トロロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、新たにエンジン契約を結んだホンダが進歩できるようにワークスパートナーとして手助けするという“大きな責任”をもって仕事に挑んでいると語る。昨年、マクラーレンがホンダとのパートナーシップを解消したことで、今年からトロロッソはルノーからホンダにF1パワーユニットを変更。トロロッソの13年の歴史で初めて“ワークスチーム”としてホンダからF1エンジンの独占供給を受ける。
トロロッソの新車『STR13』は、ホンダのF1パワーユニットに合わせてギアボックスとリアエンドのデザインを一新。ルノーとは異なり、ターボを分割するホンダのF1パワーユニットによて異なるパッケージグが要求された。その変更作業にとって比較的小規模なトロロッソは、忙しい冬の期間を過ごした。先週バルセロナで開始されたF1プレシーズンテストでは、新生“トロロッソ・ホンダ”は素晴らしいスタートを切り、大きなエンジントラブルに見舞われることなく、全チームで最多の324周を走行してF1パドックを驚かせた。「ホンダのF1エンジンのインストレーションで我々が気づいたのは、ルノーのものとは基本的に異なるということだった。そこには全く共通性がない」とジェームス・キーはコメント。「ギアボックスの内部はレッドブル・テクノロジーと共通だが、それらは共同で設計されている。例えば、オイルシステムは我々のものであり、メインケースは完全に我々のものだ。電子システムやコントロールシステムもそうだ。完全にトロロッソ製だ。互角性に完全な違いがあるので、異なるエンジンを搭載するにはその方法を採らなければならない」「シャシーのデザインは明らかに異なるものになっているし、ギアボックスも違う。それは全て我々が手掛けたものだ」「もう一つはそれがワークス契約だということだ。本格的な協力体制だ。全てのダイナモテスト、R&Dリグテスト、いくつかのエリアの共同開発、共同設計作業などがある。来年の設計作業もすでに進行している。その全てが我々のパートナーシップでは非常にユニークなことだ」「実際、そのすべては責任が重い。我々はそれを楽しみにしていたし、ポジティブなプレッシャーだ。だが、ホンダが一緒に仕事をするチームと進歩するために必要なレベルに引き上げるのは大きな責任だ。共通性は確かに少ない」ホンダとのワークス契約はトロロッソに追加のリソースをもたらしたが、それと同時にカスタマーだった今までとは異なり、かつて経験したことのないほど作業負担は増えたとジェームス・キーは語る。「夢見ていたいろいろなことがいっぺんに玄関に届けられるようなものだ。『何てことだ!やることが山盛りだ!』という気分だ」とジェームス・キーは語る。「シャシー面ではエンジンに関連した特定のシステムのリグテストを11月に開始した。12月にはダイナモでギアボックスをテストを実施し、それ以降はまずはミルトンキーンズで、それから日本でも同様のテストを続けている。そのため、ギアボックスは日本とミルトンキーンズの両方にある」「冷却システムなどのテストにも取り組んできた。そういった部分ではプレッシャーはある。過去に経験はないが、同時に素晴らしい機会でもある。チームにはこれまでより多くのパーツをどんどん製造し、イタリアだけでなくヨーロッパ、日本までを含めてエンジニアリングサポートをしなければというプレッシャーがかかっている」「作業量は大幅に増えたが、全てに正当な理由があるし、ホンダにはそのような観点を見通すためにチームとの緊密な関係が必要だ。例えば、ギアボックスはエンジンサプライヤーにとって極めて重要だ」昨年9月に契約が発表されてからホンダと仕事をしてきたジェームス・キーは、トロロッソ・ホンダが初のF1プレシーズンテストでスムーズなスタートを切ったことに驚かないと語る。「去年の状況を見れば驚くかもしれないが、しばらく彼らと仕事をしてきた我々としては驚きではない」とコメント。「彼らが有している施設、何が何でも成功させなければならないという必死の決意を見れば、もう私にとっては驚きではない」「もちろん、コースに出てみるまで決してどうなるかはわからなかった。だが、大きな問題はまったくなかったと言わなければならない。小さなストップがあったがどれも我々側のものだった」「彼らとの作業は非常にスムーズだった。我々は非常に一体となっている。彼らは非常に開放的であり、全ての会議に出席しているので、我々全員が何が進行しているかを把握しているし、我々はすべてを最適化するために協力している。これまでのところは非常にスムーズだし、それが続いていくと確信している」
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