フェラーリの突然の失速は、“オイルトリック”が規制されたためだとの見方がなされている。今年、フェラーリは開幕戦から第6戦モナコGPまでの全てで表彰台に上がっていたが、その後のカナダGPとアゼルバイジャンGPでは2戦連続で表彰台を逃している。両方のレースでは接触などのアクシデントによって後退したこともあったが、特にアゼルバイジャンGPでは予選でフェラーリの失速が顕著に表れた。
セバスチャン・ベッテルはカナダGPまでの7戦中6戦でフロントローを獲得していたが、アゼルバイジャンGPでは4位と低迷した。そこにはF1アゼルバイジャンGPからエンジンオイルの不正燃焼の規制が強化されたためだとの見方がある。今シーズンの開幕前からエンジンオイルを燃料として使うことでエンジン出力を増幅させるトリックの存在が取り沙汰されており、FIAはエンジンオイル使用量と化学成分のモニタリングしてきたが、不正が確認されることはなかった。だが、F1アゼルバイジャンGPからは内燃機関の燃焼改善に役立つ可能性のある化学物質をエンジンオイルに使用することができなくなった。シーズン前にエンジンオイルの不正燃焼の存在を明らかにしたのはレッドブルだった。レッドブルは、メルセデスが燃料にエンジンオイルを混合させ燃焼させているという疑惑についてFIAに問い合わせている。しかし、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、今回FIAが目をつけていたのはフェラーリだと Osterreich に語った。「赤いチームから移籍して今はシルバーのチームにいる者がおり、彼は何を調べるべきかわかっていた」とヘルムート・マルコ。メルセデスがフェラーリの“トリック”についてFIAに注意を呼びかけたことを示唆した。しかし、ヘルムート・マルコは、セバスチャン・ベッテルはまだ2017年のタイトルの本命だと考えている。「燃料へのオイル混入の件によってフェラーリがいくらかエンジンパワーを失ったようには見えるが、それでもセバスチャンがレースでは最強だ」