メルセデスは、2017年F1マシンのエンジンカバーのエリアの開発をプッシュしている。2017年F1マシンは、ロー&ワイドになったリアウイングへの気流の改善を狙って、ほぼ全てのマシンがシャークフィンを復活させている。メルセデスは、F1バルセロナテストで特にそのエリアのテストを積極的に行っている。
これまでメルセデス W08では、ノーマルなエンジンカバー、シャークフィンにTウィング、ダブルTウィングを組む合わせた何通りのパターンが試されている。特に注目を集めているのが、シャークフィン。テスト初日に登場したシャークフィンは、他チームよりも短いが、違いはそれだけではない。上部に煙突のように冷却用の排気口が設けられている。2009年、F1マシンのサイドポッドのショルダー部分には冷却のために煙突のようなアウトレットが設けられ、チムニーダクトと呼ばれていた。F1カーには、パワーユニットからの熱を発散させるために多くの冷却方法がとられている。エンジンにはオイルおよびウォーターラジエーター、ハイブリッドシステムのためのクーラー、ターボインタイクーラー、油圧液クーラー、ギアボックスのオイルクーラーなど。それら全てはエンジンカバーとサイドポッド内に収められるが、空気はクーラーを通してどこかに排出されなければならない。通常、それはサイドポッドの後部に設けられるが、ディフューザーとリアウィングへの気流を改善させるために、チームはタイトなサイドポッドを好んでおり、コックピッドサイド、エキゾースト周りののわずかな場所に熱い空気の排出口を求めている。だが、メルセデスはそれをシャークフィン後方の上部に持っていくという発想をした。サイドッポッド内の気圧は高いが、フィンの上の空気はクリーンであり、周囲の圧力によって空気はチムニーの外に流れる。また、シャークフィンの先端で作り出される渦はフィンの後方で低い気圧を作り出し、それもチムニーからの空気の排出を助け、効果をさらに高める。上記の機能を備えるため、メルセデスのシャークフィンは通常よりも厚くなっているが、余分なドラッグや気流の妨げになることはないだろう。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、“シャークフィンが提供するパフォーマンス的な利益はそれほど重要なものではない”として美学的に禁止することを提案した。しかし、メルセデスは、美学や整流だけでなく、さらに一歩先を行く開発を進めている。
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