F1:予選モードの禁止は規約の“抜け穴”を封じるための対策
F1エンジンの“パーティモード”の禁止の詳細が明らかになり、各チームはF1イタリアGPから瞬間的なパワーブーストが使用できなくなる。

Motorsport-Total.com の記事によると、FIA(国際自動車連盟)の最高技術責任者であるニコラス・トンバジスは、先週のF1チーム宛ての書簡で、“特定のルール”を回避するためにエンジンセッティングが誤用される可能性があることを“ますます懸念している”と伝えた。

書簡では、F1イタリアGPからは「意のままに異なるエンジンモードに切り替えることはもはや不可能となり、予選とレースは同じ基本セッティングで争わなければなりません」とし、インラップおよびアウトラップ、またはセーフティカーおよびVSCフェーズはその例外となることが付け加えられている。

これにより、予選ラップや決勝での重要な局面でよりアグレッシブなエンジンモードしたり、エンジンの耐久性を維持するためにパワーを下げるといった動きができなくなる。

改訂されたルールを説明する新しい技術規則TD / 037-20では、3つの抜け穴を塞ぐために発行された。

Motorsport-Total.comは、次のように説明している。

①技術規則の第2.7条
『競技参加者は、競技会期間中いかなる時でも自己の参加車両が本規則に完全に合致していることをFIAテクニカルデリゲートおよび競技審査委員会に立証する義務がある。安全に関わる特性を除き、ハードウェアあるいは素材の物理的査察により、車両の設計、構成要素および機構は、本規則に合致していることが証明される。規則への合致を保証する手段として、ソフトウェアの査察の結果を機械的設計の根拠とすることはできない。それらの性質上、電子システムの規則遵守は、ハードウェア、ソフトウェアおよびデータの査察によって評価される』

これは、F1チームが各自のマシンがルールに準拠していることをいつでも信頼できるものにする必要があるという証明の負担についての一文。ガイドラインでは、異なるエンジンモードを使用する場合、これは“ほぼ不可能”となる。

②競技規則 第27.1条
『ドライバーは、1人で援助なしに運転しなければならない』

異なるエンジンモードを切り替える場合、ドライバーはレースエンジニアの指示に従って行動しており、“1人で援助なし”に違反することになる。

③競技規則 付則4
『2017-2020年パワーユニット公認』

F1のパワーユニットは公認されている。さらなる開発は、信頼性の向上に役立つ場合にのみ許可される。現在、FIAは、エンジンが信頼性を高めるよりアグレッシブなモードで実行され、その後、信頼性が調整される場合、それもパフォーマンスの問題であると主張している。

実際のエンジンパフォーマンスに関して、“予選モード”の禁止は、シルバーストンで外部の専門家によって測定された1,000馬力のピークパワーが過去のものになることを意味する。

シルバーストンでの予選で、メルセデスのF1パワーユニットは“パーティーモード”で最大1,022馬力を発揮したとされている。予選Q3でメルセデスのF1パワーユニット、ホンダより28馬力、ルノーより37馬力、フェラーリより42馬力多かった。

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カテゴリー: F1 / F1マシン