レッドブル・ホンダにとって、F1オーストリアGPはシャシーとエンジンのパッケージをまとめるという点で転機となるレースとなった。F1オーストリアGPでマックス・フェルスタッペンがシーズン初勝利を挙げたレッドブル・ホンダだが、当初、チームはレッドブル・リンクで競争力を発揮できた理由を説明できずにいた。
ホンダは、前戦F1フランスGPで“スペック3”エンジンを投入。大きなパフォーマンスステップではなかったものの、知識を深めたことでエンジンから追加でパフォーマンスを絞りだすことが可能になっていた。また、レッドブルはオーストリアGPでフロントウイングの改良を含めた空力アップデートを投入。シーズン序盤に苦しんでいたタイヤとマシンバランスがようやく整った。以降、マックス・フェルスタッペンは、F1イギリスGPで表彰台を争い、F1ドイツGPでは2勝目を挙げ、F1ハンガリーGPではポールポジションを獲得して2位でフィニッシュするなど、レッドブル・ホンダは着実に競争力を挙げた。「フランスでは、クルマにあまり満足していなかったけど、ストレートでもあまり速くなかった」とマックス・フェルスタッペンは Autosport に語った。「僕たちはそこが不足していたと思う。もう少し難しくプッシュするべきだと言った。エンジンに問題のないレースを終えることについてそこまで保守的であるべきではないとね」「100分の数秒とそれほど大きくはないけど、そこに近づいてくことが本当に重要だった」「オーストリアではすべてがまとまったし、クルマを良い方向にプッシュできるようになった。エンジンは限界だったけど、少しでも助けになる」F1カナダGP後、マックス・フェルスタッペンはレッドブル・ホンダが競争力を大きく変えるためにクルマやエンジンからそれほど多くを必要としていないと予測していた。また、レッドブルは、空力パフォーマンスを改善する必要があることを序盤から認識しており、強力なシャーシを設計してきたチームの歴史を考れば、そこに焦点を絞ることで効果が表れることは明白だった。以前、レッドブルのF1チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、2019年のフロントウイングの変更がレッドブルをさらに傷ついたことを認めていたが、メルセデスもさらに改善を図ってきたため、チームとして対応しなければならなかったと語った。「冬季テストを終えてフェラーリに賭けないのは勇敢な男だっただろう。彼らはバルセロナでゆっくり走ることができなかった」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「メルセデスは2週目に大きな進歩を果たし、レース序盤で大きなアドバンテージを獲得したが、我々は一生懸命仕事をして、徐々にパフォーマンスをマシンにもたらし、彼らに近づき始めた」昨年、レッドブルは、プレシーズンでスロースタートを切っていたが、これは風洞の問題に起因していた。クリスチャン・ホーナーは、2019年に挽回する必要性があったのは相関関係の問題ではなく、単によりうまく適応することだと述べた。「フロントウィングを非常に強く機能させることが我々が追求し、開発してきた空力哲学だった。古いレギュレーションでは、それを最適化することができていたと思う」とクリスチャン・ホーナーは語る。「このフロントウイングが生み出せるダウンフォースにより、創造性を発揮し、それに応じてフロントウイングのバランスを取る必要がある」「それは、彼らが昨年の位置に特性を取り戻すのに少し時間がかかった部分だ」