メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、ラスベガスGPで鮮烈な走りを見せたアンドレア・キミ・アントネッリについて、「今は発展途上のごく初期段階にすぎない」と強調し、来季以降にさらなる伸びしろがあると語った。ラスベガスGPで予選17番手から追い上げたアントネッリは、5秒ペナルティによって一度は5位に後退したものの、マクラーレン勢の失格により3位へ昇格。今季3度目の表彰台を獲得した。
予選失敗からの完璧な挽回「19歳でこれはすごい」トト・ヴォルフは、アントネッリが19歳という若さでビッグチームに放り込まれながらも、期待以上の成長曲線を描いていると語った。「彼は19歳だ。我々はずっと『ルーキーイヤーは難しい』と言ってきたし、実際にそういう瞬間は見てきた」「ビッグチームに“パラシュートで降りてきた”ような形で、知らないサーキットも多い。そのうえプレッシャーも大きい。だが、これが想定していた成長の軌道だ。来年(2026年)は皆が新しいクルマになる。彼は1年分の経験を積み、もっと成熟する。すべて計画通りだ」ハードタイヤでの長距離走行、判断力も評価アントネッリは予選Q1敗退により17番手スタートとなったが、これが戦略を有利に運んだ。ソフトでスタート後、早いVSCでハードに交換し、ほぼ全レースを走り切った。ヴォルフはその判断力と持久力を称賛した。「最初はワンストップが現実的だとは思わなかった。だが周回を重ねるごとに速さが戻り、グレイニングを克服した。非常に価値ある3位だった」スタート罰則の根拠「センサーを確認する必要がある」アントネッリはスタート前にマシンが“わずかに動いた”として5秒ペナルティが科された。ヴォルフはその根拠に疑問を呈している。「クラッチにも不規則な動きはなかったように見えた。FIAはセンサーを持っているから、その判断を待つ必要がある」「私だけが見えたのかもしれないが、少し動いたようには見えた。ただし、クラッチを離したりブレーキを離した動きではなかったと思う。FIAの説明を待つ」「決断を疑ったことは一度もない」アントネッリは今季すでに3度の表彰台とスプリントポール1回を記録。サンパウロでは予選でチームメイトを圧倒するなど、一発の速さも示している。ヴォルフは、アントネッリを早期にF1に昇格させた判断は揺るがなかったと語る。「アップダウンの激しいシーズンになることは最初から分かっていた。素晴らしい瞬間も、頭を抱えたくなる瞬間もあるだろうとね」「これは発展の終わりではなく、まだごく初期段階だ。来年も、そしてその先の何年も、キミはもっと強くなると確信している」