レッドブルとレーシングブルズが2026年シーズンのドライバーラインナップを発表したニュースを受けて、F1特派員ローレンス・バレットがその内容を振り返った。レッドブルとレーシングブルズは2026年に向けてラインナップを入れ替える。アイザック・ハジャーがレッドブルへ昇格し、アービッド・リンドブラッドがレーシングブルズでF1デビューを果たす。リアム・ローソンはレーシングブルズのシートを維持し、角田裕毅はベンチに追いやられる。
F1特派員ローレンス・バレットが、このニュースにまつわる主要な疑問点を見ていく。なぜレッドブルはハジャーを昇格させたのか?アイザック・ハジャーのF1での生活は、シーズン開幕戦のオーストラリアGPでフォーメーションラップ中にクラッシュし、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコから批判を受けるという波乱のスタートとなった。だが彼はそれに動じることなく、その後は素晴らしいルーキーシーズンを築き上げ、これまでに10戦でポイントを獲得している。その中には3度のトップ6フィニッシュ(カタールでのパンクがなければ4度)が含まれ、その1つはオランダGPでの見事な初表彰台だった。一方、角田裕毅は、2025年にマックス・フェルスタッペンと並ぶレッドブルのセカンドシートでマシンを乗りこなすのに苦戦した最新のドライバーとなり、2026年に向けてハジャーがレーシングブルズから昇格する可能性が大きく高まっていた。レッドブルは「いきなり深いところへ放り込んで、沈むか浮かぶかを見る」というスタイルであり、後者だと分かれば、これ以上待つ理由はないと考えており、可能な限り早く昇格させる傾向がある。ハジャーと角田裕毅が今季まったく対照的なシーズンを送ったこと、そしてハジャーがオン・オフ両面で自信を深めていったことから、レッドブルは彼がワークスチームにふさわしいと判断し、レーシングブルズでの2年目は必要ないと決断した。なぜレッドブルはリンドブラッドにデビューさせたのか?レッドブルは2022年にリンドブラッドをジュニアプログラムのフルメンバーにし、それ以来その成長ぶりに感銘を受けてきた。そのため、今年初めにF1のテストで準備を開始できるよう、18歳の誕生日前にF1スーパーライセンスを取得するための特別な許可をFIAに求めるほどだった。このイギリス人ドライバーは、今年初めに2年落ちのレーシングブルズで3回のテストを行い、そのうち2回目のテスト(シルバーストンとメキシコでのFP1)のパフォーマンスが特に目を引いた。レッドブルは、リンドブラッドが将来のスターの1人であり、ステップアップの準備ができていると考えている。彼がF2でタイトル争いができていなくても(最終戦を残して現在6位)、レッドブルの理念としては、準備ができていると判断すれば待つ理由はないのだ。18歳の彼の“生の速さ”、フィードバックの質、そしてオン・オフ両面での印象的かつ成熟した姿勢によって、レッドブルは彼をレーシングブルズで走らせることで、F1に登場した20人目のジュニアとする決断に至った。なぜレーシングブルズはローソンを残したのか?レーシングブルズの2つ目のシートは、ローソンと角田裕毅の一騎打ちだった。そしてレッドブルとレーシングブルズの上層部が決断を下すには時間を要し、今週まで発表が遅れたのはそのためだ。レッドブルは、5年目の角田裕毅と初のフルシーズンを戦うローソンに、シートに値することを証明するための十分な時間を与えたいと考えていた。時間はかかったが、角田裕毅が突破口を見せ始めた時期もあった。たとえばカタールのスプリント予選ではチームメイトであるマックス・フェルスタッペンをアウトクオリファイした。一方、ローソンはバクーやラスベガス予選など非常に難しいコンディションで力強さを見せ、安定性を高めていった。最終的に、上層部は角田裕毅が十分とは言えなかったと判断した(これまでのポイントは33点、フェルスタッペンは396点、そのうち3点はレーシングブルズで稼いだもの)。一方で、今年のローソンの走り、レッドブルから降格された時の対応ぶり、最終的な潜在力を評価し、来年のレースシートを与えるに至った。角田裕毅はどうなる?レッドブルは、ワークスチームとレーシングブルズの両方のリザーブドライバーとして角田裕毅を「ファミリー」に残す。角田裕毅はそこで体勢を立て直し、シーズン中もしくは翌年にレッドブルの4つあるF1シートのいずれかに戻る道を模索するか、2027年に向けてグリッド上の別チームの機会を探し始めることになる。近年、角田裕毅はハース、ザウバー、アルピーヌといったチームと関連付けられており、またホンダの支援を受けているため、来年からワークスPUパートナーとなるアストンマーティンで将来的なチャンスがある可能性もある。ではフェルスタッペンはどうなる?フェルスタッペンはレッドブルで11年目となる来季もチームリーダーを務めることになる。契約は2028年末までだ。今年初めにはチーム離脱の噂もあったが、彼は来年もチームで走ることを約束している。今は、今週末のアブダビで5年連続タイトル獲得を目指すことに集中しており、その後2026年に導入される新しいシャシーとパワーユニット規定にチームが取り組むのを支援することに集中することになる。
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