2025年F1第9戦スペインGP金曜の記者会見には、レッドブルF1のクリスチャン・ホーナー、アルピーヌF1のフラビオ・ブリアトーレ、ピレリのマリオ・イゾラが登壇した。話題は新たに導入されたフロントウイングの技術指針、週末の戦力評価、角田裕毅やガスリーらドライバーへの評価、そして2027年に向けた各チームのビジョンに及んだ。
ホーナーはマクラーレンを「今週末の本命」と評しつつも、ポイント差を詰めるための巻き返しを誓った。一方ブリアトーレは、アルピーヌの現状について「構造は整えつつあるが、まだ結果に表れていない」と冷静に語り、ピエール・ガスリーやフランコ・コラピントの評価についても慎重な姿勢を崩さなかった。会見後半にはモナコGPのレース改革やF1カレンダーの変化、若年層ファンの増加といった広範な話題が取り上げられ、F1の進化と課題があらためて浮き彫りになった。Q:クリスチャン、まずはFP1での走行について伺います。新たなフロントウイングに関するテクニカルディレクティブが導入されましたが、ドライバーたちは何と話していましたか?マシンのセットアップはどうでしたか?クリスチャン・ホーナー: ドライバーたちは、アンダーステアやフロントのグリップについて、いつも通りのコメントをしていた。変更自体はそこまで劇的なものではないが、それでも無視できない影響はある。各チームにとって等しく作用しているかどうかはまだ判断が難しいが、我々は全体のバランスを整える作業に取り組んでいた。今日は非常に暑く、タイヤへの負荷が大きかった。特に旧レイアウトでは、フロント左にかかるストレスが非常に高い。今回の変更がどれほどの影響を持つかを判断するには、複数のセッションを経て見極める必要があると思っている。Q:エンジニアの皆さんは頭を悩ませていますか?この変更でマシンバランスが取りづらくなっているのでしょうか?ホーナー: それについても、現段階では何とも言えない。ドライバーのコメントを聞く限り、通常の金曜日と大きな違いはなかった。ただ、確かにマシンは異なっており、理解すべきことは多い。おそらくロングランでもショートランでも影響は出てくるだろう。まだ初期段階だが、我々にとっては全体として小さな変化に留まっている。Q:レッドブルはバルセロナで非常に強い成績を残しています。フェルスタッペン選手は4連勝を狙っていますが、今週末に向けての自信はいかがですか?ホーナー: 今週末に関して言えば、マクラーレンが優勝候補だと思っている。彼らはこれまでのレースすべてで非常に強さを見せてきた。我々としては、イモラでのようなパフォーマンスを再現できれば希望がある。だが、この気温下では彼らが非常に競争力を発揮するだろう。ランドなのかオスカーなのかはわからないが、我々にとって重要なのは彼らからポイントを奪うことだ。まだ選手権は3分の1を終えたにすぎず、これから少しずつポイント差を詰めていく必要がある。Q:バルセロナはマシンの本質的なパフォーマンスを測る指標として使われてきましたが、今でもそう感じますか?ホーナー: そう思っている。バルセロナは高速・中速コーナーが豊富で、最近は低速が減ってきたが、シャシーの完成度が試されるサーキットだ。多様なコーナーがあり、タイヤへの負荷も大きい。日曜のレースでは、そうした要素が勝敗を分けるポイントになるだろう。Q:フラビオさん、あなたがアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーに就任されてから約1年が経ちますが、この期間をどうご覧になっていますか?フラビオ・ブリアトーレ: 実際には1年経っていない。まだ10か月だ。給料明細を見ればわかる(笑)。11か月ではなく10か月だ。さて、アルピーヌで再びF1の現場に戻ってきたが、簡単な仕事ではなかった。過去4~5年にわたって、このチームは多くの変化を経験してきたからだ。しかし少しずつ、人員をまとめ、体制を整えてきている。来年にはメルセデスから新しいエンジンとギアボックスを導入する予定で、それが我々の次なる目標だ。ただ、それまでの間にも、もっと競争力を高めていかなければならない。現時点で満足できるような結果は出ていないが、時間をかける必要がある。この隣にいる“巨匠”を見ればわかるが、勝てるマシン、勝てるチームを作るには時間がかかる。私は過去にそれをやってのけた。そして、もう一度やれると信じている。Q:2027年にはタイトル争いをしたいとおっしゃっていましたが、その目標に必要な体制はエンストンに整っているとお考えですか?ブリアトーレ: F1では夢を持つことも必要だ。この世界に身を置くならば、常に上を目指すべきだと思っている。現時点で我々のチームはまだ若く、パフォーマンスも理想からは遠い。組織の中にまだ不明瞭な部分が多く、それを整理する必要がある。本来あるべき姿にたどり着くには、2025年いっぱいは必要だと考えている。そして2026年には、少なくとも表彰台が見えるレースを展開したい。そこから2027年を迎えたとき、我々の立ち位置がどうなっているかを見定める。レッドブルや他チームのように、数年で状況が大きく変わることもある。最終的には、2027年にどんなドライバーが我々とともにあるかにも左右される。Q:オリバー・オークス氏がチーム代表を退任して1か月が経ちました。後任探しの進捗はいかがでしょうか?ブリアトーレ: 現在も探しているところだ。現時点で体制に変更はない。オリ―が辞任したのは個人的な理由によるもので、私としても残念に思っている。彼とは非常に良好な関係だったし、優れたチーム代表だった。我々としては、焦って誤った選択をしたくない。しっかりとした人材を見極め、適切なタイミングで発表したいと思っている。Q:どのような資質を持つ人物を求めていますか?(ホーナーが冗談で割り込む:安上がりな人材か?)ブリアトーレ: (笑)そうではない。今、我々はこの役割にふさわしい人物を探している。適任者は複数いるが、我々が求めるのは、チームの一員として一緒に歩む意志を持ち、F1の現場を深く理解している人物だ。すでに何人か候補がいて、彼らはこの“新たな旅”に参加したいと考えている。我々としても、間もなく決断を下すつもりだ。Q:マリオさん、C6コンパウンドはすでにいくつかのレースで使用されていますが、これまでのパフォーマンスについてどのように評価されていますか?マリオ・イゾラ: チームからのフィードバックはまちまちだった。それは...
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