レッドブル・レーシングのシーズンは浮き沈みの激しい展開となったが、マックス・フェルスタッペンがチームを再び勝利へ導く原動力となっている。チーフエンジニアのポール・モナハンは、ドライビングだけでなく、ガレージ内での貢献においてもフェルスタッペンの存在が決定的だったと語る。RB21はシーズン中盤に苦戦を強いられたが、今ではマクラーレンを打ち負かすほどのマシンへと変貌を遂げている。
残り4戦、フェルスタッペンは最大104点あった選手権のギャップをわずか36点に縮め、5年連続タイトルの可能性を再び手中に収めつつある。苦戦から始まったシーズン後半サマーブレイク明け、レッドブルは深刻なパフォーマンス低下に直面していた。開幕戦では勝利を挙げていたRB21だが、マクラーレンのMCL39に太刀打ちできず、ファンや評論家の間では王者時代の終焉を予感させる声も上がった。しかし、モンツァでのイタリアGP以降、チームは劇的な復活を遂げた。フェルスタッペンは直近5戦で3勝を挙げ、かつての圧倒的な速さを再び取り戻している。メキシコシティで報道陣の取材に応じたポール・モナハンは、その背景にフェルスタッペンの献身的な姿勢があったと明かした。「今年はこれまでと違う形で彼に挑戦を強いる年だった。なぜなら、全戦で十分に速いマシンを彼に渡せたわけではなかったからだ」とモナハンは語った。“チームと共にあるチャンピオン”モナハンが強調するのは、フェルスタッペンのスピードだけではなく、状況が苦しいときこそ発揮されるリーダーシップだ。「彼は常に『チームが苦しいなら自分も苦しい』という姿勢で、チームを助けるために全力を尽くしてくれる」とモナハンは述べた。「彼は本当に特別なドライバーであり、それはマシンの内外を問わない。チームをひとつにまとめることができる稀有な存在だ。もちろん彼一人の力ではないが、非常に大きな役割を果たしている。我々は彼をチームに持てて本当に幸運だ」その一体感こそがレッドブルを再び浮上させ、フェルスタッペンをタイトル争いの中心に戻した。チーム内では、5連覇という偉業が現実味を帯びてきている。技術面での逆襲とチーム全体の努力フェルスタッペンが表舞台で輝く一方、モナハンはその裏で続けられたエンジニアリングチームの努力を強調した。「多くの要素が組み合わさって今の結果につながっている。シーズン序盤から、より良いマシンを作るために多大な労力を注いできた」とモナハンは説明する。「我々は問題点を早い段階で把握したつもりだったが、そこに到達するまでにはいくつかのステップが必要だった。単にダウンフォースを減らすだけでは解決できなかった」「モンツァに向けて準備を進める中で、多くの改善が積み重なり、結果として大きな前進につながった。特定のパーツやセットアップだけの話ではない。多くの要素が正しい順序でかみ合ったんだ」「そのタイミングに満足していない部分もあるが、それが現実というものだ」フェルスタッペン、奇跡の逆転へ2025年シーズンも残すところ4戦。フェルスタッペンは、F1史上でも稀に見る逆転劇の主役となる可能性を秘めている。レッドブルのガレージでは、ポール・モナハンをはじめとする技術陣が、再びチャンピオンを頂点に立たせるための戦いを続けている。「我々には“非凡な才能”がチームを率いている。そのことを誇りに思う」とモナハンは語った。フェルスタッペンの反撃は、まだ終わっていない。