NASCAR序盤戦の西海岸3連戦の3戦目はカリフォルニアの2マイル超高速オーバルが舞台。カップとエクスフィニティの両方に出場したカイル・ブッシュは、エクスフィニティの前半戦を支配。後半ピット作業ミスのペナルティで遅れたものの、その後の怒濤の追い上げで2位を獲得。カップ戦では、やはり後半ピットスピード違反のペナルティを受けるも追い上げての逆転を果たし、NASCAR史上に残る、トップ3カテゴリーでの通算200勝目を飾った。
3月17日(日)、米国西部カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第5戦「Auto Club 400」が開催された。シーズン序盤の米国西海岸3連戦、3戦目はカリフォルニア・フォンタナの超高速2マイルオーバル。年1戦の開催だが、2013年、2014年はカイル・ブッシュが勝利。昨年はマーティン・トゥルーエクス・Jr.が制している。カイル・ブッシュはこの週末、NASCAR史上最多タイとなる、トップ3カテゴリーでの通算勝利数200勝にあと1勝と迫っており、エクスフィニティ・シリーズとカップ・シリーズに出場。エクスフィニティ・シリーズは2位に終わったため、カップ・シリーズでの記録達成に期待がかかった。 17日(日)、38台のレースカーが5列に並んでのパレードラップが、巨大なグランドスタンドを埋め尽くした大観衆への敬意を込めて“トヨタ カムリ”のペースカー先導で実施されたあと、午後12時50分、2マイルオーバルを60周、60周、80周の3ステージ合計200周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。4,6番手からスタートを切ったカイル・ブッシュとデニー・ハムリンが好スタートを切り首位争いを展開。カイル・ブッシュは12周目に首位に立つと、後続を大きく引き離し独走態勢となった。ステージ1は終盤にイエローコーション(何らかの障害による全車スロー走行指示)が出され、最後の1周での再スタートとなったが、直後に多重クラッシュが発生。27番手スタートからトップ10圏内まで浮上していたトゥルーエクス・Jr.が巻き込まれ車両にダメージを負ってしまった。このクラッシュの影響なくチェッカーを受けたカイル・ブッシュがステージ1を制覇。ハムリンが3位、エリック・ジョーンズが7位でポイント獲得を果たした。ステージ2,再スタートで一旦ライバルの先行を許したカイル・ブッシュだったが、すぐに首位を奪い返すと再び独走態勢に。このステージはイエローコーションが出なかったこともあり、カイル・ブッシュは2位に6秒もの大差をつけてステージ2を制した。エリック・ジョーンズが7位、ハムリンが9位。ステージ1,2を制し、ここまで圧倒的な速さを見せたカイル・ブッシュだったが、ステージ間のイエローコーションでピットへ向かった際に速度違反のペナルティ。ハムリンも同様のペナルティを受けることとなり、共に18位、19位からの追い上げを強いられることとなってしまった。しかし、カイル・ブッシュは猛烈な追い上げを見せ、再スタート後僅か8周でトップ10入り。残り50周の時点で6位まで浮上した。ステージ3の前半はイエローコーションが出ないまま、残り40周ほどになると各車ピットへ向かい始めまた。カイル・ブッシュはピットインを遅らせ、ライバル勢がピットに入ったことで161周目に首位に浮上。幸運にも、その直後にクラッシュ車両によりイエローコーションが出された。このコーションでピットインしたカイル・ブッシュは最後まで走り切れる燃料と新品タイヤを装着し、2位で残り32周での再スタート。ライバルとの激しい首位争いを繰り広げ、残り25周でついに首位を奪還。首位に立ったカイル・ブッシュは後続との差を広げていき、2秒以上の大差をつけて独走チェッカー。前戦フェニックスに続き、今季2勝目を挙げた。ハムリンが7位、クラッシュでのダメージを修復しながら追い上げたトゥルーエクス・Jr.が8位とトップ10フィニッシュを果たした。33歳のカイル・ブッシュはこの勝利で、NASCARトップ3カテゴリーでの合計200勝を達成。これまでの記録では、リチャード・ペティがカップ・シリーズのみで200勝を挙げている。カイル・ブッシュはカップ・シリーズで史上11位の53勝目。これに加えて自身が最多勝記録を持つエクスフィニティ・シリーズ94勝、トラック・シリーズ53勝でNASCARトップ3シリーズの合計勝利が200となる。これらの勝利のうち、2008年より移籍したトヨタでの勝利は、カップで49勝、エクスフィニティで83勝、トラックで47勝とその大半を占めている。次戦第6戦は3月24日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる カイル・ブッシュ「今日の我々の“トヨタ カムリ”は最高でした。ここオートクラブ・スピードウェイに来てくれた多くのファンの前でこんな素晴らしいレースを見せられて本当に嬉しいです。200勝目は私にとってはとても大きな意味を持ちます。トヨタ、TRD-USAやチームの最高のスタッフと共に戦えるという機会を得られたこと自体が本当に幸運ですし、共に戦ってきた全ての瞬間が宝物です。これからも多くの勝利を重ねていけることを願っています」