ウィリアムズの最高技術責任者を務めるパディ・ロウは、10年前にF1が着手したハイブリッド技術の開発が、今日のテスラの電気自動車技術に貢献したと考えている。F1は、2009年にKERSを導入してハイブリッドパワーを採用。KERS(Kinetic Energy Recovery System)はブレーキングによって発生する熱エネルギーを回生して、加速にそのエネルギーを再利用するシステムだ。
「リチウムイオン電池を見れば、我々が2007年にKERSの開発をスタートした際は、電気的なソリューションにはなりえなかった。話にすらならなかった。そして、フライホイールが採用された」とパディ・ロウは RaceFans にコメント。「当時は電力密度が問題だった。限界があったし、バッテリーからエネルギーを生み出すことができていなかった。そして、我々は予想していた100倍の電力密度を達成した。私の考えでは、それが今日のテスラがある理由だと思う。そのようなクルマはバッテリーから電力密度を必要とするし、それはF1から来たものだ」ハイブリッド技術は、10年前にF1が開発をスタートした時点よりもはるかに専門的かつ技術的になっている。パディ・ロウは、市販車のための新技術開発におけるF1の重要性は、各チームの予算の増加と密接に関連してきたと考えている。「チームはこれまでよりもプロフェッショナルになっており、資金も充実している。我々は常にお金が足りないと文句を言ってるが、それは30年以上前から言っていたことだ」とパディ・ロウはコメント。「収益分配に問題があるのは我々全員がわかっていることだ。グリッド全体の資金バランスは大きな問題になっている。だが、全体的に全てのチームにおいて、最も資金不足のチームであっても、過去の状況と比較すれば資金は非常に充実している」「それは、これまでにないほどプロフェッショナルにより素晴らしいエンジニアリングへと変換されている。F1は商業的に成長し続けているし、技術的にも成長し続けている」