ミック・シューマッハは、2026年のレースキャリアについて、WEC(世界耐久選手権)に残留するのか、それともインディカーに挑戦するのか、まだ決断に至っていないことを明かした。アルピーヌはその去就の明確化を急いでいる。26歳のシューマッハは、バーレーンで行われたWEC最終戦の会場で『Speed Week』の取材に応じ、「2026年に何をしたいか、まだ考え中なんだ。選択肢はある──ただしF1以外でね。すごくいいオファーがいくつかある」と語った。
ここ2シーズン、アルピーヌのWECプログラムで走ってきたシューマッハは、最近ではラハル・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)でインディカーのテストを実施し、アメリカ転向の噂を加速させている。「本当に楽しかった。マシンはF2より速くて、タイヤもずっと良かった。チームの雰囲気も素晴らしくて、RLLの人たちはとても有能で話しやすかった。アメリカのモータースポーツへの情熱には感銘を受けた」とシューマッハは振り返る。「僕は昔からシングルシーターが大好きだから、インディカーのシーズンはすごく魅力的な選択肢だと思う。一方で、アルピーヌでの2年間もとても楽しかった。できれば年末までに契約と将来をはっきりさせたい」とも語った。アルピーヌ側は、シューマッハの決断を待ちきれない様子だ。WECチーム代表フィリップ・シノーは独『TZ München』に対し、「そろそろ決断の時だ。できるだけ早く明確にしてほしいのは当然だ」とコメントしている。それでもシノーは、シューマッハをチームに引き留めたい意向を強調した。「彼は我々のチームで本当に楽しそうにしている。彼が続けたいなら、我々としてもぜひ続けたい」と述べた。また、アルピーヌ・モータースポーツ部門の責任者ブルーノ・ファミンも「2026年のドライバーラインナップについては、まだ何も決まっていない」とし、同社のWEC活動とF1プロジェクトのバランスを慎重に検討していることを明かした。一方で、シューマッハ自身は今もF1への未練を隠さない。「もちろん、F1はまだ僕の心の中にある。もしオファーが来たら、きっと断れないと思う。F1は今も僕の胸の奥にあるんだ」と語った。アルピーヌでの安定と、アメリカ挑戦の狭間でシューマッハは現在、耐久レースで着実に評価を高めており、アルピーヌ側もその実力を高く買っている。一方で、インディカーでのテストは本人に強い刺激を与えたようで、「シングルシーターで戦いたい」という本能的な欲求が再燃していることがうかがえる。アルピーヌはWECとF1の両面で戦力構築を進めており、ドライバーの去就は年内決着が濃厚だ。2026年の舞台がル・マンか、あるいはインディアナポリスか──ミック・シューマッハの選択は、彼のキャリアの転機となりそうだ。
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