レッドブルが2025年末にドライバーを最低1名入れ替える見通しの中、角田裕毅の将来に厳しい評価が相次いでいる。英テレグラフ紙コラムニストで元F1デザイナーのゲイリー・アンダーソンは、角田裕毅が「キャリアで必死になりすぎてレッドブルの開発に寄与できていない」と指摘し、事実上“戦力外”との見方を示した。
2026年のF1シーズンはすでに16枠が決定済み。レッドブル系4席のうち、アイザック・ハジャー昇格とアービッド・リンドブラッドのレーシングブルズ入りが濃厚で、残る1席を巡って角田裕毅とリアム・ローソンが争う構図となっている。レッドブル内で続く“1席争い”の行方レッドブルは2025年末に最低1名を放出する見通しで、傘下のレーシングブルズまで含めると4席のうち複数が入れ替わる可能性が高い。2026年の20席のうち16席がすでに埋まり、アルピーヌではジャック・ドゥーハンがフランコ・コラピントにシートを奪われて離脱。アイザック・ハジャーは“素晴らしいルーキーシーズン”を経てレッドブル昇格が確実視され、アービッド・リンドブラッドはレーシングブルズ入りがほぼ既定路線だ。この結果、残る1席を角田裕毅とリアム・ローソンが争う格好になっている。角田裕毅とローソンの比較データが示すもの■ 主要指標の比較(ローソン/角田裕毅)・ポイント:36/25・選手権順位:14位/17位・最高リザルト:5位/6位・Q3進出回数:7回/6回・予選最高位:3番手/6番手これらの数字を見る限り、ローソンが一歩リードしている構図が明確になっている。アンダーソンの辛辣評価「角田裕毅は開発に寄与できていない」ゲイリー・アンダーソンはテレグラフ紙のコラムで、角田裕毅が“必死になりすぎて”マシン開発に必要なフィードバックを提供できていないと主張した。角田裕毅は「キャリアのために走っており、自信を失っている」とし、毎セッションの焦点が「マシンを良くすることではなく、後方に沈まないこと」になっていると説明した。さらにアンダーソンは、角田裕毅が「半分はタイムを出そうとしてオーバードライブし、残り半分は慎重になりすぎて遅い」と述べ、こうした状態ではマシンの微妙な変化を感じ取ることができず「生産的なセットアップ提案は不可能だ」と断じた。ブラジルGPで角田裕毅は17番手スタート・17位フィニッシュ。ランス・ストロールとの接触による10秒ペナルティをレッドブルが正しく運用できず、二重ペナルティのような形になったことも指摘されている。アンダーソンは「この問題は自然に消えることはない」「2026年の新規定下ではさらに深刻になる」と警告し、「チームは有用なフィードバックを必要としている」と強調した。“逃げ道”だったアストンマーティンも消滅レッドブルが角田裕毅に“猶予”を与えているように見える一方で、その判断時期が他チームの空席締切と重なり、移籍先の可能性は急速に狭まっている。アルピーヌとキャデラックの空席はすでに埋まり、キャデラックはバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスを獲得。ペレスは「角田裕毅の苦戦が、自分の評価を逆に高めた」と皮肉めいたコメントも残している。さらに2026年からホンダPUを受けるアストンマーティンはジェイク・クロフォードをリザーブに指名。ホンダ支援による“救済ルート”も事実上消滅した。分析:角田裕毅の評価急落は構造的問題——決め手を欠いた一年角田裕毅に対する評価がここまで厳しくなった背景には、2025年が“勝負の年”であるにもかかわらず、要所でアピールを欠いた構造的要因がある。(1)ローソンとの直接比較で劣勢特にレッドブルが重視する「予選力」で遅れをとり、数字上の説得力が不足した。(2)2026年市場の特殊性新レギュレーション導入により各チームが継続性を重視し、2025年夏の時点で大多数のシートが埋まった。(3)ホンダ支援の影響力低下アストンの若手起用方針により、従来の“ホンダルート”は実質消滅。(4)フィードバック能力への疑念アンダーソンの指摘は技術的本質を突いており、開発ドライバーとしての価値が下がっている。角田裕毅に残された現実的シナリオ■ レッドブル残留(可能性:低)ローソン、ハジャー、リンドブラッドの台頭に押される。■ 他カテゴリー転向(可能性:中〜高)WEC、SF、FEなど。他からの逆指名は困難な市場状況。■ アブダビ最終戦での“奇跡的逆転”(可能性:極低)とはいえ、F1では1レースで流れが変わる例も存在する。
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