ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治はコース上で走らせた後、キャリブレーションを修正するために「スペック2についてもう少し学ぶ必要がある」と語る。ホンダは、F1アゼルバジャンGPでレッドブルのホンダの4台全車にアップグレード版“スペック2”パワーユニットを投入した。
この段階でのアップグレードの導入について田辺豊治は「前戦中国GPでのクビアト選手のPUトラブルを解析した結果、初戦より使用してきたICE(内燃エンジン)に品質観点での課題を確認しました」と説明。「したがって、今回のラウンドから4台全車にアップデートしたSpec2のICE投入を決めました。アップデートの内容は、主に信頼性の向上ですが若干のパフォーマンスアップも行っています」F1エンジンはシーズンあたり3基までに制限されており、均等に割れば第7戦カナダGPがアップグレードのターゲットとなる。ホンダはその半分にあたる第4戦でアップグレードを投入したことでシーズン後半のエンジンペナルティは不可避となったが、レッドブル・ホンダの勝利のチャンスだと目されるモナコに向けて新型エンジンをチェックしておくことは有益かもしれない。また、1回目のアップグレードを信頼性に焦点を置いたことで、次回以降のスペックではパフォーマンスの向上が期待される。「より大きなゲインを期待いますが、今はわかりません」と田辺豊治は語る。「我々はパフォーマンスを生み出すために懸命に作業していますが、常にパフォーマンスと信頼性のバランスを取っていかなければなりません。実際に我々はまだ遅れています。もちろん、ライバルと同じレベルに並ぶ、もしくは上回るためには進歩を果たす必要があります」前述の通り、第4戦でのスペック2の投入は4基目のエンジン投入が必要となるが、それは3回のアップデートを投入するチャンスでもある「実際、スペックに関係なく、2基目のパワーユニットを導入するには少し早いです」と田辺豊治は認める。「スペックのアップデート、今シーズンにどれくらい多くのパワーユニットを使うかを含めて、今後のプランを考える必要があります。チームと議論していく必要があります。また、さくらとミルトンキーンズで開発の進捗をチェックし、決定していく必要があります」今年、レッドブル・ホンダは開幕戦で3位表彰台と好調なスタートを切ったものの、予選パフォーマンスではトップから大きな差があった。オーストラリアGPではポールポジションから1.036%、バーレーンGPでは1.008%遅れていた。しかし、バーレーンテストでメカニカル面のセットアップエラーを発見した後、中国GPでは0.592%まで短縮。続くアゼルバイジャンGPでは高速サーキットにも関わらず、0.571%まで縮まった。しかもQ3でマックス・フェルスタッペンは他のクルマとシークエンスが異なったことでトウを使わずにそのタイムを達成している。このことから、今後のホンダのアップグレードには大きな飛躍が期待される。レッドブル・レーシングのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーバーは「我々は以前から今年は3基以上のエンジンを投入する予定だったし、彼らに追いつくためには限界を超えていかなければならない。それがまさに我々がやっていることだ」と語った。
全文を読む