F1 ホンダF1
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、F1イタリアGPでのトロロッソ・ホンダの週末を Honda Racing F1 の公式サイトで振り返った。

F1グランプリは、夏休み明けのベルギーGPに続き、高速コースで名高いイタリア・モンツァで、ヨーロッパ最後の戦いを迎えた。チームとしてはマシンとの相性がよくないと想定していた高速のスパ・フランコルシャンで入賞を果たしたトロロッソ・ホンダだが、同様に難コースとなるモンツァに挑んだ。

「前戦のスパでは、これまでと同じスペックのパワーユニットを使っていますが、前半戦でのデータの見直しなどを行って臨みました。そして、実際にスパを走って、その結果をさらにフィードバックして、モンツァで戦います。パワーユニットのパフォーマンスとして、限界値というのはある程度ダイナモ上では出ているのですが、やはりその場その場、気候、温度、湿度などさまざまな条件を考えて、適正な使い方を決めます。このコースが特徴的なのは、全開率が高くて、中低速の使用率が低く、スロットル領域が少ないというのが特徴です。エネマネや燃費については、そんなに難しいというわけではありません」と田辺豊治は語る。

ハンガリーGPでの好結果に続き、夏休み明けのベルギーGPでもポイント獲得を果たしたことはチームの雰囲気をよくし、士気を高めることにつながった。その流れはイタリアGPの予選でも継続し、ブレンドン・ハートレーは僅差でQ2進出を逃したものの、ピエール・ガスリーが奮闘を見せQ3に進出。9番グリッドを獲得した。

「ドライバー、車体、パワーユニットと、それぞれの持てる力を出し切った結果だと思います。中団勢はとても僅差、激戦区のなかで、そして一つ狂っただけで順位が大きく落ちる状況で、今の我々の実力としてすべて出し切れたから、あそこまでいけたのだと思います。満足できるポジションとは言いませんが、今の持てるものでは、最高のポジションだったと思います」と田辺は予選後に語った。決勝に向けては「予選の結果も含めて、非常に僅差なので、パワーユニットとしてはスタートからきっちりと、トルクダウンなどを出すことなくスタートしてもらって、レース中も限界を見ながら、極力攻めながら行きたいと思います。高速、ストレートが長いので、DRSを使うと案外簡単に抜けてしまう。ですので、簡単に抜かれないように後ろとの距離であるとかをコントロールできれば、結果はついてくると思っています」と田辺豊治はレースにも強い意気込みを見せた。

しかし、決勝レースでは、開始早々2台ともにアクシデントに巻き込まれてしまった。ハートレーはスタート直後、第1コーナーへ向かうストレートで他車と接触。フロントのサスペンションが完全に壊れ、走行不能となった。ガスリーは、序盤にオーバーテイクを仕掛けた際に他車と接触し、マシンにダメージを負ってしまい、ペースを上げることができないまま走行を続け15位に終わった。

「今回はトロロッソにとってのホームレースでしたが、不運な接触により残念な結果となりました。予選で力強いパフォーマンスを見せていただけに、それを決勝で見せられず、非常に残念です。いいかたちでヨーロッパラウンドを締めくくることはできませんでしたが、次はテクニカルサーキットが舞台となるシンガポールGPです。ここ2戦続いた高速サーキットとは異なり、我々のマシン特性に合ったトラックだと思いますし、気持ちを切り替え、確実にポイントを獲得するために準備を進めます」とレース後、田辺は悔しさを滲ませながらも、次を見据えていた。

ヨーロッパラウンドの終わりとともに、シーズンは3分の2終えた。前回のアップデートを投入したカナダGP以降、多くの試行錯誤やノウハウの蓄積により、パワーユニットのポテンシャルを最大限引き出すことができるようになってきている。

相性がいいと想定している次戦シンガポールGPでいい結果を得られるかどうかは、残りのシーズン終盤戦を戦う上でも重要になってくる。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1