられることで、アルゴリズムの影響も小さくなると見通しを示した。

「2028年には電動出力の比率が47%から40%へ下がるため、効率を左右するアルゴリズムの重要性は低下する。また、その頃には各メーカーも規則への理解を深めており、制御精度もさらに向上しているはずだ」

今回のFIAの説明は、自動エネルギー管理が単なる利便性のためではなく、性能均衡やコスト抑制、安全性を維持するための不可欠な仕組みであることを改めて示すものとなった。一方で、2028年のルール改訂によってドライバーがより主体的にマシンを操れる方向へ向かうことも期待されている。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟) / F1マシン