ウィリアムズ・レーシングがアレックス・アルボンとともにローガン・サージェントと2シーズン目の契約を結んだ。Formula1.comの特派員ローレンス・バレットが、イギリスチームがアメリカ人ドライバーを起用した理由を考察した。2023年イタリアGP後、1ポイントも獲得できていなかったサージェントはプレッシャーにさらされていた。チームメイトのアルボンはその段階で21ポイントを獲得し、単独でウィリアムズをコンストラクターズチャンピオンシップで7位に入れた。
モンツァの“テンプル・オブ・スピード(スピードの殿堂)”はウィリアムズがポイント獲得の可能性を秘めるトラックとしてマークしていた場所のひとつで、滑りやすいマシンは理論上、イタリアのロングストレートを得意とするはずだった。しかしサージェントはまたも得点を挙げることができず、対外的にはアメリカ人ドライバーにプレッシャーをかける結果となった。内部的には、チームプリンシパルのボウルズは冷静だった。彼はシーズンを通してサージェントを支持し、公の場で彼を非難するよりも「肩に腕を回す」アプローチを選んだ。しかし、元メルセデスの彼はサージェントに対し、シートを守るためには自分の能力を高める必要があることを告げ、それに値することを証明するためにシーズン終了まで猶予を与えた。サージェントはオースティンでキャリア初ポイントを獲得サージェントにとって公平な言い方をすれば、彼は高まるプレッシャーにうまく対処し、日本GPのように大きなダメージを与えるクラッシュをしてしまったこともあったが、データ上では上昇カーブを描いており、最終的には母国で初ポイントを獲得した。これはF1で30年ぶりにアメリカ人が獲得したポイントである。そこから自信を深めていった22歳は、ラスベガスGPの予選で見事な7位を獲得。それをポイントにつなげることはできなかったが、関係者によると、内部データではレースペースにおいてアルボンとの差を縮めていたという。最終的に、それがチームが彼に求めたことだった。そしてサージェントは、F1での競争に伴う大きなプレッシャーに耐えることができることを証明した。チームはまた、サージェントがF1シートを獲得するために通ってきたドライバー・アカデミーの価値を証明することにも熱心だった。チャレンジングな1年目を通して彼をサポートすることは、彼が以前にプログラムで示したことに感銘を受けたことからもわかるように、若い才能を育て、長期的な視野に立つという目標へのコミットメントを示している。彼のシートに競争相手がいなかったことにも助けられた。ウィリアムズは、2022年のF2チャンピオンで、今季はアストンマーティンのリザーブドライバーを務めているフェリペ・ドルゴビッチに話を持ちかけたと見られているが、ブラジル人ドライバーのシート獲得は適切ではないと判断したようだ。関係者によると、今季メルセデスのリザーブドライバーを務めたミック・シューマッハは本物の選択肢とは考えられていなかったという。また、今年のF2チャンピオンであるテオ・プルシェールも候補には挙がっていなかった。ランキング2位のフレデリック・ベスティに関しては、メルセデスが時期尚早と判断した。これらすべてを考慮すると、サージェントの続投が最も理にかなっていると言えるだろう。ウィリアムズは2023年シーズンの第8戦カナダGPで大幅なアップデートを行った後、2024年マシンに集中するためにマシン開発を中止するという大胆な決断を下した。ライバルたちが最終戦までアップデートを続けたにもかかわらず、彼らはコンストラクターズ選手権で7位をキープし、2022年よりも順位を3つ上げたことから、これは賢明な決断だったことが証明された。ウィリアムズは、来年のマシンがパフォーマンスの面でさらなる良いステップを生むことを期待している。サージェントを残留させることで、ウィリアムズはチームのことをよく知っているドライバーを手に入れることができ、良好なプレシーズンを過ごせば、新車を最大限に活用できる状態になり、序盤戦では貴重なポイントを獲得するチャンスもあるはずだ。F1はタフなビジネスであり、テストもほとんどない1年目に成果を出すのは信じられないほど難しい。チーム内では、サージェントにはもう1年、その実力を示す価値があると感じている者も多い。チームが期待通りのステップを踏めば、彼は定期的にポイント争いができるマシンを手にするはずだ。実際、角田裕毅の所属するアルファタウリはルーキーに3年という猶予を与えてきた。したがって、サージェントの課題はそれを実現し、ウィリアムズが彼を引き留めたことが正しかったと証明するだけでなく、2024年以降もF1での真の未来があることを証明することだ。