いよいよF1は夏休み前のラストスパートへ。伝統のスパ・フランコルシャンを舞台に、2025年F1ベルギーGPが開催される。ドライバーたちが心待ちにするこの高速サーキットは、予測不可能な天候とスリリングなレイアウトで知られ、毎年ドラマを生む名物ラウンドのひとつだ。そして今大会は、レース以外の話題でも注目が集まっている。クリスチャン・ホーナーの解任劇、マックス・フェルスタッペンの去就、ヒュルケンベルグの快進撃、フェラーリの巻き返しなど、2025年F1ベルギーGPを迎えるにあたり、見逃せないストーリーラインがいくつも...
レッドブルに激震、ホーナー解任2025年ベルギーGPは、レッドブルがクリスチャン・ホーナーなしで挑む初のF1週末となる。ホーナーはイギリスGPからわずか3日後、チーム代表およびCEOとしての職務を解かれた。本人によれば「寝耳に水だった」というこの決定は、レッドブルにとって大きな節目となる。ホーナー体制のもとで、レッドブルは8度のドライバーズタイトルと6度のコンストラクターズタイトルを獲得したが、2025年の今季はそのいずれにも手が届きそうにない。2023年に見せた史上屈指の支配力から一転、現在はコンストラクターズランキング4位に低迷している。今後、チームを率いるのは前レーシングブルズ代表のローラン・メキースだ。シーズン中盤での突然の交代劇に、パドック内でも驚きが広がっており、スパではメキース本人やマックス・フェルスタッペン、さらには他チームの代表らによる初の公式コメントが注目される。クリスチャン・ホーナーのレッドブル時代が終焉を迎えたフェルスタッペンとラッセルにさらなる注目シルバーストンでの前戦では、マックス・フェルスタッペンのレッドブル残留に関する憶測が一層強まった。今回のホーナー解任は、そうした議論にさらに火を注ぐ格好となった。2023年、フェルスタッペンは「チームの団結」と「主要人物の維持」が勝利の鍵だと語っていた。しかし以降、レッドブルからは複数のキーパーソンが離脱しており、ホーナーもその1人となった。メルセデスとの関連を問われた際、ホーナーは「いつかフェルスタッペン抜きの将来を見据えなければならない」とも語っていた。現行契約では2028年末までの在籍が予定されているが、すでに「次の一手」を見据えた動きがあることは否定できない。バトン「フェルスタッペンとラッセルのコンビが見たい」前戦からの間にも、フェルスタッペンとメルセデスの関係を巡る憶測はネット上を賑わせ続けた。SNSでは、フェルスタッペンとメルセデス代表トト・ヴォルフのプライベートジェットやヨットの動きが追跡され、両者がサルデーニャ島の同じ町に同時期に滞在していた可能性が指摘されている。単なるバカンスか、それとも水面下での会談か──真相は定かでないが、今週末の記者会見では必ず話題に上ることだろう。フェルスタッペンの去就問題はスパでも注目の的にザウバー、快進撃の継続なるか前戦のイギリスGPでは、ニコ・ヒュルケンベルグがF1キャリア初となる表彰台を獲得し、ザウバーは13年ぶりの快挙を成し遂げた。この結果に、チーム内外では大きな祝賀ムードが広がり、スイスのザウバー本社では特別なセレモニーも開かれた。スペインGPでのアップグレード以降、ザウバーは直近4戦で35ポイントを獲得しており、この間では4番目に多い成績を収めている。スパでもこの勢いを維持できるか、それとも他チームがインターバル期間にパフォーマンスを向上させ巻き返してくるかが注目される。シルバーストンで悲願の初表彰台を飾ったニコ・ヒュルケンベルグフェラーリ、勝利に届くか2025年はまだ未勝利のフェラーリだが、イモラでのアップグレード以降は好調が続いており、以降の全戦で1台以上がトップ5入りを果たしている。しかし真の焦点は別にあり、現在フェラーリはチャールズ・ルクレールとルイス・ハミルトンの両名が苦しんでいるマシンの挙動改善に向け、リアサスペンションの開発に取り組んでいる。先週ムジェロで行われたフィルミングデーでは、年間2回のプロモーション走行のうち2回目が実施され、新パーツの実地確認が行われたとみられる。これによってSF-25の潜在力が開花すれば、後半戦での勝利も見えてくるだろう。たとえ明確なステップアップがなくとも、最近の3戦で3度の表彰台を記録しており、フェラーリはコンストラクターズランキング2位を確実なものにしつつある。フェラーリは着実にパフォーマンスを高め、後半戦の台風の目となるかドライバーに愛されるスパスパ・フランコルシャンといえば、F1の歴史とチャレンジ性を象徴する伝統の舞台。アルデンヌの森を縫うように走るこのサーキットは、超高速セクションと高ダウンフォースが求められる中盤区間のバランスが鍵を握る。名物コーナーであるオー・ルージュ、ラディオン、プーオン、ブランシモンなどは、ドライバーにとっても観る者にとっても格別の魅力がある。また、スパは天候の変化が激しいことでも知られ、1セクターが雨でも別のセクターは完全にドライといった展開もしばしば見られる。今回はスプリントも実施され、昨年初めてスパで行われたスプリントはウェット、決勝はドライというコンディションだった。F1随一の伝統とスリルを誇るこの舞台で、今週末もまたドラマが生まれる予感がする。