マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、2025年F1メキシコGP初日のフリー走行2回目(FP2)でトップタイムを記録したものの、「レースペースは大きな懸念だ」と警戒感を示した。フェルスタッペンはこの週末、直近4戦で3勝を挙げて勢いに乗る。ドライバーズ選手権では首位オスカー・ピアストリとの差を40ポイントに縮め、残り5戦で逆転の可能性を残している。
FP1はルーキーセッションのため欠場したが、午後のFP2でいきなり1分17秒392のベストを叩き出し、シャルル・ルクレール(フェラーリ)を0.1秒以上引き離して首位に立った。しかし、その裏でレースシミュレーション中のペースには不満を漏らした。今週末、レッドブルはフロアと冷却システムに改良を施しており、その挙動を確認する重要なセッションとなったが、ロングランでは苦戦が目立った。フェルスタッペンは次のように語る。「ソフトタイヤでのショートランではいいラップができたと思う。でもそれ以外はすべて悪かった。ミディアムでのショートランもあまり良くなくて、一番の問題はロングランだ。僕たちはかなり苦しんでいる。レースに向けて、もちろんそれが大きな懸念だ」FP2後に問題の原因を問われると、「まだ分からない」と首を振った。「バランスが悪かったわけじゃない。ただ、グリップがまったくなかった。それがもっとも大きな懸念だ。ロングランに入るとすぐにタイヤが過熱してしまい、全然ダメだった。厳しい問題だけど、これから解決策を探してみる」メキシコシティの高地サーキットでフェルスタッペンは過去5勝を挙げているが、スタート直後の長いストレートが特徴で、ポールポジションの優位を維持するのは容易ではない。その点についてもフェルスタッペンは冷静に語った。「1周の速さだけで勝てるレースじゃない。1周が速くても、レースでまったくペースがなければとても厳しい。僕はむしろ、1周の速さよりもレースで速い方がいいと思う」ロングランに潜む熱の罠と高地特有の課題フェルスタッペンが訴える「タイヤの過熱」は、標高2200メートルの高地にあるメキシコ・シティ特有の希薄な空気が影響しているとみられる。冷却効率が低下し、空力負荷のバランスも変化するため、マシン全体の安定性が崩れやすい。特にロングランでは、空気密度の低さによってリアタイヤの温度管理が難しく、デグラデーション(性能低下)を抑えるセッティングが鍵となる。今季のレッドブルはここ数戦で改良型フロアを投入し、グラウンドエフェクト由来の安定性を高めてきたが、高地の薄い空気ではその効果が十分に発揮されない可能性がある。チームは予選重視からレースペース重視のバランスへ調整を進める必要がありそうだ。分析:完璧な週末が必要なフェルスタッペンフェルスタッペンが言う「完璧な週末」は、タイトル争いの現実を映す言葉だ。マクラーレン勢とのポイント差を詰めるためには、予選よりも日曜決勝での安定したレースペースが不可欠となる。ロングランでの問題が解消されれば、メキシコで6度目の勝利も現実味を帯びる。一方で、タイヤ温度のコントロールと高地での冷却対策が解決できなければ、首位防衛は容易ではない。タイトル争いの流れを左右する重要な週末。フェルスタッペンの言う「懸念」が、果たして警告で終わるのか、それとも現実となるのか──土曜以降の走行が注目される。