メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、シンガポールGPで優勝を飾ったジョージ・ラッセルの「完全にコントロールされた」走りを称え、「今年の彼は本当に強力だ」と絶賛した。ラッセルはマリーナベイ市街地サーキットでポールポジションからスタートし、終始主導権を握って今季2勝目を挙げた。2位のマックス・フェルスタッペンに5秒以上の差をつける完勝だった。
これまでラッセルのシンガポールでの最高成績は4位であり、2023年には最終ラップでクラッシュし3位表彰台を逃すなど苦い経験をしてきた。だが、今回はその雪辱を果たす完璧な週末となった。ヴォルフは、ラッセルがこの1年でどのように成長したかを問われ、今季18戦中17戦で入賞している安定感を評価した。「以前のジョージにはああいう瞬間もあったが、最近はもうそうしたことは起きていない。それが今年の彼の成長の証でもある」とヴォルフは語った。「彼は今日のレースを完全に掌握していた。マックスが少し近づいたときも、冷静に差を管理していた。彼の走りにリスクを感じる瞬間は一度もなかった」ヴォルフはさらに続けた。「彼は今年、本当に強力だ。ミスを見たことがない。もちろん彼自身が『今日はうまくできなかった』と言う週末もあったが、それはどのドライバーにもあることだ。マシンが完璧に仕上がり、ドライバーがそのすべてを引き出せたとき、それが支配的な組み合わせになる。まさに今回のようにね」メルセデスがなぜシンガポールでこれほど強力だったのか、その理由についてヴォルフは「説明がつかない」と率直に認めた。チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリも好ペースを見せ、フェラーリのシャルル・ルクレールの後ろで多くの周回を費やしながらも5位でフィニッシュした。「ここはこれまで我々にとって得意な場所ではなかった。ドライバーにとっては素晴らしい街だけど、マシンのパフォーマンス的にはね」とヴォルフ。「もし誰かが“今日のように支配する”なんて言っていたら、信じなかっただろう。けれど序盤から終盤まで、両方のタイヤで、ドライバーとマシンが完全にシンクロしていて、誰にも負ける気がしなかった」また、アントネッリのレースについても触れた。「キミはいつも“コップの半分が空”に見えるタイプなんだ。彼はQ3で思うように走れず、フロントロウに並べたかもしれないチャンスを逃したことや、ターン1でのスタートが良くなかったことを気にしていた」「それが彼の正直な自己評価だよ。だから彼にとっては『5位を獲得した』というよりも『もっと上のポジションを逃した』という感覚なんだ」「でも、しっかり走り切ったし、ルクレールへのオーバーテイクも素晴らしかった。テレビには映らなかったが、我々のテレメトリーで確認したところ、ブレーキングの圧力が非常に高く、システムが振動し始めるほどの強烈な制動だった」「それもまた、今日の成果を支える良い要素だったと思う。他の場面で悔しい部分もあったけれど、これが少し慰めになったはずだ」
全文を読む