レッドブルF1のチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、2025年F1スペインGPを振り返り、角田裕毅がポイント圏に手が届く位置にいたこと、そしてマックス・フェルスタッペンが本来なら表彰台を狙えたはずの展開だったことを強調した。タイヤ戦略やセーフティカーの影響など、複数の要素がレース終盤に絡み合い、チームにとって非常に厳しい週末になったと語っている。
2025年F1スペインGPでは、角田裕毅とマックス・フェルスタッペンの両ドライバーがそれぞれ異なる形で勝機を逃した。特に終盤のセーフティカーは両者にとって大きな転機となり、レッドブルF1にとっては結果的に悔しさの残るグランプリとなった。「角田にとって、セーフティカーは非常に痛かった。彼のペースとタイヤの使い方を見れば、あのままいけばポイント圏内に入っていた可能性が高かった」とホーナーは述べた。角田裕毅はこのレースでピットレーンスタートを強いられたが、ミディアムとハードを効果的に使い分けて着実に順位を上げ、レース終盤にはポイント圏が射程圏に入る走りを見せていた。しかし、55周目に出動したセーフティカーがその流れを断ち切り、冷えたタイヤでのリスタートに苦しむ形となった。ホーナーは「彼にとって理想的な週末ではなかったが、今後に向けてセットアップ面での収穫はあったはずだ。モントリオールに向けて、チームと共に改善に取り組んでいく」ともコメントし、今後の巻き返しに期待を寄せた。「本来なら表彰台も狙えた」フェルスタッペンのレースを悔やむ一方で、マックス・フェルスタッペンのレースも波乱含みの展開となった。スタート直後にランド・ノリスを抜いて一時はポジションを上げたものの、マクラーレン勢の強力なペースには太刀打ちできず、レッドブルF1は早い段階で3ストップ戦略に切り替えた。「我々は早めに3ストップを選択したが、展開としては間違っていなかった。マックスでアンダーカットを狙い、戦略的には優位に立てるはずだった」とホーナーは説明した。しかし、終盤のセーフティカーがその流れを断ち切った。マックス・フェルスタッペンはすでにソフトとミディアムを使い切っており、残る唯一の新品タイヤはハードのみ。結果として、他の上位勢がソフトで攻める中、彼だけがグリップ不足のハードで防戦一方となった。「古いタイヤでステイアウトするか、新品のハードに履き替えるかという厳しい判断を迫られた。結果論ではあるが、その時点では最善の判断をしたと思っている」とホーナーは振り返る。さらにリスタート直後にはシャルル・ルクレールとの接触、そしてターン1でジョージ・ラッセルとの衝突が発生し、審議の結果マックス・フェルスタッペンには10秒のペナルティが科された。これにより、彼は5位フィニッシュから10位に降格。「本来なら簡単に表彰台を獲得できたはずのレースだっただけに、非常に悔しい結果になった」とホーナーは語った。レッドブルF1にとっては、戦略・タイヤ選択・レースアクシデントが複雑に絡み合った苦い一戦となった。次戦カナダGPに向け、巻き返しが求められる。