2025年シーズン途中に行われたメルセデスF1のサスペンション変更は、ルーキーの成長曲線を大きく狂わせる結果となった。アンドレア・キミ・アントネッリは、この技術的な判断によって自身の進歩が「2〜3か月分」失われたと振り返っている。メルセデスF1チームのルーキーであるアントネッリは、F1初年度の中盤に投入された“失敗に終わった”サスペンション変更が、自身の成長に大きな代償を伴ったと考えている。
メルセデスは2025年5月、イモラで開催されたエミリア・ロマーニャGPでリアサスペンションのジオメトリーを変更した。これは、低速コーナーでの相対的な競争力不足と、リアタイヤの温度管理に関する問題を解決するための試みであり、当時クラスをリードしていたマクラーレンMCL39のリア周りのコンセプトからヒントを得たものだった。しかし、このアップデートはリアエンドに不安定さをもたらした。経験豊富なジョージ・ラッセルは、ある程度その問題をカバーすることができたが、ルーキーのアントネッリにとっては、はるかに厳しい状況となった。シーズン序盤に好調なスタートを切ったアントネッリだったが、ヨーロッパラウンドの開幕とともにパフォーマンスは急落し、自信を大きく失っていった。メルセデスが最終的にサスペンション変更を取りやめると、アントネッリは徐々に自信を取り戻し、ルーキーイヤー終盤には安定したパフォーマンスを発揮するようになった。「正直なところ、2〜3か月分の進歩を失ったと思う」と、アントネッリはこの技術的な“曲球”を振り返る。「明らかに、ジョージよりもリアに苦しんでいた。自分のドライビングスタイル的にも、適応するのが難しかったんだ」「とても厳しい時期だった。自信をどんどん失っていって、すごく緊張した状態で走っていたし、まったく前進できている感覚がなかった。もし、もっと上手く適応できていたか、あるいはもっと早く元のサスペンションに戻していたら、状況は少し違っていたと思う。そうすれば、ヨーロッパシーズンの終盤、もしくはその途中くらいから勢いを作ることができていたはずだ」一方で、メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、この経験を経てアントネッリがより完成度の高いグランプリドライバーへと成長したと評価している。特に、予選での一発の速さが最大の進歩点だという。「ロングランが一番難しくなると予想していたが、彼はそこでは最初から強かった」とショブリンは語る。「一方で、シングルラップのパフォーマンスには時間がかかった。タイヤを信頼し、早い段階で温度を入れることを学ぶのが重要だった」「彼は今、レースウィークエンド全体の流れをずっと良く理解している。クルマが何をしているのかを言葉で説明する能力は、もともと非常に高かったが、これは最も重要な要素のひとつだ」「時間とともに、セットアップ変更による原因と結果のデータベースを自分の中に構築している。重要なのは、どこまでプッシュするべきかを学ぶことだ。弱すぎても、やり過ぎてもいけない。ブダペストは、彼がやり過ぎてしまった例だった。シーズン終盤、結果が良くなってくると、Q1とQ2で良い走りをしたあと、Q3で少しオーバードライブしてしまうこともあった」「こうした細かい部分は、何年も経験を積んだドライバーたちが、苦い思いをしながら学んできたことだ。キミにとって良い点は、一度学んだことを確実に身につけるところだ。同じミスを繰り返さない。総合的に見て、彼の成長は非常に順調だ」
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