レッドブルは、2019年にブレンドン・ハートレーに代えて育成ドライバーのダニエル・ティクトゥムをトロロッソ・ホンダに乗せたいと考えているが、それにはスーパーライセンスポイントが厚い障壁となっている。2017年のマカオGPウィナーであるダニエル・ティクトゥムは、現在、ヨーロッパF3選手権に参戦。マーカス・アームストロングに1ポイントでランキング2位につけており、2019年のトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーのチームメイト候補に挙げられている。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2019年にF1を戦う準備ができているドライバーとして、2017年のMcLaren Autosport BRDC Awardのウィナーであるダニエル・ティクトゥムの名前を挙げた。「シーズン終了後にはイエスだ」とヘルムート・マルコは Autosport にコメント。「ノリスリンクで他のドライバーが彼に追突し、彼は病院に運ばれたが、彼はまた走りたいと言って、その後のレースで優勝した!」「彼は速い。クレイジーだが速い。彼はわずか1ポイント差だし、2つの技術的なトラブルがあった」「我々は最速を求めている。彼らにその特性があればフィットするが、誰かが我々のためにクレイジーになる必要はない」「現在、我々はある程度ティクトゥムを正常化しているくらいだ」ブレンドン・ハートレーは、2018年に厳しいスタートを切っており、解雇が噂された。レッドブルは、シーズン中にマクラーレンのジュニアドライバーであるランド・ノリスと交代することについてマクラーレンにアプローチまでしている。ヘルムート・マルコは、シーズン終了までブレンドン・ハートレーを走らせる計画だと述べているが、今シーズン以降のブレンドン・ハートレーの将来は不確実なままだ。レッドブルの育成ドライバーはやや枯渇しており、まだフォーミュラ・ルノーやF4レベルしか育っていない。そのためダニエル・ティクトゥムがブレンドン・ハートレーには最も適任となっている。ダニエル・ティクトゥムは、2015年にMSAフォーミュラに参戦した際にシルバーストンでのレースでセーフティカー中にライバルに意図的にクラッシュしたことで2年間のレース禁止処分を下された。しかし、レッドブルのダニエル・ティクトゥムに対する信頼は揺るがず、2017年にジュニアプログラムの本格的な一員として迎え入れた。だが、ダニエル・ティクトゥムが2019年にF1レースを戦うにはスーパーライセンスという障壁がある。ダニエル・ティクトゥムは、スーパーライセンスを保持しておらず、現在のFIAの条件では過去3シーズンに40ポイントのスーパーライセンスポイントの獲得が必要となる。ダニエル・ティクトゥムは、MSAフォーミュラで2ポイントを獲得したが、それは今シーズン末で失効となる。2017年はフォーミュラ・ルノー・ユーロカップでは7位、途中したGP3では11位とポイントは付与されていない。また、今年のヨーロッパF3選手権でタイトルを獲得したとしても30ポイントしか獲得できず、10ポイント足りない。2位で終えても、F1のテストに参加するために必要な国際A級ライセンスの14ポイントとフリー走行限定のスーパーライセンスに必要な25ポイントは得られるが、レースライセンスは取得できない。このスーパーライセンスポイントの原因となったのが、マックス・フェルスタッペンをF3から17歳でトロロッソでF1デビューさせレッドブル自身であるのも皮肉な話だ。そして、スーパーライセンスポイントの仕組みが導入されて以降、いまだ例外は認められていない。FIAは毎年スーパーライセンスの基準を見直しており、その変更によってダニエル・ティクトゥムが資格を得られる可能性がある。例えば、マカオGPでのウィナーにもポイントが付与されることになったり、ヨーロッパF3選手権へのポイント数が増えれば、クリアできる可能性もある。レッドブルは、今年、ダニエル・ティクトゥムに経験を積ませるために、レッドブルの“アスリート”でありホンダの育成ドライバーである福住仁嶺がF2と日程が重なった場合に代役として日本でスーパーフォーミュラを戦わせている。福住仁嶺と同じホンダの育成ドライバーで牧野任祐もホンダのエンジンを搭載するトロロッソのドライバー後方だったが、二人ともF2で苦しんでおり、今シーズン末にダニエル・ティクトゥムよりも多くのポイントを獲得できる可能性は低い。ヘルムート・マルコは、レッドブルとしてはホンダの育成ドライバーを育てる助けをしたいと語っているが、“少なくとも今後2年間”で準備ができるとは考えていない。
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