レーシング・ポイントF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールが率いる投資ファンドは、アストンマーティンへの投資への増額し、持ち株比率を25%まで増やした。他の自動車メーカー同様、新型コロナウイルスの世界的な大流行による株式市場への影響より、アストンマーティンの株価は大きな打撃を受け取り、先週、2ポンド未満(260円)まで暴落した。
今年1月、ローレンス・ストロールの投資ファンドは、アストンマーティンの株式の16.7%を1株あたり4ポンド(530円)、合計1億8200万ポンド(241億円)で取得することに同意していた。また、この取引は、新たな権利発行による3億1800万ポンド(421億円)の現金投資も含まれ、合計で5億ポンド(662億円)となっていた。しかし、アストンマーティンの株価の急激な下落を考慮して、ローレンス・ストロールとその投資家グループは根本的な契約の見直しを行った。その結果、総額5億3600万ポンド(710億円)の資本価値があるとして、ローレンス・ストロールの投資ファンドYew Treeは、1株あたり2.25ポンド(298円)で25%に上る同社の株式を取得することとなった。また、Yew Treeは、アストンマーティンが運営に必要な流動資金を確保するために当初の計画から2000万ポンド(26億円)の増加となる7550万ポンド(100億円)の“短期運転資金サポート”も提供する。3月16日に予定されていた年次総会が延期となったため、委任状による承認を行う予定となっている。「アストンマーティン・ラゴンダが事業を展開しているグローバル市場環境には大きな変化があった」とローレンス・ストロールは述べた。「変わらないのは、ビジネスを再編、管理し、長期的な可能性を実現するために、必要な資金をアストンマーティンに提供するという我々のコミットメントだ」「最近の株価の動きを受け、取締役会との議論の末、同社の25%の株を買収し、2億6200万ポンド(347億円)の長期的な資本投資を行うこととなった。さらに、同社を支援するための短期資金2000万ポンド(26億円)を追加し、総額を7550万ポンド(100億円)とすることに合意した」「当面の見通しはますます困難となっているが、アストンマーティン・ラゴンダの将来に全力を尽くし、計画を実行できることを楽しみにしている」アストンマーティン・ラゴンダは、新型コロナウイルスの感染の拡大に伴い、サプライチェーンとビジネスを“積極的”に管理し、スタッフの健康維持のため、公衆衛生対策を講じている。または、中国からの部品供給が一部中断されたが“生産への影響はない”とし、“少なくとも4月上旬まで”の供給は確保されていると述べた。アストンマーティンは、新型コロナウイルスが、中国とアジアのカスタマー需要に影響を与えたことについて“他の市場でも同じことが起こる可能性がある”と付け加えた。アストンマーティンのCEOを務めるアンディ・パーマーは「新型コロナウイルスによる潜在的な影響、特にティア2サプライチェーンへの影響を積極的に監視している。これまでのところ、生産を中断することはなく、起こりうる予想外のリスクに備えている」とコメント。「パフォーマンスを改善し、価格のポジショニングを回復するため、需要と供給のバランスの再調整を行った結果、1月と2月の卸売り台数は年間でもっとも少なくなると予想していた。卸売りはコンサバティブな予測通りとなっており、小売は計画よりもわずかに上回っている」ローレンス・ストロールは、2021年からレーシング・ポイントF1チームをアストンマーティンにリブランディングしてワークス参戦することを発表している。しかし、3月18日に電話会議で行われた緊急対策会議でローレンス・ストロールとメルセデスF1チームの代表を務めるトト・ヴォルフは不参加だったことで、メルセデスがF1チームとしての参戦を取りやめ、アストンマーティンとして参戦するとの噂が再浮上している。